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太平洋のスペイン船(12)

 原本はイギリス人、Laughton, John Knoxにより書かれた「Sea fights and adventures, described by John Knox Laughton」(1901年刊)で、カリブ海を舞台に私掠船(しりゃくせん:国黙認の海賊船)の活躍を青少年向けに描いています。  現在騒がれているソマリア沖や南シナ海の海賊と違い、当時の私掠船は国同士の勢力争いの影の尖兵の感があり、また植民地からスペインが奪った黄金財宝を横取りするという爽快感もあります。  まずは読んで見ましょう。

The Spaniards in the Pacific (12)
 And on board the Maurice, the Spaniards beat the Dutchmen below, and for a minute it seemed as if the ship was theirs. At the beginning the Dutch had only thirty-five men, and some of them sick. Five had now been killed, several had been wounded; all were worn-out with fatigue and utterly disheartened.

 They were ready to surrender; and, as in this fighting there was no quarter, they would certainly have been killed.

 But Noort went among them in a fury. “What are you skulking down here for, you white-livered sons of sea-cooks,” he shouted, ”moping in a corner like a lot of hens on a wet day? Up, you misbegotten scoundrels, and fight, or I’ll put a match into the magazine and blow you and the ship and the Spaniards to blazes all together.”

太平洋のスペイン船(12)
 モーリスの船上では、スペイン兵はオランダ人を甲板下に追いやり、一瞬モーリスはスペイン兵のものになったかと思われた。  戦闘の開始時、オランダ人はたった35人で、何人かは病気だった。  5人は既に殺され、数人は負傷していた。  全員ぼろぼろに疲れきり、まったく落ち込んでいた。

 彼らは降伏しようとしていた。  しかし、こういった戦いで助命はなかった。  彼らは確実に殺されていたろう。

 ノールトは怒り狂って彼らの間に入り込んで、叫んだ。  “お前らは何で、ここにこそこそ隠れているんだ、臆病野郎!  雨の日の雌鳥みたいに隅っこでふさぎこみゃーがって!  立て、役立たずの悪漢ども!  立ち上がらなけりゃー、俺は弾薬の中にマッチ火を放り込み、お前らを船やスペイン人と一緒に吹き飛ばしてしまうぞ!”
 
(ひとこと)
 当時の銃の弾丸や大砲の砲弾を飛ばす火薬には、黒色火薬が使われていた。  硝石に硫黄と木炭を粉末状にして混合したもので、発煙量が多かった。  日本の戦国時代の火縄銃にも使われていた。  爆発力は弱かったが、それにより起こる火災は、木造船にとり一番の恐怖だった。  18世紀にニトログリセリンを使った強力な無煙火薬が発明され、戦場から黒色火薬は消えていった。
     
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