kanaco Diary

violin弾きkanacoの日常

そこはちょっとした異空間

2008-10-30 | 日々のこと
そこは、とあるビルの3階の一室。


下には賑やかな繁華街が広がるとは思えない静けさが此処にはある。


一歩そこに踏み入れると、重厚なクラシッツクが流れている。

これは確かベーートーベン交響曲第2番・・・のはず


所狭しと並ぶ楽器ケース、そして奥のショーケースにはバイオリンがずらりと並べてある。

そして更に奥にはドロッセルマイヤー老人(←勝手に命名。注:日本人)が楽器の調整なのか、片目を瞑りバイオリンを斜めにしたり、縦にしたりしながら眺めている。


カウンターにはセバスチャンが(←また勝手に命名。注:日本人)いるのに「いらっしゃいませ」の言葉もない。



やる気があるのかこの店っ




・・・・・それはいいとして、今日このお店に来たのはバイオリンの弦を買う為。

弦が売っているのはセバスチャンがいるカウンターの直ぐ横である。

ベートーベンが4楽章に入り、妙な空気が流れる。

早く選ばなくてはなぜか気持ちが焦る。


最近、弦にも種類がかなり増え、新しいのも試してはみたいんだけれど、けして安い物ではないのでいつも安全線を取って使い慣れた物を選んでしまう。


そして今日も・・・


「これください。」

「Å線とD線でお間違いないですか?」


今日聞く初めてのセバスチャンの声は意外と高かった。


お会計を済ませる。

セバスチャンは丁寧に弦を袋に入れて渡してくれた。

渡された袋を見て私は一瞬止まった・・・



↓    ↓     ↓





あまりにも意外だった。



この店には似合わない。


そしてセバスチャンが扱うとは思えない。



でも・・・


「・・・・・・か・・・かわいい・・・



思わず声を出してしまった。


セバスチャンは言った。

「31日までなんですよ」


そりゃそうだと思うけれど・・・・



その瞬間この店の印象が私の中で変わったのであった。