ぼやきぼやかれ、ふりふられ。

映画や本や神社や展覧会。あとは日々のつれづれです。

【ゴールデンフィッシュ】モノの見えかたは、いろいろ。

2014-03-03 00:33:58 | 絵画・芸術・展覧会

[ゴールデンフィッシュ]パウル・クレー

数あるクレーの中でも、特に好きな作品のひとつ。

金色の魚は光を発し他を圧倒する独裁者のよう。他の魚は関わりたくないと、怯えそっぽを向く。
まぶしい程に強いひかりは強大な力となって、周りを押さえつけているのかも…。

そんな作品だと思ってた。
疑うことなく、ずっと…。

最近読んだ本、2冊。
・「ようこそ、自殺用品専門店へ」ジャン・トゥーレ
・「レンタルチャイルド」石井光太
全く関係ないジャンルの本だけれども。読みおえてから、クレーの画集を開いたらなぜか、今までと違った見えかたがした。

暗く哀しみに沈んだ海の底で、誰とも関わらず暮らす彼らを、精一杯の輝きで照らしてあげようとしている魚。光はやがて、心の中にまで届くのかな…。

それとも、それとも。
派手で目をひく大きな魚は、異なモノと恐れられ、疎外されているだけなのかも。

強い光は時に、まわりを照らす標になり、暖になり…
時に、まわりを縛る鎖にもなる

真実は、どこにある?
あなたには、何が見える?