緊急事態宣言も解除され、街に明かりが灯り、子供達の楽しそうな声が帰ってきました。
和紙の里会館にも、連日小学校の課外学習のバスがやってくるように。
小中学校での様々な経験は、好き嫌いにかかわらず、とても大切な事だと思っています。
と言うのも、私自身の小学生の時に体験したことが、今の仕事に繋がっているからです。
小学生の時、校外学習に行き紙すき体験をしました。
色紙と葉書、漉いた後に紅葉を入れて上掛けをして。その紙屋はかやぶき屋根で前に柿の木があって、ほのぼのとした里山の雰囲気がとても良くて印象深く、今でも鮮明に思い出せるほどです。
その漉いた紙が帰ってきたのは卒業式。
校長先生が【努力】と文字を書いてくれていました。
それにとても感動してずっと大切に持っていました。
大人になり、全く違う仕事に就き、色んなコトを目にして過ごし、色紙のことはすっかり忘れていました。
ところが、ある切っ掛けで、和紙の世界へ。
(以前にブログで)
埼玉の小川町、越前和紙を経て、美濃和紙へ。
その間にも色んな産地を見て十数年・・・
出張で東秩父村村に行く機会がありました。おぼろげな記憶でしたが、あの時に漉いた紙の里は秩父だった気がして、里帰りと思い持っていったんです。
少し緊張しながら和紙の里へ。
周りの建物が近代的になってしまっていたけど、あの時の茅葺き屋根と柿の木がそのまま残されていました。
ああ、ここだ。
記憶が鮮明によみがえり、懐かしさに胸がいっぱいです。
その時から見える従業員はただ1人。その方と再会した和紙。うん十年前に漉いた和紙は、少しも劣化しておらず堂々といていて、それにびっくりされていました。
年月を経て紙すきになっていた私。
努力が欠かせない仕事。
ずっとしまっていた色紙は今リビングに飾られています。
小さな頃は、好き嫌いあるけれど、なるべく多くのコトを見て聞いて経験した方がいい。
今役に立たなくても、その経験が数十年後いきてくるかもしれないから。
そんなことを思った秋の夕暮れでした。