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第3話(2)

攻撃(2)

 発煙筒がたかれ、前進を開始する。中戦車が先頭だ。
ド、ド、ドン!
2、300m進んだとき、敵の銃砲撃が堰を切ったように始まった。

 あたり一面が爆煙で覆われ、視界が悪くなる。
戦車はくぼ地に突っ込み、こぶを乗り越える。
敵火点から機関銃の曳光弾のシャワーが伸びてくる。
速射砲の発射光が目を射る。

 躍進射を繰り返す。
先頭を行く中戦車の底部がパッと光る。
「地雷あり、注意!」

 前方の中戦車が停止した。細かく前後進を繰り返す。
敵速射砲弾が命中したらしく、戦車が身震いする。
2,3回身震いしたと思ったら、ハッチから炎を噴出した。
乗員が炎に包まれながら、飛び降りる。

 2台目もやられる。  そして、3台目も。

 「対戦車障害あり、全車一時後退!」
この障害はピアノ線だった。ピアノ線の束は綿のように地面一面に広がっており、丈30~40cmの草に隠れて、よほど接近しないと発見できないのだ。

 歩兵が進出してきた。戦車の進入路を開いてもらうのだ。
戦車は砂丘から砲塔だけ出し、援護射撃をする。
歩兵は砲弾の爆発でできたクレーター伝いに前進している。
我々は薄いとはいえ、10ミリほどの装甲で守られている。
彼らを守るのは、1ミリの被服のみだ。

 歩兵の間で砲弾が爆発し、何人かが吹き飛ぶ。
それでも、じりじりと敵陣に迫る。
味方の火砲や重機も進出してきて、敵の火点を制圧する。

 ピアノ線帯に穴が開けられた。
「前進!」
戦車群はくぼ地を飛び出し、斜面を駆け上がる。
車内の弾薬が誘爆し、バラバラになった味方の中戦車の脇を通る。
そばには黒こげの何かが。

     
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