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 V-2復元(4)

 モスクワ北東のカリーニングラードにある隔離された研究所で設計、製作を行う。

 ドイツ人技術者はマグヌスという、背の高い神経質そうな男だった。

 「君はジャイロスコープについて、経験があるかね?」
「いいえ、原理程度は理解していますが。」

 「それでは、傍で見ていたまえ。但し、邪魔はしないでくれよ。」
私は片言のドイツ語を、マグヌスは片言のロシア語を話せる。

 マグヌスは図面を引っ張り出し、調べ始める。

 「それは何の図面ですか?」
「***の部品図だ----------------」

 ワシリエフは仕事が終わった後、ドイツ語の辞書を片手に、必死に図面を辿る。
また、文献や本を借り、猛勉強した。

 マグヌスは、最初はワシリエフの矢継ぎ早の質問に、面倒くさそうに答えていたが、ワシリエフの熱意が伝わったのか、そのうち丁寧に教えてくれるようになった。

 ロケットの誘導装置は、ロケット・エンジンと共にロケットの最重要部である。
V-2ロケットは慣性航法により飛行する。

 ロケットに搭載された水平、垂直、積分の3つのジャイロスコープにより、設定方向からの角度偏移を測る。
その情報を、姿勢制御装置に入力して軌道修正を行い、ロケットを目標に到達させる。

 ワシリエフは週末に、1週間分の仕事内容を詳細なレポートにして、本部に提出する。


 V-2ロケットは12基復元する予定だ。
ドイツから持ち帰ったジャイロスコープを修理、調整するのとは別に、新たに製作しなければならない。

 ジャイロスコープは極めて精密な装置だ。

 参考図:ジャイロスコープ-Wikipedia
     
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