風はエーゲブルー・・・にしたい

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ISO9000とカイゼンのマッチポンプ

2006年12月26日 | お仕事関連
 皆さんの職場でも、ISO9000とかやっていませんか?自分はかねてから「もういらない」と思っている。その辺の話を書いてみたい。

 この手の職場改善策として、トヨタ式とかもよく出てくる。いわゆる「カイゼン」ですね。こいつとISO9000の相性がよろしくないと思っているのだ。ただし、自分の話はサービス業に限る部分が多いので、その辺は割り引いて聞いてほしい(特に製造業の方)。
 単純にいえば、ISO9000の本質は「最低限の品質を確保するためのマニュアル主義」だ。この処方箋は、「どうにもこうにも、一定の品質、最低限の品質が確保できない」というケースに、最大限の威力を発揮する。その点は間違いない。
 一方で、マニュアル主義なだけに、これを直そうとするのにはかなりのエネルギーが要る。そりゃそうだ、ISO9000を維持するだけでもエネルギーが要るんだから、それを直そうとなると尚更だ。

 これに対して、「カイゼン」は実に自由度が高い。まあ、何をしてもいいからあたりまえだが、その自由度の高さが逆にハードルを上げている。現状では、「カイゼン」を行うには、個々人の資質に大きく頼らざるを得ない。この辺の教育は、「意識改革」とかを求めるだけに難しい。あと、本来の性分がどうか?ということもある(平穏無事な人生を望む人に、カイゼン活動でガンガン仕事を良くしていきましょう!と言っても難しいと思う)。
 この辺の難しさが、「トヨタの強さは、トヨタ人を作り出すことにある」と言われる所以だろう。自分も従姉のダンナがトヨタ系列の会社で、すんげえ腰が低くて律儀の塊、体はデカイが気はやさしくて力持ちというのを地で行く人。だが、仕事の話になると、プロジェクトXの登場人物ばりのアツさに変貌する。あまりの変貌振りに、ちょっと引いたぐらい(笑)。話を聞きながら、「さすがトヨタ系は強いなあ」と感心し、もっと話を聞きたいなあと思った。ってか、法事のときに何をやっているんだ俺は。
 話を元に戻して、そういう風にカイゼンは難しい点がある。さらに難しくさせているのは、今あるものを破壊し、再構築することが楽しくない人が大勢いることだ。そして、マニュアル主義はこれを助長する。そりゃそうだよね、一生懸命マニュアル作ったら、直せって言うんだもん。楽しいはずがない。「マニュアルを作るのにつぎ込んだ、俺の労力はどうしてくれるんだぁ!」ぐらい叫んだって、バチはあたらないだろ。つまり、ここがISO9000と相容れない部分なのだ。マニュアルを中心に置く限り、ISO9000とカイゼンは対立構造を形成してしまう。 

 また困るのが、ISO9000は"must"なのに対し、カイゼンは"may"であること。日本人は当然ながら"must"を重視しやすい(あたりまえだ)。特にコンプライアンス意識が高ければ、その傾向はより強まる。極端なことを言えば、お役所とかが一番そういう意味で頑固になるのも当然だ。
 もちろん、「んなこたあ、ない。なんとかなる」という意見もあるだろうし、実際うまくいっているところもあるだろう。でも、原則はマッチポンプの関係になりやすいと思う。正直な感想を言えば、両方良いとこ取りは、机上の空論に近いと思う。「書を捨てて、町に出よ」ではなく、「マニュアルを捨てて、その先に出でよ」とでも言うべきか。その例がマクドナルドに対する、スターバックスだと思う(良くも悪くもね)。

 しかし、希望はある。ISO9000とカイゼンの両立を机上の空論であると断定しないのは、そこに改良の余地があると思っているから。その処方箋は、「システム化による、マニュアル作成の半自動化」にある。誰でも簡単にマニュアルが作れ、しかも簡単に直せれば・・・これはカイゼンのためのハードルが下がることにつながる。もちろん、マニュアル変更の徹底や、その意義を全員に理解させるなどのアナログ的な問題は常に付きまとうので、そこはしっかりと対処する必要があるけれど。
そこで、マニュアル更新の啓発・情報共有にブログやwikiを使うというのはどうだろうか?などと思うわけだ。製造業であれば厳しいかもしれないが、サービス業であれば可能性はあるはずだ。
もっとも、この辺になると単純に「ISO9000」とか「カイゼン」とかいう話に収まらず、「ナレッジマネジメント」の領域に入り込む。この辺の話も、今は有益なノウハウ本も少ないながらも増えてきているので、参考にすると全体最適が進むかもしれない。
 とりあえずスタート地点はマニュアルの作成・改訂を簡単にするシステムの導入だ。どこかにいいものありませんかね?と他力本願で終わるのが情けないなあ。

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