No.１５ 『観賞桃』

　２０１０年６月第１版、胡東燕・張佐双著、中国林業出版社。

　「寿星桃品種群」に、１２の栽培品種が取り上げられています。

それらの品種は、次の通りです。

　　　０１　単瓣寿白　　　(Danban Shoubai)　　　一重・白色花

　　　０２　油寿白　　　　(You Shoubai)　　　　 一重・白色花・果皮無毛

　　　０３　単瓣寿粉　　　(Danban Shoufen)　　 一重・桃色花
　
　　　０４　単瓣寿紅　　　(Danban Shouhong)　　 一重・紅色花

　　　０５　赤葉寿星　　　(Red Dwarf)　　　　　　一重・桃色花・赤葉

　　　０６　Bonfire　　　　　　　　　　　　　　　一重・桃色花・赤葉

　　　０７　寿白　　　　　(Shoubai)　　　　　　　八重・白色花

　　　０８　幸白　　　　　(Saiwai Howaito)　　　 菊咲き・白色花

　　　０９　寿粉　　　　　(Shoufen)　　　　　　　八重・桃色花

　　　１０　寿紅　　　　　(Shouhong)　　　　　　 八重・紅色花

　　　１１　瑕玉寿星　　　(Xiayu Shouxing)　　　　白地に桃色の絞り花

　　　１２　二喬寿星　　　(Erqiao Shouxing)　 　　桃色と紅色の絞り花

　　　　　　上記の❛赤葉寿星❜は、日本で❛筑波２号❜と呼ばれています。

　　　　　また、❛幸白❜は、❛幸ホワイト❜の事です。


　　現在、花桃を勉強する者にとり、欠かせない本です。

　ところが、第１版が、３０００部しか刷られていませんので、入手困難です。



　　今回を持ちまして、「中国の矮性桃資料」の紹介を終了いたします。

No.１４ 『中国果樹志 桃巻』

　２００１年２月刊、汪祖華・庄恩及　主編、中国林業出版社。

　第九章　「桃品種資源描述」に、寿星桃が掲載されています。

　他に、八重咲きの寿星桃（３品種）が、カラー写真で掲載されています。

それらの花色は、紅・ピンクおよび白地にピンクの絞りです。


　　　５０５. 寿星桃　Shouxingtao

　　原産中国長江流域、為歴史古老品種。樹体矮小、主要用于緑化観賞。上海、江蘇、浙江、河南等地均有種植。
　　果實圓形或橢圓形、平均果重３０g。果頂圓凸、縫合綫深、両側較対称；果皮青緑色、不易剥離。果肉浅緑色、近核処紅色、肉質松綿、汁液少；味酸；離核。
　　樹勢生長矮小、樹姿半開張、樹高１.５～１.６m左右。発枝力強、１年生延長梢平均長度為５cm左右、平均粗度０.４cm、節間長０.５cm、皮色濃紅、緑紅和青緑色、叶為狭披針形、叶尖急尖、叶基尖形、叶縁細鋸歯形、叶面波状、叶色緑、叶脉稀；蜜腺腎形、１～３个。花為薔薇形、有単瓣、重瓣、顔色有深紅、粉紅和白色３種、雌蕊與雄蕊等高、或雌蕊略高于雄蕊、有花粉。在上海地区、３月初叶芽萌動、４月上旬末展叶、５月上旬新梢開始生長。花芽３月上旬膨大、３月下旬盛花、３月底末花、花期持続約１０d、生育期約２４d。
　　在矮化性状方面、紅花寿星桃最矮、白花寿星桃高、粉紅色花寿星桃居中。

