珈琲ひらり

熱い珈琲、もしくは冷珈なんかを飲む片手間に読めるようなそんな文章をお楽しみください。

指きり

2008年01月17日 | 降る雨のウタ

 追いかけていく。
 素直なこの気持ち、あなたに届けて見せるわ。
 あなたがたとえどこへ行ってしまっても、あたしの恋心は翼となってあなたへの元へと飛んでいくの。
 あなたの声に耳を澄ませてばかりの頃、あなたをひとつひとつ知っていける事が嬉しかった。
 あなたを知っていくたびにあたしはあなたを好きになっていった。
 そんな想い出が心を通り過ぎていくたびに、涙が自分勝手に零れていく。
 だからあたし、鏡に小指を差し出すの。
 あなたを追いかけていく。
 お姫様のあたしと騎士のあなた。身分違いの恋だって自分勝手に決めて、逃げてしまったあなたを追いかけて、あたしは絶対にあなたの頬をひっぱ叩いて、その後にキスをしてやるんだから。
 そうしてあなたを追いかけて、真っ白な翼になってあなたの元へまでとあたしを運んでくれたこの恋を、あなたに伝えるの。
 それは初めてあたしの目の前を横切ったあなたの横顔に恋したその瞬間から始まったあたしの恋心との約束。
 あたしは鏡に差し出した小指で、あたしの恋心と指切りをした。

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