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第1話(5)

 Sボート戦隊(5)

 1ヶ月の総合訓練の後、訓練生は担当部署へ振り分けられた。
「ハンス、君は幹部コースに行け。」

 そこで、艇隊の組織、艇の管理、運営法、航海法そして戦闘方法を学んだ。
Sボートの乗務員は大体20名、それらを1つのチームにしなければならない。

 Sボート戦隊は開戦以来、英仏海峡や地中海でイギリス海軍と激しく戦ってきた。
それらの戦いから得られた戦術を、教えられる。

 Sボートが単独で攻撃することは、めったにない。
複数艇でいろいろな陣形(フォーメーション)を組み、攻撃する。
単縦陣から単横陣、くさび形陣、片くさび形陣など、さまざまだ。

 Sボートは火力も弱く、防御力も弱い。
一撃必殺を旨とする。
そのため、夜間の待ち伏せ攻撃となる。

 最低速力8ノット、こっそり近づき、雷撃、すぐさま速力を生かしての離脱。

 不思議なもので、ハンスは、身体がだんだんSボートになじんでくるのを感じた。
一心同体、というやつだ。

 わずか1ヶ月で幹部コースを終了し、少尉に任官した。

 エルンストと話をする。
「わずか4ヶ月の訓練で実戦とは。上手くやる自信ないよ。」
「少尉、中尉は消耗が激しいんだ。早い補充が必要なのさ。」

 「我々のことを“鉄砲玉士官”と呼ぶやつがいる。」
「“飛び出したら、それっきり”という意味なんだそうな。」
「そうはいくか!」

     
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