12月は絶好調だった、AWAYのインテルが攻めあぐねて、スコアレスドロー。
キックオフから試合終了まで、淡々としたペースが変わらない展開で、引き分け
も仕方ないなという内容。
それにしても、シエナはよく守った。攻撃は左サイド中心にポジショニングしていた
ベテランFWキエーザにボールを預けて、何度かチャンスを作っただけ。
それ以外は、HOMEだけど、典型的な引き分け狙いの戦術で、人数をかける守備
に終始した。
最大のピンチは、後半のスタンコビッチのシュート。これをシエナGKミランテは、
反応よく左足でセーブした。
そして、試合を通しても、このミランテは少し気になった選手だ。
イタリア人のキーパーにしては、かなり線が細く、GKユニフォームがだぶついて見
える。この雰囲気は、セリエで言うなら、カリーニ(今はカリアリかな)。そして、日本人
で例えると、パープルサンガの平井直人。
要は、見た感じが、なんとなく頼りない。
しかし、それでも、レギュラーとして評価されている通り、プレーはすごく安定している。
無理に前へ出て行くタイプではないが、ボールへの反応、特に低いボールへの反応
が良く、グラウンダーのシュートを弾かずにきっちりキャッチしている。
肉体的な強さがないデメリットはあっても、それ以上にキーパーとしての資質が優れ
ているということだろう。
イタリアのGKではブッフォン以降が育っていない気がする。35歳のペルッツィが、
まだ代表入りするぐらいだし。
現在、ミランテは22歳。20歳のローマGKクルチとともに、これぐらいの年齢のキー
パーがそろそろ、ポスト ブッフォンとしてブレイクして欲しいな。
2006年最初のセリエA、そしてその中でも一番早くキックオフとなった、レッジーナ
とフィオレンティーナの試合を観戦。
注目は、ここまで、3強に食いついてきてるフィオレンティーナの調子だったけど、
結果は1-1の引き分け。
トニも得点になった場面のヘディングでのアシストのみで、それ以外は、レッジーナ
DFフランチェスキーニに勝てなかった。
最近、あの開幕からの爆発的にゴールを挙げた勢いはなくなってきたな。
さて、レッジーナのほうは、勝てなかったけど、内容ではフィオを上回っていた。
今シーズン、主要なリーグではめずらしくなった3バックを採用しているレッジーナ
だけど、中盤を厚くできるメリットを活かして、効果的な攻撃をしていた。
その3バックで手薄となる左右のライン際をケアしつつ、攻撃参加する役目が、
中盤の両サイドMF。
この日起用されたのが、右はメスト、そして左サイドはモデスト。
右のメストは、MFといいながらも、身体能力が高そうで、守備に大きく貢献できる
タイプ。04年オリンピックのイタリア代表で、もう少し強いチームにいって、攻撃に
もどんどん参加できるような戦術の上では、もっと伸びそうな気がする。
レッジーナのような残留ラインギリギリのチームでは、どうしても守備偏重になって
しまうのが残念。
左のモデストは今まであまり印象がなかったので、調べてみると、今シーズン、アス
コリ(昨シーズンはセリエB)から移籍した選手のよう。
メストよりは体格で劣るけど、縦に動き回る運動量が特徴とみた。相対するのがチェ
コ代表ウィファルシなので、攻撃参加には苦労してたけど、それでも仕掛けていくの
で、見てて楽しい。
そして、メスト、モデストとも82年生まれとまだ若いので、今後に注目だ。
この日のレッジーナは、チーム全体でみても、何本もパスがきれいにつながるし、チ
ャンスとなれば攻撃に係る人数も十分いるなど、まとまりを感じた。このブランクの間
に、しっかり合宿してきたんだと思う。
このレッジーナが、次節、ユベントスと対戦。
今度はレッジーナがAWAYとなるし、苦戦は必至だけど、好調を持続して、面白い試
合になることを期待しよう。
今年最後のゲームをしっかりと勝利したインテルは、これで6連勝。
それでも、首位ユベントスとの勝ち点がまだ、8あるということで、この勢いを
2006年も続けていかないと、この好調も実を結ばない。
ところで、この試合で、アドリアーノが前半に、相手DFとヘディングで競った際に、
気を失い、そのまま病院へ運ばれるというシーンは、ショッキングだった。
