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紙々是好日 紙漉き職人のブログ

秋の空は格別


紙を作る工程に、「ちり取り」というものがあります。和紙は靱皮繊維という木の皮が原料で、その皮は大きく分けて一番外側の木肌部分の黒皮、その下にある緑色の甘皮(なぜ皮とも)、芯に一番近い白皮の三層になっています。

木と言っても、株で育てて毎年収穫されるので、枝かな。春芽吹き冬前の収穫までに三メートルほど伸びます。






多くは、黒皮甘皮を剥いだ白皮を乾燥させたものを買い付けます。でもやっぱり自然のものなので、硬い筋や変色した繊維などがあり、黒皮や甘皮が残ってたりします。

煮熟し柔らかくした後に、それらを除く「ちり取り」を行います。水の中で楮を一本ずつとり、根元の方からたぐり寄せながら表、裏とチェック。



全工程の中で一番時間がかかるし、品質にかかわる重要な仕事です。
でもね、ずっとしてると集中力が途切れることがあるのです。

そんな時、
ふうっと手を止めた水面に映った空が綺麗で。



思わず外に出て写真を撮る





秋の空は一番すき。

澄んだ青い空に真っ白なふわふわ雲が浮かび、少し橙がかった陽があたり、キラキラと輝いて。
時間が経ち、陽が沈みかけて夜が降りてくるのもいい。昼と夜の交替の時間、誰そ彼時。
君の名はでは「かたわれ時」と表現してましたね。




ふと見入ってしまい、時が止まる一瞬。


自然の美しさを感じられる、
この季節が大好きです。

美濃に来て、四季の移ろい美しさを感じながら仕事が出来ることが、とても心を満たしてくれる幸せなことだと知りました。

この大きな流れのなか、自分はとても小さな存在であることを感じるけれど、でもまたその大きな流れの一つなのだとしみじみ思いながら、またちり取りをするのでした。



コメント一覧

kaminntyu
こんばんは
応援ありがとうございます。
楮の見分けがつくとは恐れ入りました。
毎回石州に伺った時に一節見させていただくのですが、石見神楽をちゃんと見に行きたいなと思っています。
sei19hina86
こんにちは!ブルースカイⅢです。
秋の空は、空気が冷たくなりますので、空の青さも一段と
濃くなって行きます。
雲も、うろこ雲をよく目にするようになります。

和紙の原料ですが、写真は楮ですね。
三椏、雁皮などもありますが、楮の葉は三つに分かれています
ので、見分けがつきます。

明日、和紙写真展を開催する為、下準備に入ります。
今月4日から30日まで、中国電力三隅火力発電所内「ふれあい
ホール」にて展示します。
その様子をブログに載せますのでご覧下さい。

段々気温が下がって、水仕事が辛いですね。
ガンバって下さい。
では、また。(^O^)/
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