以前から気になっていたネットワークの音量調整ボリュームに発生しているガリを自分のオーディオ師匠かつ友人のK氏に相談しました。
k氏はネットワークを持ち帰り、解析してくれました。
以下の文は、K氏からのレクチャーを元に、自分の拙い説明です。
604−8Hは低・中音域を担当する38cm口径のミッド・バスユニットと高音域を担当するツイター(ショートホーンシステム)で構成される2ウエイの複合スピーカーユニットです。
クロスオーバー周波数は1500hz。ミッド・バスユニットのハイカットフィルターカーブはー12db。ツイターのローカットフィルターカーブはー18db。
ワンボリューム調整方式とツーボリューム調整方式の2方式があり、プッシュボタンで切り替える。
◎ワンボリューム調整方式
クロスオーバー周波数の公表値は1500hzです。
ボリュームの役割はツィター出力の増減です。
ボリュームツマミの印が真上の場合を中点とし、左に回せば、抵抗値が増してツィターから出る音量が下がる。右に回せば、抵抗値が下がり、ツィターから出る音量は上がる。
◎ツーボリューム調整方式
ミッド・バスユニットのハイカットカーブ、クロスオーバー周波数はワンボリューム調整方式と同じです。
ツーボリューム調整方式の特徴はツィターのネットワークが二重に入っていることです。
ツィターのローカットフィルターは1500hz、−12db。ワンボリューム調整方式と同じです。これに加えて、超高域12000hzクロス、ー12dbカットのネットワが入っています。
下段のボリュームで1500〜12000hz部分の音量を調整、上段のボリュームで12000hz以上を調整します。
下段ボリュームを時計回りに回せば高音域の音量が増える。
上段ボリュームを上げれば超高音域の音量が増える。
12000hz以上の楽音はありません。上段のボリュームは上下しても関係ない?はありません。12000hz以下の音は完全に切れるのではなく、下に伸びている。上段のボリュームを上げれば、超高域が伸びたように感じられます。
604−8Hが誕生した時代は再生帯域を如何に広げるかを競争していました。
ツーウェイ同軸スピーカーと言う制限の中で、ALTECが出した解答がマンタレイホーンと変則ネットワークの採用でした。
◯ネットワーク方式の決定
ワンボリューム調整方式とツーボリューム調整方式の仕組みを理解した上で、両者をジャズボーカルで聴き比べました。ワンボリューム方式がハットシンバルの輝きが良い。
どうやら、ツーボリューム調整方式のハイカットフィルターの影響が強い印象です。
ワンボリューム調整方式のネットワークの回路を元にすることにしました。
◎発注ネットワークの仕様
①パーツ類
コイルは空芯コイルを、コンデンサー・固定抵抗は現代の良質なパーツものにする。
②ツィターの音量調節
その役割:抵抗値を変えて、電流量を制御する。左右の抵抗値を正確に揃える。
オリジナルの回転ボリュームは巻き線抵抗の露出部分を接点がスライドするタイプ。経年変化による接触面のガリは防げない。
当初、ボリュームのガリを解消するため、固定抵抗の切り替え式を考えていましたが、
引き出し線のある大型の巻き線抵抗(特注品)を採用することにしました。
どの引き出し線を選びかで音量調整をする。
実際にスピーカーに繋いで試聴し、引き出し箇所(抵抗)を決める。その前後の2つの引き出し線合計3本をネットワークの3つのツイタースピーカー+端子に繋ぐ。どの+端子にツィターを繋ぐかでツイターの音量を3段階で調整出来る。
アンプの音量調整方式に連続可変ボリューム方式と固定抵抗切り替える方式があるが、スピーカー版の固定抵抗切り替え式と言えるものです。
④内部の接続ケーブルと各パーツの接合
錆防止用テフロンチューブで覆った「銀線」とする。
各パーツ類、配線の接続はカシメ構造として、その上に保護用のハンダを被せる。
⑤ネットワークボックス
スピーカーボックス内ではなく、外置きの木製ボックスとする。非磁性体で電気的にも有利でしょう。パーツ類は木板に直接取り付ける。