観賞桃

日本で見られる観賞桃(2017年ー80品種前後)を、写真付きで紹介します。

矮性桃とアメンドウ

2018-06-15 08:36:13 | あめんどうの園芸品種
 次に、江戸時代の文献、『本草図譜』(1828年 岩崎常正)を紹介します。

巻之六十二の果部に、「あめんとう」の項目があります。

彩色された図が描かれているため、一目で栽培品種の区別がつきます。


 

  『本草図譜』  国立国会図書館蔵 (2018-5-15 4334)

     一種   あめんどう 孩児桃(汝南圃史) 矮桃(同上)

          道州桃(同上) 壽星桃(花本)


     樹は肥て矮 脚高からず 葉長にして 繁密也 

     西洋のあまんどるの形の如く

     花 單瓣 淡紅の物多し

     又 重瓣のもの 又 紅白の雜り開く物等あり

     実 尖りありて 舶来の巴旦杏に似たり

     汝南圃史に 矮桃 高一二尺 實如金桃 と云

     また 百花譜に 壽星桃 矮而千瓣 と云 これなり


 

  『本草図譜』  国立国会図書館蔵 (2018-5-15 4336)

 ※ これは、ポルトガル商人が日本に持ち込んだ❛あめんどう❜と、同一品種です。


 

  『本草図譜』  国立国会図書館蔵 (2018-5-15 4337)

 ※ 花弁が紅色で、一重咲きと八重咲きの「あめんどう」が、描かれています。

 

矮性桃とアメンドウ

2018-06-14 12:22:19 | あめんどうの園芸品種
 これまで紹介してきた矮性桃(寿星桃・アメンドウ)の品種以外に、2品種が新たに登場しました。

それらは、花弁が赤色の一重咲き品種と白色の八重咲き品種です。

それらが、寛政の改革で有名な松平定信が編集した、『三千とせ』(天理大学付属天理図書館蔵)に描かれています。

その模写本が国立国会図書館にありますので、紹介します。


 

  『浴恩春秋両園梅桃雙花譜』  国立国会図書館蔵 (2018-5-15 4329)


 

  『浴恩春秋両園梅桃雙花譜』  国立国会図書館蔵 (2018-5-15 4330)


 

  『浴恩春秋両園梅桃雙花譜』  国立国会図書館蔵 (2018-5-15 4331)


矮性桃とアメンドウ

2018-06-13 13:51:26 | あめんどうの園芸品種
 「西王母」には、中国の桃(崑崙桃)と日本でも見られる矮性桃とがあります。

「西王母」の名が見られる文献を、三つ紹介します。

     『花壇綱目』(1681年 水野元勝)


 

  『花段綱目』  国立国会図書館蔵 (2018-5-15 4277)

     せいおうほう    千よ うす色 中輪也


     『倭漢三才圖會』(1713年 寺島良安)


 

  『和漢三才図会:105巻首1巻尾1巻』  国立国会図書館蔵(2018-6-13 5221)

     △按 今名西王母桃者 其樹葉實皆與桃無異

      但 桃生不三年者無花

      此桃種子生 翌年開花

      淡紅色 千葉而多結子

      大抵 千葉者不結子

      此 一異也


     『大倭本艸』(1709年 貝原益軒)


 

  『大和本草 18巻』  国立国会図書館蔵 (2018-6-13 5223)

     日本ニテ 西王母ト云桃ハ

     花 八重ニテ 大ナリ

     花 遲ク落ツ

     花 美シ

     是ハ 日本ノ名ナリ

     中華ノ名ニ アラズ




矮性桃とアメンドウ

2018-06-13 12:49:29 | あめんどうの園芸品種
  『本艸花蒔繪』(1739年 伊藤樹久 ← 政武の隠居後名)

 ※ ❛八重安免牟太于❜という栽培品種名が、この本に初めて見られます。

     八重安免牟太于(やゑあめんだう)

    花 やゑ 濃もゝいろ

    木 葉 形状 あめんたうのごとく

    桃多く付て 賞翫となる


 ※ 矮性桃で花弁が桃色の八重咲きは、それまで(元文4年)に無かったのでしょうか。

  江戸時代の文献を調べたところ、❛西王母❜が見つかりました。

  『花壇地錦抄』に、❛西王母❜と❛あめんどう❜の2つの品種が、並んで掲載されています。

  伊藤樹久が「あめんどうシリーズ」(あめんどう・八重あめんどう・源平あめんどう・白あめんどう)にするため、『本艸花蒔繪』で❛西王母❜を❛八重あめんどう❜に替えたと思われます。


 

  『花壇地錦抄 6巻』  国立国会図書館蔵 (2018-5-15 4280)

     西王母(せいわうぼ)

    もゝいろ 八重 大りん

    木一尺ほどになれば 花さく事おびたゞし

    桃は 一所に二つづゝなる物なり

    花落るまで 葉出ずして 落花後 葉出

    六七月時分 葉のさきに 又 花さく事あり



矮性桃とアメンドウ

2018-06-12 12:31:58 | あめんどうの園芸品種
  『廣益地錦抄』

 巻之一に、❛源平あめんどう❜(飛び入り品種)が、掲載されています。


 

  『廣益地錦抄』  国立国会図書館蔵 (2018-6-11 5186)


 

  『廣益地錦抄』  国立国会図書館蔵 (2018-6-11 5187)

 ※ 享保己亥は、享保4年で、西暦1719年です。

   武陽染井の野夫とは、伊藤伊兵衛のことです。


 

  『廣益地錦抄』  国立国会図書館蔵 (2018-6-11 5191)

     源平あめんたう      春 初 中

    木も葉もつまりて あめんたうなり

    花 白 やゑに あかくとび入り有

    紅白 りんちがひも さく

    木 ちいさくて 花 多く付く

    もゝも 大ぶりにて 夏のころ じゆくす


 ※ 『本艸花蒔繪』にも、❛源平安免牟太于❜の記述があります。

     源平安免牟太于(げんへいあめむだう)

    花 やゑ 

    白地に紅のとび入り 色々にさきわけ

    りんちがひも さく

    形状 あめんだうに同じ