先週、本校野球部が臨んだ全国高校野球大会の東京都予選の日。試合が終わり、学校へ戻る途中に立ち寄ったお蕎麦屋さんで、店主の方から「残念でしたね。試合を見に行った弟が帰ってくるなり『本当に惜しい試合だった。でも、明星スタンドの応援がすごかった』と感動していました!」とは、私自身が全く同じ思いを抱いたことです。「応援は、圧勝だった!」と。
試合開始の前後から、続々とスタンドに詰めかけてくる制服姿の生徒諸君。その中には、楽器を手にした吹奏楽部員もいます。コロナ禍もあって、近年はどの学校も野球応援は控えめで、遠慮がちでした。前任校ではチアリーダーもマスクをし、録音した応援歌に合わせ、声を出さずにぽんぽんを振っていた光景を思い返します。夏の野球スタンドに吹奏楽の演奏と歓声が鳴り響くと、やはり日本の高校生の風物詩だなと思わずにいられません。
玉寄音楽監督と顧問の武内先生が、指揮棒を持たずに拍手で演奏に乗っていた姿は貴重なシーンでした。吹奏楽部顧問の宗像先生によると、炎天下では灼熱の楽器を手にする暑さ~熱さ? に加え、スプリンクラーのミストが水蒸気となって、演奏ステージはほとんどサウナ状態になるとか。この日は雲がかかっていたので救われましたが、それでも途中から本降りになった雨は、演奏者にとって辛かったでしょう。しかし渾身の演奏と部員たちの声援が、スタンドの一体感を盛り立て、グラウンドへ勇気を授け続けていました。
スタンドの一角には、ハンドボール部の勇者たちの姿もありました。彼らが最後に果たせなかった全国への夢を、あるいは野球部の仲間に託していたのでしょうか。「この日のために!」との思いで、苦難の日々を重ねてきた、アスリート同士だからこそ分かり合える張り詰めたもの。その興奮を、観客として再び味わった違いありません。互いに高校での悲願達成はなりませんでしたが、ぜひ次なる舞台で輝く場面を作ってください。
スタンドに詰めかけた生徒、保護者、OB・OG、教職員一人ひとり、そして最強の応援団員・大室前同窓会長と、それぞれの思いが込められた野球応援。今も脳裏によみがえり、胸にこみあげるものがあります。早すぎた夏の終わりと言えるのかもしれませんが、野球部員とともにこの一瞬に情熱を傾けた時間は、かけがえのない思い出として皆の心に刻まれたことでしょう。吹奏楽部には、まだ夏のコンクールが待っています。完全燃焼の舞台を楽しみにしていますよ🔥