　〔意訳〕　寿星桃

　　原産は、中国の長江流域です。
　歴史的に、古い品種です。
　樹の体形は、低く小さいです。
　緑化観賞樹として、主に使われます。
　上海、江蘇、浙江、河南などの地方で、栽培されています。
　　果実は、円形か楕円形で、平均果重は３０gです。
　果頂は円凸で、縫合線は深く、両側は比較的対称となっています。
　果皮は青緑色で、表面を剥がし取るのは難しい。
　果肉は浅緑色で、核の近いところは紅色です。
　肉質はさくさくして軟らかく、汁液は少ないです。
　味は、酸っぱいです。
　核の粘離は、離核です。
　　樹の形は低く小さく成長し、樹姿は半開張で、樹高は１.５m～１.６m前後です。
　枝は力強く生じ、１年間に伸びた梢の平均長は５cm前後です。
　平均的な太さは０.４cmで、節間長は０.５cmです。
　皮色は、濃紅・緑紅および青緑色です。　
　葉は狭披針形、葉尖は急尖、葉縁は細鋸歯形、葉面は波状、葉色は緑、葉脈はまばらです。
　蜜腺は腎臓形で、１つから３つあります。
　花型は薔薇形で、単弁と重弁が見られます。
　花弁色は、濃紅・ピンクおよび白の３種類があります。
　雌しべと雄しべは同じ高さか、雌しべが雄しべより少し高いです。
　花粉を有しています。
　上海地区では、３月初旬に葉芽が萌え始め、４月上旬末に展葉し、５月上旬に新梢が伸び始めます。
　花芽は、３月上旬にふくらみ、３月下旬に満開、３月末に花の終わりを迎えます。
　花期は、約１０日続きます。
　８月下旬に、果実の採集、果実の発育期は約１５０日、生育期は約２４０日です。
　　矮化の性状面では、紅花寿星桃が最も低く、白花寿星桃は高く、桃色花寿星桃が中間に位置しています。

No.１３ 『中国植物志』

　『中国植物志』　１９５９年ー２００４年、中国科学院中国植物志編輯委員会編、
　　　　　　　　　８０巻１２６冊。


　１９８６年６月刊、第３８巻、薔薇科、兪德浚編輯。


　　１２. 寿星桃（汝南圃史）var.densa Makino

　　　　樹形矮、花重瓣。可供観賞及作矮化砧木。

　　　　「寿星桃」　樹形は低く、花は八重咲きです。

　　　　観賞に供し、並びに矮化台木としても利用できます。

　　上記の学名は、『植物学雑誌　１６巻１８８号』（１９０２年　明治３５年１０月　
　牧野富太郎）に記載されています。
　　　　「Prunus Persica Sieb. et Zucc. var.densa Makino」



　※　引用・参考資料・・・ＦＲＰＳ≪中国植物志≫全文電子版網站
　　　　　　　　　　　　　中国植物志　－　維基百科、自由的百科全書
　　　　　　　　　　　　　植物学雑誌　１６巻１８８号



　

No.１２ 『廣群芳譜』

　清の時代、１７０８年（康煕４７年）序、汪灝・張逸少等撰、凡百巻。

　『二如亭群芳譜』を土台にしているため、寿星桃の内容はほぼ同じです。

　巻第二十五　花譜四の桃花に、寿星桃が記載されています。

　　　「壽星桃　樹矮而花　亦可玩」

　　　　「寿星桃」　樹高は低くして、花が咲きます。

　　　　花もまた観賞して楽しめます。


　
　　２０２０年１月１５日　　３６１７


　
　　２０２０年１月１５日　　３６２４


　巻第五十四　果譜一の桃にも、寿星桃が掲載されています。

　　　「壽星桃　樹矮而花　能結大桃　亦奇種可玩　桃殊不絶食」

　　　　「寿星桃」　樹高は低くして、花が咲きます。

　　　　よく大きな桃を付けます。

　　　　この桃もまた珍しい品種であり、観賞して楽しめます。

　　　　桃は、とても食べられたものではありません。　


　
　　２０２０年１月１９日　　３６１９


　※　佩文齋廣群芳譜　－　国立国会図書館デジタルコレクション
　　　廣群芳譜　巻０２５　－　維基文庫、自由的図書館

No.１１ 『花鏡』

　清の時代、１６８８年（康煕２７年）序、陳淏扶揺著、全書六巻。

　巻之三　花木類攷の桃に、寿星桃が記載されています。

　花型としての千葉（八重）が、初めて登場しました。

　本の題名が、中国では『花鏡』ですが、和刻本では『祕傳花鏡』と称している事が多いです。

　　「壽星桃　樹矮而花千葉　實大　可作盆玩」

　　　「寿星桃」　樹高は低くして、八重咲きの花を咲かせます。

　　　果実は、大きいです。

　　　盆栽に作り上げることが、出来ます。


　
　　２０２０年１月１５日　　３６１４


　
　　２０２０年１月１５日　　３６１３


　※　引用・参考資料・・・祕傳花鏡花鏡６巻併圖　－　国立国会図書館蔵
　　　　　　　　　　　　　花鏡（陳コウ子）　－　フリー百科事典『ウィキペディア』