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第4話(4)

 ジハード(聖戦)(4)

 (ハキミの話は続く)

 少し掘ると、水がしみ出てくるような場所だ。
水浸しになりながら、敵の現れるのを待つ。

 砲撃が始まった。
ありがたいことに、砲弾はうなり声を上げ、頭上を飛び越えて行く。

 「近づくまで撃つな、敵はこちらの位置がわからないんだから。」
ファッサーが教えてくれる。

 草原からエンジン音が聞こえてきた。
「戦車は動けないはずなんだが。」

 緑色の車体が現れた。
「くそ、水陸両用戦車だ!」

 味方の1人が、我慢できなくなり発砲する。
数台の戦車が歩兵を従え、射撃をしながら突進してきた。

 僕は夢中でAK-47の引き金を引いた。
弾倉が空になる。

 突然、先頭の戦車がガクッと止まり、燃えだした。
味方の対戦車ロケット弾が命中したのだ。
敵はサッと、後退していった。
戦車は爆発し、炎を大きく吹き出した。
 ------------

 夜、総攻撃をかけることになった。
新しい弾倉と手榴弾が支給され、ナツメヤシが配られた。
僕は家族に手紙を書こうとしたが、書きたいことが一杯ありすぎてまとまらず、鉛筆を置いた。

 真夜中、行動を起こす。
前の仲間の背中が見える程度の暗闇だ。

 我々は分隊ごとに固まり、地面を覆って前進した。
時々閃光が走り、照明弾が上がる。

 グワッ!
 突然、大地が振動し、周りが真っ赤になった。
敵の弾幕の中に入ったのだ。

 周りの兵士が人形のように吹っ飛ぶ。
火炎や熱い鉄片、土が雨のように降り注ぐ。

 煙で方向がわからなくなった中、この地獄から抜け出そうと夢中で走る。
少し窪地になったところに飛び込む。

 仲間が何人も飛び込んできた。
「助けてくれ!助けて!」
「落ち着け、敵は闇雲に撃っているんだ!」

     
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