
ここ数年、リサイクルによって生まれ変わったおしゃれな服飾品が色々と製品化されています。私自身の生活を考えてみると、やはりプラスチックをリサイクルに出す事が一番多いです。その中でも一番気になるのはペットボトルのミネラルウォーターを毎日飲んでいること。以前はずっとBritaのフィルターを通した水道水を飲んでいたのですが、1年くらい前に水道水の安全性を疑うような噂が地元で出たため(今ではイタリアの水道水は安全だと信じているので、水道水を以前のようにフィルターにかけて少しずつ飲み始めようと思います)、ちょっと不安になり飲料水だけは完全にミネラルウォーターに変更しました。なので家族全員が毎日ミネラルウォーターを飲んでいますから、かなりの数のペットボトルをリサイクルに出しています。でもリサイクルBOXに入れるだけで、そのペットボトルは何に生まれ変わっているのか、というのが一番気になるところです。それよりも、本当にリサイクルされているのか?特にイタリアでは、、、どうも信用できないところがあります。
2015年の統計によると、イタリアではイタリア人1人あたり、年間208リットルのミネラルウォーターを買って飲んでいるとのことです。ヨーロッパの中でも一番多い数字のようです。それだけ多くのペットボトルを製造していることにもなります。そこで問題になるのは、ゴミの増加とリサイクル率です。それだけの量のペットボトルが製造され買われているのなら、リサイクル率も上昇して再生品が増えなければ、リサイクルしている意味がないです。
全世界でみると、2016年の統計では、4800億本のペットボトルが売られたとのこと。その半分だけがリサイクルされたそうです。地球はプラスティックに長期間汚染されていて、ゴミは増え続け、海に流れ込んだプラスティックも増え続け、そのプラスティックを食べた魚たちを私たち人間が食しているという事実があります。頻繁に魚を食べている人は、年間に1万個以上のプラスティックのミクロ粒子が体内に入り込むそうです。こうやって私たちの健康被害も広がっていくのでしょう。私も魚が大好きで頻繁に食べているので、他人事ではありません。2021年にはペットボトルの生産量は5800億本以上に増えると言われています。なんだか恐ろしい数字で、想像がつきません。このミクロ粒子による人間の内臓機能などへの影響は現在も調査中らしいです。
もとを辿れば、リサイクルする以前に製造する量を減らさないと話にならないのだと思いますが、リサイクルされたものを調べてみると、多くは他のプラスチック製品や繊維ものに生まれ変わっているようです。ペットボトルのリサイクル率は日本では8割程度、イタリアですと2016年の統計では何と25%と低い数字になっています。あー、やっぱり、と思ってしまうのが悲しいところ。
ペットボトルの原料は、石油からつくられるポリエチレンテレフタレート(ポリエステル)と呼ばれる樹脂です。ポリエステルといえば石油系の繊維でもあります。このポリエチレンテレフタレートは、石油からつくられるテレフタル酸とエチレングリコールを原料にして、高温・高真空下で化学反応させてつくられる樹脂のひとつです。この樹脂を溶かして糸にしたものが繊維、フィルムにしたものが食品包装フィルム、ふくらませたものがPETボトルというわけなのです。なので、繊維に戻してカーペットや服飾品を作る事もできます。ペットボトルも色がついていると再生しにくいそうです。なので汚れていない透明のペットボトルが一番再生されやすいということになります。ペットボトルからペットボトルに再生するのは以前は難しかったようですが、最近は技術が向上して可能になったようですが、数はまだそう多くはありません。
驚いたのが、2014年にアメリカのサンフランシスコ市でペットボトル(621ml以下)の販売を禁止する条例が出来ていたのですね。販売した場合には罰金1000ドルが課せられるそうです。外で水を飲みたい人は各地に無料の給水所があるみたいです。世界の中でも、すごい進んでいますね。きっと水道水の質もかなり良いのではないでしょうか?
何か個人として消費者として、環境問題や貧しい国の人たちの労働環境の改善に少しでも参加できる事はないかと考えた結果、一番簡単な方法として、まず自分が購入するものをきちんと選ぶという事を始めました。私は田舎に住んでいるので選択枠も少ないのですが、例えば食品もフェアトレード(公平貿易)の食品(私の場合は、アジアのお米やきび砂糖など)がある場合は多少高くてもそちらを選んだり、リサイクルされた紙製品もしくはきちんと管理された木材を使った紙製品を買うとか(FSCのマークがついている)、とても小さな金額ですが続けています。

まだまだ知識も足りませんが、以前とは違う角度で買い物もするようになりました。洋服やバッグ等の服飾品について言えば、動物由来のものを使った製品をなるべく買わないようにしています。以前購入したもので好きなものは未だに使っていますが。
最近ネットショップで、偶然デザインが好きで選んだバッグが、リサイクルしたプラスチックボトル100%で作られたものでした。そのバッグが上の写真です。カナダのメーカーMatt & Nat の商品です。このメーカーはヴィーガンブランドとも言われているようです。皮と比べると多少生地の固さはありますが、リサイクルされたものを買う人もいないと、リサイクルも成り立たないので、少しの欠点は気になりません。
私が服飾品に関して、こういうことに興味を持ち出したのは、数年前にファッションデザイナーのステラマッカートニーの記事を読んでからです。彼女の服を作るスタンスにとても興味を持ちました。私自身は彼女のデザインした洋服などを買う金銭的な余裕はないので購入はしませんが、いつも記事を読んでは彼女の信念をもった取り組みは素晴らしいと思っていました。私はベジタリアンになることはないと思いますが、自分の買う商品の製造過程や原料などを気にするようになりました。この事に関しては、また長くなるので、次回に書きたいと思います。