アヘン戦争の経過は、オランダ船からの情報で、幕府は知ることができた。
中国船からのものは希望的風説が多かったが、清がイギリスに屈したことはわかった。
そして、山中らの持ち帰った生の情報を加えた結果、世界一の強国であると信じていた清帝国がイギリスに完敗したことが明らかになった。
このことは、幕府に衝撃を与える。
幕府は、それまでの異国船打払令を撤廃し、列強への態度を軟化させる。
体制への危機を感じ取った有志は、海防の強化、新式大砲の製造、軍艦の建造,洋式軍隊の創設などを訴える。
しかし、200年の太平に安住した人々は変化を嫌い、具体化はなかなか進まない。
当時、一般大衆は外国のこと、特に欧米に関しては、何も知らない。
しかし、長崎出島のオランダ船から持ち込まれたオランダの書籍により、蘭学者は世界に関する情報を、かなり持っていたのである。
そして、蘭学者を通じ、幕府中枢にも、それらの情報は伝わっていた、と考えられる。
参考図:「渡辺崋山、高野長英」、佐藤昌介編、中央公論社、1984
