1.エチオピア派遣
私は中西孝治、土木工学の研究機関で働いていた。
今、JICA(国際協力事業団)により、土木技術の専門家として、エチオピアに派遣されている。
任務はエチオピアで進められている灌漑農業発展への協力だ。
エチオピアでは20世紀末より、干ばつによる大飢饉に、何度となく見舞われている。
エチオピア高原は地味豊かで農業に適した土地だったが、天候不順による干ばつ、人口増による過剰耕作、戦乱などにより、エチオピアは慢性的な食料不足に悩んでいる。
食糧増産の手段として、農地の灌漑施設の整備がある。
しかし、エチオピアにはこれを実行するための人材、能力が不足していた。
そのため、エチオピア側から日本に対して、灌漑システム整備の技術協力要請がされた。
そして2005年、エチオピア当局と協力して灌漑システムを改善すべく、プロジェクトが開始された。
それに沿い、中西ら日本人スタッフが当地に派遣されたのである。
「エチオピア」
国土は日本の約3倍、人口は1億2千万人(2021年、アフリカ第3位)。
多民族国家、農業国、世界最貧国の一つ。
アフリカで、短期間を除き、植民地支配を受けなかった唯一の国。
参考図:「灌漑農業改善プロジェクト」、ODA 見える化 サイト