Aika3
「さあ、どうぞ。たーんとお食べください」
あたくしはテーブルの上に腕によりをかけて作った手料理を並べて嬉しそうに言った。
「わぁー、美味しそうー」
かなみさんが手を合わせて嬉しそうに言ってくれる。とても嬉しい。
「ふふん、愛華の料理の腕は保証するよ。彼女、ものすごく料理が上手いんだ。だから何度も結婚を申し込んでいるんだけどふられっぱなし。切なー」
お酒を飲みながらめぐみさんが笑って言う。
「えー、そうなんですかー。愛華さんってばこんな素敵なお姉様の求婚を断るなんて、なかなかにガードが固いですねー」
「そうなんだよ。分かる、私のこの片想いの切ない想い?」
「だってめぐみさんとあたくしは女の子同士なんですもの。哀しいけど今世ではその恋は報われませんわ。だから来世で結ばれましょうね」
「「「ぷぅ」」」3人でくすくすと笑いあう。
「かなみちゃんはお酒はいけるの?」
お酒を飲みながら小首を傾げてそう言うめぐみさん。かなみさんは悪戯っぽく笑って、
「これでもうちのゼミでは一番強いんですよ」
「お、いいね。実は私もざるなんだよね」
「勝負しますか?」仔猫のように小生意気そうに笑ってかなみさん。
「お、この私に勝負をしかけるって? いいわよ」
向かいあって不敵に笑いあう2人。
「って、かなみさんはまだ未成年でしょう」
あたくしが笑いながらそう言うと、かなみさんは大きく両手を広げて肩をすくめる。
「3日後には19歳でしてよ」
得意げに笑ってまたあたくしの口マネをしてそう言う彼女にめぐみさんとあたくしは「「それでも未成年だっちゅーの」」と同時に突っ込む。
「っちゅーのってなんか古ぅーい。なーんかババ臭ぁ―い」
いつの間にかお酒を飲みながらけらけらと軽い声でかなみさんが笑いながら言う。
「「失敬な」」また同時に2人で突っ込む。
そこで3人また大爆笑。
「さてと、んじゃ依頼達成パーティーじゃなくってかなみちゃんの3日早い誕生会に変えようか」
「わぁー、ありがとうございまーす」
「んじゃ、かなみちゃん、19歳のお誕生日おめでとう」
「ありがとうございます」
めぐみさんとかなみさんはお酒、あたくしはオレンジジュースの入ったグラスを合わせて、
「「「乾杯」」」
作った料理はあっという間になくなる。美味しそうにぱくぱくと食べてくれる2人を見て作りがいがあるなと思ってあたくしはにこにこと微笑んで、料理をまた作って並べる。
女3人でこれまでのドラマや小説なんかよりもすごかった仕事の話や、かなみさんのラブラブの彼氏とののろけ話、大学の話、絵の話、色んなおしゃべりをして3人で楽しく笑った。
それは本当に楽しい時間だった。彼氏である三柴暁生さんの話をしている時の彼女の幸せそうな顔があたくしは今も忘れられない。あんなにも愛しそうに話していた彼氏。だけど彼女はその哀しすぎる運命によってその彼氏と…。
→シーンⅣ 8月10日 Megumi6へ
なんとなく今日の新聞の占い、今日よりも昨日の占いのような気がする。