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トラファルガル海戦(20)

 原本はイギリス人、Shippen Edwardにより書かれた「Naval battles of the world: from Salamis to Japan Sea」(1905年刊)で、サラミスの戦いから日本海海戦までの歴史的な海戦を紹介している。 日本は周囲を海に囲まれてはいるが、とても海洋国家とはいえない。歴史の舞台では忘れられがちな部分にスポットを当ててみよう。

TRAFALGAR (20)
 “At five in the afternoon the French fleet was either destroyed or fugitive. Seventeen French and Spanish ships had been taken, and one blew up. The combined fleet lost six or seven thousand men in killed, wounded, drowned and prisoners. A more horrible sight has seldom been seen in a naval battle.

 The English had suffered much. Many of them had lost masts; some were entirely disabled. They lost about three thousand men, a great many officers and Nelson. And this had the effect of moderating the enthusiasm in England over this great victory.

 During the following night a heavy gale arose, as Nelson had foreseen. The English, having great trouble to take care of themselves, were forced to abandon the prizes they had in tow, or in company. Many of the prizes were seized by the prisoners, and, after great effort, succeeded in getting into Cadiz. The English retained but four of their prizes and Admiral Villeneuve, whose troubles were not yet ended. The French marine was almost destroyed, physically and morally; and they have hardly recovered from it at this day.”

トラファルガル海戦(20)
 “午後5時にはフランス艦隊は破壊されるか逃げ去っていた。  フランス、スペイン艦17隻は拿捕され、1隻は爆発した。  連合艦隊は6千か7千名を殺されるか、負傷するか、溺れるか、捕虜になるかで失った。  海戦でのこれ以上の悲惨な光景は、めったに見られない。”

 “イギリス側も多大の損害を被った。  多くの艦がマストを失い、幾隻かは完全に使用不能となった。  彼らは約3千人の乗組員と多くの優秀な士官、そしてネルソンを失った。  このことは、この偉大な勝利へのイギリスの熱狂に水をさした。”

 “次の夜、ネルソンが予見したように暴風雨が起こった。  イギリス人は自分自身の面倒を見るのに精一杯だったので、曳航したり隊列に組み込んでいた拿捕船を放棄せざるをえなかった。  多くの拿捕船は捕虜により奪還され、大変な努力の末、カディスに入ることに成功した。  イギリス側は4隻のみの拿捕船とヴィルヌーヴ提督を確保したのである。  ヴィルヌーヴ提督の困難はまだ終わっていなかった。  フランスの海上勢力は、物理的にも気持ちの上でも、ほぼ打ち砕かれてしまった。  フランス海軍は、この日の敗北から容易には立ち上がれなかった。”

(ひとこと)
 軍艦に軍医は乗っていたが、重傷者に関しては、砕かれた手足を切断するぐらいだった。  衛生の知識も乏しく、感染症にかからなかった運のよい者だけが助かった。  この海戦では戦死者と負傷者の割合は2:1だった。  戦死者と負傷者の割合は医療の進歩と共に変わる。  第2次世界大戦では、標準的な戦死者と負傷者の割合は1:3だった。  イラク戦争でのアメリカ軍の戦死者と負傷者の割合は1:7である。  足を失った兵士が義足をつけ、戦闘に復帰した例も報告されている。
〔参考文献:ロイ・アドキンズ著、山本史郎訳「トラファルガル海戦物語」、原書房〕
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