幸い、インテルの公式HPをみると、大事には至っていないようで、ほんとに
良かった。
そのアドリアーノに代わって出場した、フリオ・クルスは1ゴールを挙げるなど、
急な出場になったにもかかわらず、いい仕事をした。
エンポリのDFは、もともと身体の強いタイプではないようだが、フリオ・クルスと
相対すると、完全に負けていて、いいようにされた。
試合展開としては、先制した後、1-0の状態で、アドリアーノ退場という思わぬ
出来事があり、チームのムードも沈みがちになりそうなところ。
この状況を、しっかりと選手が盛り返して、勝てたのは大きかった。
その意味でも、1点差から、2-0に突き離した、フリオ・クルスのファインゴールは、
貴重なゴール。
それにしても、今節のセリエAは上位4チームが全て勝利。
前節は、ユーベ、フィオレンティーナは引き分けたけど、フィオはこれが今シーズン
3つ目で、ユーベは唯一の引き分け。
今シーズンの上位4チーム(ユーベ、インテル、ミラン、フィオ)は、ほとんどの試合で
勝ち点3を挙げ、まれに引き分け、もしくは負けを喫している状況。勝利数でいえば、17試合消化して、ユーベ15、インテル12、ミラン12、フィオ11。
これはすごく高い勝率だと思う。
少し前までのセリエAでは、H&Aの法則がすごく明確で、上位チームでも、AWAY
であれば、負けないサッカーで引き分けて、勝ち点1をこつこつ積み上げるのが、
シーズンの流れだった。
ちょうど、半分(HOMEゲーム相当)の試合に勝って、残りのほとんどの試合を引き
分けるぐらいが強豪の鉄則だったはず。
今シーズンでいうと、上位4チーム(ユーベ、インテル、ミラン、フィオ)以外のチーム
は、明らかに選手層が薄く、上位チームとやると、引き分けに持ち込むのも、相当
むずかしい。
ローマ、パルマ、ラツィオといった、かつての強豪が、経営難から弱体化していって、
それに代わるチームが現れない。
それと比例するように、どこのスタジアムでも、観客数は目に見えて減少している。
イタリアサッカーの地盤沈下が心配だ。
この試合で、今シーズン初の引き分けとなったユベントス。
正直なところ、水曜にも試合があることを意識してか、AWAYでも絶対
勝利するというモチベーションはなかったように見えた。
攻撃的だったのは、トレセゲ、イブラヒモビッチ、そして、ネドベドの3人ぐらい。
こうして、きっちり引き分けを挟みながら、勝ち点を伸ばしてくるのも、ユーベ
の強さだ。
対して、ラツィオはよくやったと思う。選手の粒もそこそこで、中位をキープ
しているだけのことはある。でも、ウディネーゼや、パレルモみたいに、今が
旬といえる選手はいないし、フィオレンティーナなんかに比べたら、だいぶ差が
ついたなという印象。
この試合で目についたのは、守備的なMFを努めたダボ。フランスの選手で、
若い頃はインテルなどにも所属していて、その頃はセンターバックをやっていた。
そのがっちりした体格からしても、CBタイプだが、中盤の深い位置にポジショ
ニングして、中盤の守備を一人で引き受けるといった活躍だった。
その効果で、ラツィオは両サイドを非常にアグレッシブに仕掛けることができ、
ユーベとも互角の戦いができた。
最近、こういった本来、CBの選手を中盤の守備的ポジションに置くケースがある。
イングランド代表では、トットナムのCBキングをMFで使ったりしている。
攻撃面の効果でいえば、他のMFの守備の負担を減らし、より攻撃的に使えるし、
守備面の効果は、最近、3トップを採用するチームが多いため、CB2枚だけでは
捕まえきれない3人目を抑える役目を果たしているのだろう。
まあ、どちらかというと守備的になるんだろうけど、強豪チームを相手にする、それ
以下のチームには、ぴったりくる戦術なのかもしれない。
インテリスタにとって、久しぶりに胸のすくような勝ち方。
それが近年、屈辱ばかりを味わったミランとのダービーで、このゲームができた
ことは、何より喜ばしいこと。
試合全体を通して、インテルのチーム全体の守備意識が非常に高く、ミランの
選手に対するボールチェックは激しかった。
中でも中盤の一番底に位置していた、カンビアッソはこの日のMOMだろう。
