お嬢様に生まれて…つづき

「カオリは・・・欲張りなんだね。」
と言われました。
カオリです。
＊＊＊

…この前のつづき


そう、マキさんのハナシ。

とんでもないお嬢様のマキさんは
ちいさくって白くって細くって
日本人形みたいな顔立ちの人。
年下の私にからかわれても
「あはは、ひっどいなぁ～」と
普通に返す人、持ち物や服も特にお嬢様ちっくではない。
見ようによっては私のほうがお嬢様らしいと言えなくも、ない（かもしれない）。
マキさんは、そんな人。


マキさんの婚約者だった人と
私は一度だけ二人で食事に行ったことがある。
（もちろん二人が付き合う前に）
いまいちパッとしない会社で
（取引先なのでどんだけパッとしないかは知っている。）
仕方なく営業をやってるんだと笑っていた。
面白くてちょっと軽い感じの人。
歌も上手だった。
下町にある実家は小さなクリーニング店で
「ゆくゆくは店継ごうかなーなんて思ってるんだよね。」と。


そんな二人の結婚に
マキさんのお父様は特に反対も賛成もしなかった。
（お父様も勧める見合い相手ならたくさんいたが
マキさんはお見合いなどしなかった。）

たぶん、お父様の反応が引っかかっていたのかもしれない。

結婚披露宴の場所も決まり
（マキさんのお父様の会社の系列のホテル）
具体的な話になってくると、
いろいろ合わないところが見えてきたと言う。
結局、結婚話はなくなってしまった。


「自分で壊してしまったものだから・・・。」
と、マキさんはあまり話をしないし、私も聞かない。

クリーニング屋とお嬢様。

恋に障害はつきものだけど
マキさんはどんな思いだっただろう。


私自身は
お嬢様に生まれていたらどんなにいい人生だったろう
と思うことは何回もあったけど
愛した人と一緒になれなかったかもしれないとしたら
例えばダリンと結婚できなかったかもしれないなら
こんな平凡な家庭に生まれて育って良かったのかもしれないなと。

まぁ、そんなんだったら
ダリンとは出会ってなかっただろうとは思うけど。。。


久しぶりに会ったマキさんは
前よりいい女になっていた。
いまだに、年下の私にからかわれても
「あはは、ひっどいなぁ～」と
普通に返し、持ち物や服も特にお嬢様ちっくではない。