私が生まれた町、大谷町(おおたにまち)にある、大谷神社の秋祭りです。
日も暮れて、キリコにも灯りが灯ります。
キリコは、字が書いてある方が前で、タイコのある、絵の書かれている方が後ろです。
キリコが動きだすのは、9 時過ぎなので、それぞれの家では、家族や親戚、友達や仕事関係などのお客様を招いて、祭りの宴席が催されます。
定刻になり各在所(町内)を出発したキリコは、山手にある神社の前に集合し、各総代は、神様の乗ったお神輿をお迎えに上がります。
各総代が、高台にある神社でご挨拶した後、祝詞が奏上され、神輿当番の方々によって、お神輿が巡行のために降ろされてきます。
キリコはお神輿の前後に連なって、笛と太鼓とカネを鳴らしながら、大谷町内の各在所への神輿巡行の道筋を照らしていきます。
細い山道や、海沿いの道を、ゆっくりと進みながら、各在所での、お神輿をお迎えしての祝詞奏上のための道中を、ご案内させていただくのです。
全地区をまわったあと、海の近くにある神社の前にキリコは並び、お神輿は神社の拝殿におさめられます。
各総代は、無事にお神輿巡行のおともができたことをねぎらわれ、感謝しつつ、海の幸、山の幸、新米、お神酒などがおそなえされたお神輿の前に設けられた祭壇に、玉串を奉げ、あらためて祈ります。
そして、キリコは各集落へと帰っていきます。
翌日、午前中にみんなでキリコの片付けをしてから、総代は、会計担当の方々と、宿元(やどもと)と呼ばれるお宅に集まって、いただいた目録やお酒の確認やお礼の準備、お酒の支払いなどを済ませて、午後からの準備をします。
男性だけでなく、ご婦人方も集まって、自分たちの集落にお神輿を迎える準備をします。
祭り囃しが聞こえてきて、お神輿がやってきます。
昨日一泊した、海手の神社を出発して、お神輿は各集落の宿元にやってきてあらためて祝詞が奏上されます。
そして、お神輿に続いて、大谷獅子舞保存会の一行もやってきます。
子どもたちも含めて、20人近いメンバーによる、獅子舞が披露されます。
各集落では、お神輿のおともの方々と、獅子舞の一行に、ちょっとした料理や飲み物を振るまい、御礼の接待をします。
次の在所へと向かう、お神輿と獅子舞の一行を見送ったあと、来年度の祭礼の総代担当者と会計担当者を話し合いで決め、そのあと「かすもみ」と呼ばれる賑やかな宴席(地区内の打ち上げ)が始まります。
うちの集落では、キリコからおろした太鼓を宿元のお宅に運んで、祭り太鼓を皆で叩きます。
かすもみの宴席がお開きになると、今年のお祭りも無事に終えることができたナと、充実感に満たされるのでした。
お神輿に乗った神様は、その年の神輿当番の方々の手によって、大谷町の各在所を巡られ、その後、山手の神社へとお帰りになられます。
キリコの総代は二人で務めますが、今年、私ともう一人の総代をおつとめになられたのは、金沢の、片町のほど近く、木倉町(きぐらまち)で、「味処 浜の」というお店を開いておられる、浜野さんでした。
本日もご訪問ありがとうございます。

どうぞごゆっくり、なさっていってくださいね。