カンビアッソのプレースタイルは、クレバーで、運動量とテクニックを備えた選手と
いうイメージ。
そう、ミランのピルロと重なるプレースタイルだ。
しかし、このダービーではちょっと違った。
いつもよりやや後ろ、ほとんど最終ラインに入りそうな辺りで、ミランの3人の
アタッカーを激しくチェックし、シュートチャンスを作らせなかった。
ボールを取りに行くというよりは、壁となって相手を前へ進ませない。
何度かファウルを取られ、ゴール前でFKを与えたのも、そのチェックが激しかっ
た証拠。
しかし、常にアグレッシブにいくプレーが、インテルの選手に活気を与えた。
加えて、試合の立ち上がりから、ベロンやフィーゴがガンガン走り回っていたのも、
いい刺激になったと思う。
まあ、負けたミランとしては、こんなプレーをガットゥーゾに期待しただろうけど、
彼は途中交代。最近、明らかにパフォーマンスが落ちている。
インテルは4連勝で、非常にいい状態にある。
ダービーが終わっても、この日のように、選手がファイトする姿勢があれば、首位
ユベントスに迫っていける。
この試合の結果は、間違いなく、今シーズンのスクデッド争いに大きな影響を
与えるな。
大体、予想する結果になりやすいセリエAだけに、好調フィオと、がっちり首位の
ユーベで考えれば、「引き分けだな」と考えていた。
1-1の後半で、トニがシュートしたボールが、無人のゴールにころころ転がって、
ポストに当たって跳ね返ったところなんか見ても、まさに引き分けの結果が待っ
てるなと思った。
それにしても決勝点を挙げた、カモラネージはすごく良かった。
運動量の多さはもちろんだけど、ボール扱いがすごく滑らかでうまい。
後ろ向きでボールを受けて、また、後ろに返すかと思ったら、ふっと反転して、
相手をかわす。そしてドリブル。
上下に広く動くし、ほんとにやっかいな選手だ。
決勝点の場面で、トレセゲが競り合うところを、近くにポジショニングして、こぼれ
球を拾ってシュートするとこなんかは、真骨頂のプレー。
今までの印象では、モチベーションが高く、ファイトするだけみたいなプレーヤー
と思ってたけど、この試合で見た、カモラネージの技術の高さは驚きだった。
ところで、次節は、ミラノダービー。
引き分けだと両チームとも優勝が絶望的になる。
しかし、勝ち点差がほとんどない両チームだし、引き分けの可能性が高い。
スクデットの灯を消さないために、この試合も、予想を裏切る結果になることを願う。
思ったら、俊輔が発熱で欠場。
ということで日本人特集の予定だった、週末のカードだけど、少し延期して、
インテル戦にしよう。
首位ユーベに勝ち点10離されたインテルにとって、取りこぼせないAWAYの
メッシーナ戦。結果はなんとか2-1で勝利。
インテルは下位メッシーナ相手に慎重すぎるほど守備的に戦った。
1トップでアドリアーノ、それに両サイドMFのレコバとフィーゴ。この3人だけが
攻撃を組み立てる。
そして、3人のMFが守備を意識する。スタンコビッチ、カンビアッソ、そして
ベロンだ。
この中でもベロンがもっとも後ろに位置し、献身的なプレーをしていた。
昔ほどのダイナミックな動きはなくなったけど、ふところの深さは相変わらずで、
守備重視のプレーをさせれば、まだまだ活躍できそうな気がする。
ボールテクニックも非常にレベルが高いので、深い位置で相手からボールを
奪った後、そこからパスも出るし、前にスペースがあれば、ドリブルで上がる
こともできる。
なにかポジションを転々とさせられて、最近のベロンは落ち着かないイメージが
あったけど、この試合のように、センターの深い位置で使い続けてみると、また
輝きを取り戻すはず。マケレレのように代表復帰なんてこともあるかも知れない。
インテルにとって、このパルマ、メッシーナ、アスコリと続く3ゲームは、優勝
戦線に残るための運命の3連戦だ。※おとといの記事「ビッグマッチの片隅で」
そして、その初戦パルマにはしっかりと、2-0で勝ち、まずは安堵。
しかし、インテルは、HOMEにもかかわらず、内容は乏しかった。
ベロンとピサロを共存させたけど、ロングパッサーの2人がいると、前に
