観賞桃

日本で見られる観賞桃(2017年ー80品種前後)を、写真付きで紹介します。

矮性桃とアメンドウ

2018-05-30 13:56:40 | ハナモモ
  『本朝食鑑』

  この書物には、「アメンドウ」の由来を解く上で、手掛かりとなる言葉があります。


 

  『本朝食鑑 12巻』  国立国会図書館蔵 (2018-5-30 4577)

 ※ 1697(元禄10)年に、出版されました。

   著者は、丹岳野必大です。


 

  『本朝食鑑 12巻』  国立国会図書館蔵 (2018-5-30 4578)

 ※ 近代 蠻種 有阿米牟桃者 樹不高 葉狭小 花細淡紅・・・・


   近代とは、今に近い時代を意味しています。

   それは、江戸時代の前、安土桃山時代(1573~1603年)と思われます。


   また、「阿米牟(アメム)桃」は、南蛮人渡りの桃との事です。

   「アメンドウ」は、ポルトガル語の amendoa に由来しています。

   そこで、ポルトガルと日本との交わりを調べてみました。

   1543年に、ポルトガル人が種子島に漂着しました。

   ポルトガルの日本への初来航は、1550年です。 (1639年に禁止)

   1557年に、海賊鎮圧に協力した代価に、マカオの使用権をポルトガルが獲得しました。

   そこを拠点として、日本への往来が増えてきました。

   当時、日本は中国(明)と貿易が中断していました。

   そこで、ポルトガルを介しての南蛮貿易(仲介貿易)により、日本は中国産の生糸を主に輸入出来ました。


   さて、本題の「阿米牟桃」について、考えてみます。

   「樹不高」との記述から、これは矮性の桃です。

   本当の「アメンドウ(アーモンド)」は、6mに達する高木です。

   この事から、日本に渡来した「阿米牟桃」はアーモンドではなく、明国の桃です。

   その間違いを起こしたのは、ポルトガル商人です。


 

  アーモンド (一重咲き・桃色)  2017-3-31 8359


 

  矮性桃  (一重咲き・桃色)  2016-4-1 2111


   買い付けた桃の花が、アーモンドの花に酷似していました。

   当の本人は、アーモンドだと信じて疑わず、「アメンドウ」の名のまま日本に持ち込みました。

   江戸の三之丞も、今までに見たことの無い苗木だったので、「あめんどう」の名をそのまま使いました。


矮性桃とアメンドウ

2018-05-30 09:47:00 | ハナモモ
  『花段綱目』

 『花壇地錦抄』の「あめんどう」によく似た桃が、『花段綱目』に掲載されています。

それを、次に紹介します。


 

  『花段綱目』  国立国会図書館蔵 (2018-5-29 4512)

 ※ 1681(元禄4)年に、出版されました。

   著者は、水野元勝です。

   日本における最初の総合園芸書で、図はありません。


 

  『花段綱目』  国立国会図書館蔵 (2018-5-29 4513)

 ※ 桃珍花異名の事

   南京もゝ   壱重 葉は柳のごとし

    図はありませんが、「あめんどう」および「大坂桃」と同じと思われます。


矮性桃とアメンドウ

2018-05-29 13:29:07 | ハナモモ
 『花壇地錦抄』(くわだんぢきんせう)


 

  『花壇地錦抄 6巻』 国立国会図書館蔵 (2018-5-6 4028)

 ※ 読みは「かだんじきんしょう」で、「かだんちきんしょう」は誤りです。


 

  『花壇地錦抄 6巻』 国立国会図書館蔵 (2018-5-6 4037)

 ※ 出版は、1695(元禄8)年です。

   編集者は、江戸染井の植木屋・伊藤伊兵衛三之丞です。


 

  『花壇地錦抄 6巻』 国立国会図書館蔵 (2018-5-15 4280)

 ※ あめんだう   葉ほそく長く やなぎのごとく 今は中絶してなし

   葉に、特徴があります。

   また、元禄8年現在、この苗が江戸で品切れとなっています。 


 

  『花壇地錦抄 6巻』 国立国会図書館蔵 (2018-5-15 4282)

 ※ 大坂桃(あふさかもゝ)   是を今世間にて あめんたうといふ 葉ほそ長く 
                 木しかみて 花もゝいろ大りん

   当時の日本の園芸産地は、江戸・京および大坂です。

   「あめんどう」が、大坂では「大坂桃」と呼ばれています。

   花は、桃色です。


矮性桃とアメンドウ

2018-05-27 09:28:00 | ハナモモ
 私が初めて矮性桃を調べた時(平成26年)、次のようなネームプレートを目にしました。

 

  2014年5月4日  4831

 

  2014年5月4日  4832


 「アメントウ」という単語が分からなかったので、『広辞苑』(岩波書店)で調べてみました。

それによりますと、「アメンドウ」はポルトガル語の amendoa で、アーモンド(英語)の事でした。

また、アーモンドの項では、
   高さ六メートルに達し、葉・花・果実とも桃に似るが、果肉は薄く、熟すと裂開し、平たい核がある。・・・・・扁桃。巴旦杏(はたんきょう)。
と、記述されていました。

 以上の事柄を頭に入れておいて、次回から昔の文献を見ていきます。


№091 春雷

2018-05-25 13:38:22 | 分類ー観賞桃
 シュンライ
   樹形・・・立性
   花色・・・ピンク
   花形・・・一重咲き

 この❛春雷❜は、超極早生種です。

大磯では、5月下旬に果実を収穫出来ます。

ところで、丸い果形が多い桃の中で、これは縦に長いです。

私は、観賞桃として楽しめるのではないかと思っています。

本日収穫しましたので、紹介します。


 

  2018年3月16日  9844


 

  2018年3月22日  0338


 

  2018年3月22日  0339


 

  2018年5月25日  4439


 

  2018年5月25日  4440


 

  2018年5月25日  4441


 

  2018年5月25日  4503