アマレッティというイタリアのピエモンテ州の伝統的なお菓子があります。日本ではマカロンが大人気ですが、そのマカロンも歴史を辿れば、フィレンツェのメディチ家がフランスに持ち込んだアマレッティが原型だと言われています。アマレッティは固いものと柔らかいもの2種類ありますが、一般的にスーパーで売られているのは固くて軽いものが多いです。アマレッティの原料は普通のアーモンドと苦い種のアーモンド、卵白、砂糖、そしてアプリコットの種(日本では杏仁と呼ばれていて杏仁豆腐に使われています)です。家で手作りする場合のレシピは、杏仁は入れないことが多いようです。というか、どこで手に入れるのか正直知りません。苦い種のアーモンドというのも日本では聞いた事がなかったですが、イタリアでは手に入ります。アマーロとは苦いという意味なので、苦いアーモンドを使うことから少し苦いという意味のアマレッティという名がついたのしょうか? 実際には、苦さはほとんど感じない甘いお菓子です。杏仁豆腐を知っている人には、何となく親近感のある香りがします。
私はアマレッティをそのまま食べるのは実はそんなに好きではありません。でも、この固いアマレッティを他のお菓子に使うのは好きなのです。独特な風味がケーキにとてもよく合います。スーパーで売っているアマレッティは安いのだと200グラムで200円くらいです。日本だと普通のスーパーには売ってなさそうですが、KALDIやネットだと売っています。私が好きなレシピを今回はふたつ簡単に紹介しますね。
一つはリンゴとアマレッティのクランブルケーキです。
https://ricetta.it/sbriciolata-di-mele-e-amaretti
上のアドレスがもともとのレシピなんですが、イタリア語なので簡単に説明しておきます。ビデオもあるので見るとわかりやすいです。気になる方は是非作ってみてください。ただしケーキ型の直径24センチ用なので、小さめの場合は量を半分にするといいと思います。イタリアのケーキレシピは大きめなんです。Sbriciolataとは粉々にするという意味です。
材料は、リンゴ3個、レモン半分の果汁、卵1個、バター170g、小麦粉350g、砂糖200g、アマレッティ70g、シナモン好きなだけ、ベーキングパウダー8g
リンゴは小さいイチョウ切りにしてレモン汁と砂糖50g、シナモンを合わせて5、6分くらい調理します。小麦粉、残りの砂糖、卵、ベーキングパウダー、アマレッティを粉々にしたもの(粉々にする大きさは適当な方が後で食感に違いが出て美味しいです)を全て一緒に混ぜてから、そこに小さく四角く切ってきちんと冷やしておいたバターを入れて手で押しつぶしながら細かくなるように手早く粉類と合わせます。クランブルを作るのと同じ要領です。このクランブルを最低でも30分ほど冷蔵庫で冷やしておきます。ケーキ型の底に3分の2量のクランブルをスプーンを使いながらしっかりと敷き詰めます。その上に調理したリンゴを載せます。そして最後に残りのクランブルをリンゴの上に載せて、オーブン170度で40〜45分焼きます。底のベースは押して敷き詰めたのでクッキーのような食感ですが、上は粉々のままなので、クランブルそのものです。アーモンドの代わりにアマレッティを入れたレシピですね。砂糖の分量は私は気持少し減らして作りました。イタリアのレシピだと時々甘すぎることがあるので。
もう一つのレシピは、もっと素朴なバターなしのケーキです。
https://www.francescamariabattilana.com/2016/01/torta-agli-amaretti-e-noci-senza-burro.html
材料は、アマレッティ20個、くるみ10個、全粒粉200g、マルサラ酒(イタリアシチリア島の酒精強化赤ワイン)大さじ2、コーンオイル(またはサラダ油)60ml、牛乳100ml、卵2個、ブラウンシュガー100g、片栗粉50g、ベーキングパウダー8g、塩少々
マルサラ酒は家になかったので、私は入れませんでした。なくても美味しく出来ますが、きっと入れるともっと美味しいのでしょう。代わりにシェリー酒やポルト酒を入れてもいいと思います。全粒粉は普通の薄力粉にしてもいいし、ブラウンシュガーも他の砂糖にしても問題ないです、風味は多少変わると思いますが。私はいつも適当に家にあるものに材料は変更したりします。
アマレッティとくるみは、適当に細かく砕いておきます。ボールに卵と砂糖を塩少々を入れて混ぜます。そこにマルサラ酒とオイル、小麦粉、牛乳、片栗粉、ベーキングパウダーを入れ、力を入れて柔らかくなるまで混ぜ合わせます。そこに細かくしたアマレッティとくるみ(あとでケーキの上に載せる分を少し残しておきます)を合わせ、ケーキ型に流します。最後に残りのアマレッティとくるみを上に載せてオーブン170度でだいたい40分くらい焼いて出来上がり。私はいつものように、半分の材料でパウンド型と小さな丸いケーキ型で焼いてみました。
生地自体はそんなにフワっと柔らかくはないですが、とても素朴で好きな味です。上にのっているアマレッティとくるみの相性が抜群ですし、上の部分はこんがり焼けてカリカリしてます。