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紙々是好日 紙漉き職人のブログ

和紙って何で出来てるの?


紙が木から出来ていることは何となくわかる人でも、和紙が何から出来ているか?知らない人も結構多いんじゃないかと思います。

実は和紙は「木の皮」である靱皮繊維から出来ています。
和紙の原料として有名なのは、楮(コウゾ)、三椏(ミツマタ)、雁皮(ガンピ)で、他には麻や藁等々。

それぞれに繊維の長さや質が違い、用途によって変えたり、ブレンドしたりします。

私がよく使うのは楮。
これは梶とヒメノキの雑種で、紙にとても適した繊維なのです。面白いのは、育てる産地により繊維の特徴が変わること。種類の同じ楮でも、育つ環境により長さや太さ艶などが変わってしまうのです。どこで育てるか?が重要なんですね。

この楮、株で育て毎冬に収穫できるので、毎年安定した収穫量が見込めます。
   



冬になり葉が落ちた幹を刈り取り、蒸して柔らかくなったら、皮を剥ぎます。それを乾燥させて保管。
木の皮がそのまま付いた「黒皮」、外側を更に剥いで内側の白い部分だけを残した「白皮」など、これまた用途により使い分けます。
 

乾物と一緒で、1年分の乾燥した楮をカビないように家の一番良い部屋に保管し、使う時に使う分だけ処理します。

まずは水つけ
2、3日流水に晒し、紫外線を浴びた楮は少し白くなります。
 

次は煮熟(シャジュク)
アルカリ液で煮ると柔らかくなります。
昔は灰でアルカリ液を作り煮ていたそうです。
ガスのない時代は灰が沢山あったので直ぐに集まりますが、今は灰を1年分ためておいてようやく1回煮えます。
 

煮て柔らかくなったら「ちり取り」です。
木の皮、自然のモノなので、どうしても黒い皮や固くなった繊維、変色した所があります。
これを水の中で一本ずつ表裏チェックし取り除いていきます。この作業が紙の品質を左右すると言っても過言ではありません。


この、取り除いた方の繊維は、「チリ」や「粕」などと呼ばれますが、けして捨てることはありません。

それだけを集めて、「チリ入り」「粕紙」として漉くのです。
この時、前に漉いて傷物になってしまった紙を入れて再生。紙を漉くときに余計なモノを入れていないので、水に浸けておくだけで簡単に繊維に戻す事が出来ます。

この紙は、暖かな風合いで、和紙と言えばこれ!というような紙。
同じチリ入りの紙でも、工房により全然違う表情の紙になっているので、見比べて見ると面白いかもしれません。



原料を余すことなく使い切り、再生も簡単な和紙作りは無駄がないのです。




次回紙の旅の話です。







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