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英語で読む海戦史(85)

原書は、著名なアメリカの海戦史家Samuel Eliot Morisonの「The Two-Ocean War」です。内容は第2次世界大戦におけるアメリカ合衆国海軍の太平洋と大西洋における戦いを描いたものです。日本との太平洋における戦いの部分に関しては、光人社から「モリソンの太平洋海戦史」(大谷内一夫 訳)として出版されています。あまり知られていない、ドイツとの大西洋における戦いの部分に関して、英語の勉強をかねて読んでみました。

(原文)
Chapter ⅩIII The Navy in the Invasion of France( 1944 )
85.
     Because the reefs and the foul ground off the British beaches were bare at low water, it was necessary to postpone H-hour until the flood tide had been running between 60 and 90 minutes. This gift of time was well improved by the Royal Navy to bombard selected strongpoints with high-caliber shell for almost two hours by daylight-four times as long a bombardment as the United States Navy had opportunity to deliver at Utah and Omaha. H.M.S. Warspite, veteran of the Battle of Jutland, was particularly effective. Owing to this two-hour pounding of beach defenses and strongpoints, and the fact that only one “static” German division was defending the British area, these landings were a pushover.

But elements of a German panzer division were about to be committed, and Caen, which optimists thought might fall on 7 June, would be captured only after more than a month of heavy fighting. The Germans here made their bitterest stand against the invasion, to block the road to Paris. All this was expected, and in accordance with Montgomery’s plan to draw upon the British Army the weight of German countereffort, giving the United States Army time to capture Cherbourg.
            
(訳)
第13章 フランス侵攻での海軍( 1944年 )
85.
     イギリス軍地区の浜辺では、岩礁と荒れた地面が浅い水面に露出していたため、満潮になるまで60分から90分、攻撃開始時間を延期する必要があった。  この時間の贈り物はイギリス海軍により大いに利用された。  イギリス海軍は、大口径砲により特定の敵拠点を日中にたっぷり2時間-アメリカ海軍がユタとオマハで与えられた砲撃時間の4倍-砲撃した。  英艦ワースパイト、ユトランド海戦のベテランは特に効果的に働いた。  この敵海岸防御拠点への2時間の猛撃と、イギリス軍地区を守っていたのはたった1個のドイツ歩兵師団だったことにより、これらの上陸は楽勝だった。

     しかし、ドイツ装甲師団の一部が作戦に参加し始めたので、楽観主義者が6月7日に陥落するだろうと予測していたカーンはさらに1ヶ月以上の激しい戦闘の後、占領されることになる。  ドイツ軍はここで、パリへの進撃を阻止するため、連合軍の侵攻に対し、最も激しく抵抗した。  このことは全て予測されていた。  そして、アメリカ軍にシェルブール(ノルマンディの港街)を占領する時間を与えるため、ドイツ軍の反撃努力の圧力をイギリス軍に引き寄せるというモントゴメリーの計画に従っていた。
       
(注釈)
the Battle of Jutland(ユトランド海戦);
 第一次世界大戦で起こった唯一の、戦艦を主力とした艦隊同士による海戦。  1916年5月31日から6月1日にかけてデンマーク沖で、ドイツ帝国の大海艦隊と大英帝国の本国艦隊が激突した。  ドイツの主力艦は巡洋戦艦5隻、戦艦16隻、旧式戦艦6隻で、対するイギリスの主力艦は巡洋戦艦9隻、戦艦28隻だった。  決定的な砲撃戦は起こらなかったが、イギリスは巡洋戦艦3隻、ドイツは巡洋戦艦1隻、旧式戦艦1隻を失った。  この海戦の後、ドイツ艦隊は終戦まで本国の港に押し込められ、戦局に寄与できなかった。

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