走りこむ選手が手薄になって、逆に短いパスばかり。
後半、マルティンスが入って、パルマの守備が混乱したところから、うま
く攻撃のリズムが作れた。マンチーニの采配が的中したってことかな。
インテルのことは、また次のメッシーナ戦でも書くとして、さて、パルマに
ついても少しだけ。
前半はほんとに守備が安定していた。
マンマークでしっかりクルス、アドリアーノに付いて行けてた。後半はやはり
疲れたかな。最後まで集中とスタミナの持たないチームは、どうしても勝ち
点が増えていかない。ビッグクラブ相手にAWAYで善戦したけど、負けて
勝ち点0というのは厳しい現実だ。
FWコッラッディーは、2年ほど前には代表にも選ばれたストライカーだけど
この試合では、全然目立たなかった。
試合に乗れてない感じで、最後まで前線で孤立。
これだったら、後半に出てきた、デディッチのほうがずっといい。
1本ゴール横に外れたシュートがあったし、下がってボールチェックにも行っ
て、イキイキとしていた。
鋭いスルーパスの出せるモルフェオにとっては、ポストプレーしかしない
コッラッディーより、動きのあるデディッチのほうが絶対合うと思う。
デディッチは、21歳で、スロベニア代表とのこと。
この試合で、ちょっと目をつけてみた若手だ。
チャンピオンズリーグ本戦に出場しているチーム同士の対決、そして、首位
ユーベに喰らいつくのはどちらか!?
そんな注目のゲームのはずなのに、スタンドは空席のかたまりが目立つ。
ウディネーゼのHOME、スタディオフリウリは4万人収容みたいだから、たぶん、
この試合は、2万5千人ぐらいの観客じゃないかな。
ここ数年のセリエAの観客減はほんとにさみしい。10年ほど前は、今のイング
ランドやスペインと同じように、いつも満員だったのに。
状況はかなり深刻だと思う。
それでもゲームはAWAYのインテルが前半に先制し、HOMEで負けられない
ウディネーゼが、必死で点を取りに行く、なかなか見ごたえある試合だった。
特に終了間際の、あのパワープレー連発は、ウディネーゼの勝ちたい気持ちが
出ていて良かった。
インテルはアドリアーノがケガで途中退場したけど、代わって出た、フリオ・クルス
が、この試合、唯一のゴールを挙げた。
この試合のフリオ・クルスは、ほんとにいい仕事をしていたと思う。もちろん、点を
取ったのもそうだし、守備にも精力的で、前線からプレスをかけ、身体能力を活か
して、相手ボールを奪うシーンも何度か見られた。
どこか気難しそうで、地味なストライカー、フリオ・クルス。
今シーズン始まる前は、放出候補と言われ、結局、残留したけど、出番は少ない
と見られていた。
ところが、チーム事情もあって、けっこう出場機会は多いし、得点も決めている。
しかも、この試合のように、大事な試合でいいインパクトを残している。
インテルも今までのようにアドリアーノだけに頼っていては、また結果も昨シーズン
と変わらないだろう。
このフリオ・クルスのように好調な選手、コンディションのいい選手(レコバとか)を
もっともっと使っていって、ユーベを追いかけろ!
ユーベがフリーキックがらみで2点入れて完勝。
インテルは何もいいところがなく、ユーベも前半に2点取った後、交代枠を
ケガ人のために使いきったせいか、淡々と試合を進めるだけで終わって
しまった。
ビッグマッチなのに、このあっさり感が、ほんとイタリアらしい。
ユーベではイブラヒモビッチが、前半途中で交代したけど、1点目につながる
FKといい、迫力あるプレーで輝いていた。
良くも悪くもこの闘志むきだしが、チームに活気をもたらすんだよな。
それだけに、マテラッツィの殺人スライディング(ほんとに左足をぶっ壊すような
超危険なスライディング)で、退場させられてかわいそう。
試合もなんとなくこの場面の後から、しらーっとした感じになってしまった。
マテラッツィには、よくこんなシーンを見せつけられる。
この人の闘志は、ラフプレーにしかつながらないので、見てて不愉快。そして
味方にもいい影響を与えない。
その後も、ビエラあたりに後ろから蹴りにいってたし、どうしようもない。
悪質なハードタックルはもううんざり。
いいかげん、マンチーニも考えてくれよ~。