
もう2ヶ月近く前になりますが、23年ぶりくらいにプラシーボのコンサートに行ってきました。こんな南の辺鄙な都市までプラシーボが来てくれるなんて、こんな嬉しい事は久しぶり。ロンドンで行ったプラシーボのコンサートは多分ブリクストンアカデミーだった気がします。チケットが売り出されてからすぐ購入したので、待った月日も長かったですが。90年代からずっと現在まで音楽を作り続けてくれている好みのバンドは数少なく、そのうちの一つがプラシーボ。プラシーボのデビューは96年、色んな意味で強烈だったので今でも鮮明に覚えています。ヴォーカルギターのブライアンのあの特徴的な声と容姿、カリスマ、それにギター、ベース、ドラムだけのスリーピースバンドで、彼らの作り出す独特の音や歌詞がかっこよくて大好きで、しつこい程聴いてました。ちょうど90年代中盤から自分の居場所がわからず悩みも多かったので、退廃的な音楽を聴きながら、それがobsessionになり、聴きながら気持ちが救われていたんだと思います。特に好きなプラシーボのアルバムは2枚目のWithout you I'm nothing。そして昨年やっと、前回のアルバムから9年という長い期間を経て通算8枚目のアルバムをリリースしました。タイトルはNever let me go.(私の大好きな本のタイトルと同じだ!これは何か意味があるのか、とても気になる。)プラシーボがやっと新しい音楽とともに戻って来てくれたことが本当に嬉しくて、私的にはとてもプラシーボな音楽でアルバムをじっくり聴きながら感動してました(Boxレコードも購入済)。一番好きな曲はThe Prodigal、プラシーボの曲としては異色だけどとても壮大で美しい曲。ボウイとクイーンのUnder Pressureのサンプルも途中からきこえてきて、ちょっと胸が熱くなりました。ブライアンのとても穏やかで優しい声が、そして詩を聴いていると涙が自然に出てきてしまった。自分とプラシーボはまだ強く繋がっているなあと、実感しました。This is what you wanted の詩は、まるで"私に歌ってるの?"って思うほど自分と重なり感情がかなり揺さぶられた、私にとってすごく特別な曲。アルバム最後のGo fix yourself instead of someone else と繰り返して終わって行くのが何ともプラシーボらしくて大好き。( この曲に関してはRadioheadの曲と似ているという指摘もありますが、あえてこの部分については私は書きません。RadioheadがLana Del Rey を訴えた時もとても複雑な気持ちだったから。私はLanaの音楽も大好き。全くその曲を知らずに音が似通ってしまうことも音楽ではよくあると思うから)
上手く言葉にできないけれども、Never Let Me Go が私にとっては大事なアルバムで、ブライアンの書く詩が個人的にとても意味のあるものなのです。彼らのデビューから27年経った今でも初期の曲も含めて私は聴き続けている。これは芸術全般に言えることですが、私にとって音楽はとっても深くて個人的なものだと言うこと。
私は2005年から自分の住む環境を変えすぎてしまったのと育児が始まったこともあり、好きな音楽や映画をじっくり聴いたり見たりする余裕がほとんどありませんでした。自分の中では音楽の空欄期間みたいなものが少しあります。なので最後に行ったコンサートはロンドンのRadiohead。ロンドンではたくさんのライブコンサートに行ってました、小さい箱の場合は一人でも気軽に。今は田舎に住んでいることもあり、まず好きなバンドのコンサートなどに遠くてなかなか行けないんです。遠くの都市(大物以外は大抵ミラノやボローニャ止まり)まで行くには、電車や飛行機での移動だし子供を連れてロックのコンサートに行くのも難しかったのです。
コンサートの感想は、というと、私は最初の方は消極的にかなり後ろの方に立っていたので、ちょっと距離がありすぎたのと、音が何故か割れ過ぎていました。途中から少しづつ前の方に移動して行きました。すると音も断然良くなって臨場感が増しました。最初から前方に行くべきでした、後悔。ブライアン(vo)はコンサート中に携帯電話でビデオを撮られるのが大嫌いで有名なので、至る所に携帯電話は使用しないで欲しいとのお願いが貼ってあり、コンサート前にアナウンスされたにも関わらず、やはりアーティストのお願いを無視して携帯電話で録画する観客は一定数いるわけで、(ステージを観たくても前にいる観客の携帯スクリーンが気になることも多々)それにブライアンが苛ついてしまいナーヴァスになり中断することも。。。彼はライブで観客と特別な時間を共有したいと考えているので多くの携帯電話が自分たちに向けられていると観客と自然に繋がるのが難しいのだと思います。気持ちはよーくわかります、昔のビデオを見ると本当に今とは違うのが一目瞭然です。昔のライブはこんな感じでした、本当に懐かしい、プラシーボも自分も若かったんだなぁ。
98年グラストンベリー, 36 degrees このスピード感が大好きだった
https://youtu.be/E7OLU81r8g0?si=dRxBdANLZ3-7S-kn
98年、teenage angst タバコを吸いながら歌っていたブライアン
https://youtu.be/JOS7UTVozuE?si=m9z8Ew0ORFfAAPG4
大好きな曲のひとつPassive Agressiveのライブビデオ(2000年)
https://youtu.be/w8WkKKVGr4g?si=TVhGhxhaO4Ld_3z2
このライブは最高すごいEnergy、bionic (2003) in Paris
https://youtu.be/0Zael5yNLe0?si=t8kmF2mILedjGjIX
Set Listは、調べずに行きました、その方が意外な選曲があったりすると嬉しいので。個人的には、やはり最初のアルバムからのBionicをプレイしてくれたのは、鳥肌がたちました、嬉しくて。当日はジェーンバーキンが亡くなった日だったので、友人だったジェーンの為にHappy Birthday in the skyを追悼として歌いました。欲を言えば最後の2曲 をカヴァー曲(shoutと Running up that hill)にして欲しくなかったなあ。プラシーボはたくさん素晴らしい曲があるので、最後は彼らのオリジナル曲で終えて欲しかった。Runningは好きだけれども。ブライアンの声は期待通り、歳とともに落ち着いた感じ。ブライアンはもともとあまりステージでは話さない方だけど、今回もサッと去って行きました、でもステファンが観客に近づいてファンサービスをしてからコンサートが終わりました。ステファンは昔からこういう優しいところが変わらない。だからプラシーボのバランスがとれている、と思います。わたしは90年代のすごい尖っていて危ないプラシーボから刺激を受けたけど、熟してきたプラシーボもいい意味でまだ棘は残っていて昔から変わらず正直。タブーを恐れず自分達の信じることを世界に向かって音楽を通して伝えてきたプラシーボ。そんな彼らが長い年月を経て素晴らしい曲とともに帰って来てくれた、本当にありがとうプラシーボ。

