2015.12.22
奥田民生 生誕50周年伝説
“となりのベートーベン”
at 東京国際フォーラム
http://okudatamio.jp/special/beetotven/
久しぶりに、本当に久しぶりに夜の東京国際フォーラム前の広場を歩いたら、こんな時期なのに妙に暖かくて、開演時間も迫っているのにひとりでほっこりしてしまった。
FOrum Art Shopの絵はがきがお気に入りで、急いで飛び込んで10枚ほど購入。
その一部がこちら。いいでしょ?
さてさて、そんなことより、この夜のほんとうにぜいたくな3時間を過ごせたことを誰に感謝したらよいのだろう。
そんな思いで帰りの道を急いだ私です。
奥田民生のすごさを私なんぞが語るのはおこがましいのですが、最も簡単なところで語らせてもらうなら、どんな場所にいても、私たちに「自然体」を見せる。そうじゃないのかもしれないけれど、でも「自然体」なんだろうと思わせる。
それは、一人でスタジアムで弾き語っても、この夜のように自分のためにこんなに多くのミュージシャンが集まっても、やっぱり変わらない。私はそれだけですごいなあと思ってしまう。
それで、当たり前なんだけれど、ステージ上での不思議なオーラ、演奏テクニック、不動のボーカリゼーション、民生節の数々の曲。
となりにいるベートーベンなんだ~、とはからずも納得の一夜でした。
■次々に登場して去っていくゲストたち・・・
以下は、ゲストたちが披露してくれた曲たち。
● オカモトショウ 「マシマロ」
● 浜崎貴司 「野ばら」
● Leyona & うつみようこ 「悩んで学んで」
● 岸田繁 「The STANDARD」
● 八熊慎一 「愛のために」
● 吉井和哉 「手紙」
ここでバンドメンバーが交代。
ここまではソロ初期からの民生氏を支えたメンバーで、ここからは今のメンバー。
バンドのメンバーがとにかくかっこよくて、それでプレイヤーとしても有名な人たちだし、民生ファンには懐かしいメンバーだったりして、会場に温かさが漂う。
● 和田唱 「夕陽ヶ丘のサンセット」
● 草野マサムネ 「スカイウォーカー」
● 真心ブラザーズ 「息子」
● トータス松本 「明日はどうだ」
● CHABO 「人間」
● Char 「あくまでドライブ」
バンドメンバーもゲストも全員で
● イージュー★ライダー
このラインナップを見ただけでも、90年代を通り抜けてきた人には必ずや「懐かしさ」という感情がこみあげてきてキュンとなるってんもんだけれど、でもそれはただの懐古趣味の「キュン」ではないところがうれしいところ。
昔はともかく、今のほうが深く強くなって、「続いていること」、「続けていること」のほうに感動しちゃうのだ。
若手を代表するかのようなオカモトショウくん。かっこよくてうまいボーカリストなんだな。「マシュマロ」、ぴったり。
そうそう、今回は選曲がどれも納得、というか、ゲストのそこが聴きたかったのよ、なんてこちらに思わせてしまう見事さ。
そういう意味で、すごく勢いのあるチャーミングな「マシュマロ」だった。
浜崎さん、フェスとかでしか聴くことはないんだけれど、やっぱり前はよく聴いていたからうれしい。
前よりずっと貫禄の(笑)「野ばら」。
民生さんは「今日はいいなあ、歌わなくていいんだから」と言うくらいだから、ギターとハーモニーに徹していて、どの曲もギターソロでカッコいいところを見せてくれるし、主張寸前の安定のハーモニーがいい!
ロッククイーン2人の凄みのある(ホント!)セッションのあとは、
「岸田のくるりさん」と紹介された(笑)「くるり岸田」。
パフォーマンスを終えたゲストが次のゲストを紹介して交代する・・・という感じでサクサクと進んでいく。
「The STANDARD」は好きな曲の1つなので、彼のボーカルで聴けたことはこの夜の収穫。
高いところの振り絞るような叫びがせつない。
岸田君の「おひさしぶり」に民生さんが笑う。実は「サンフジンズ」で、2、3日後にも一緒にイベントに出るらしい(笑)。
八熊慎一 「愛のために」・・・。SPARKS GO GOのヤック。彼らしいラフな格好で出てきて、すごく力強い「愛のために」。ちょっと感動してグッとくる。ベースが二人・・・と笑いを誘う。
第一部前半の最後が吉井和哉。
出てきてすぐに思ったけれど、なんだかますますカッコよくなった? なんだろう、このオーラ、華。民生氏とはまた異なるスターな感じ。ヤックをぐっとハグした感じがステキ。
「今から歌う曲は、みんなからよく歌えって言われてて…」と。
民生さん、すかさず「カラオケで?」と笑いを誘う。ファミレスなんかで言われたりするらしい。
それが「手紙」、もう彼の曲ですか?というくらいに素晴らしかった。会場の空気も一瞬ふっと変わったような。
こういうところ、さすが吉井さんだ。
そして後半は、トライセラの和田唱くん。 「夕陽ヶ丘のサンセット」と来たか~。「The STANDARD」のカップリング。
画面に映る表情も声も、変わらぬ少年性が迫ってくる。
久しぶりに聴いたけれど、この曲、歌詞がいいんだよなあと思い出す。
その和田くんが紹介。
「(次の人は)血液型も星座も僕と同じ・・・、でも(世間の?)評価が違う…。お待たせしました、 草野マサムネ!」
って。ちょっと自虐的に?
登場した草野氏は、黒のハット、あとはジャケット、シャツともにネイビーや黒で、アコギを持って。
会場全体に「きゃ~」の声。
「こんばんは」の第一声がか細い、か細い。大丈夫か?というくらい(笑)。
会場を見て、「すごい、すごい客さんの数ですね」みたいなことを。
「あなた、何年やってるの」とツッコまれる。
「さっきまで楽屋でアンチエイジングの話してたから」と笑いを誘う。
昨日が誕生日だったと民生さんに言われ、
「派手にお祝いしてもらいました」と。リハでのことかな。
「曲紹介したほうがいいの?」
「どっちでも・・・」
のあとに歌ってくれたのが 「スカイウォーカー」。ある意味、ぴったりの選曲かも。ここでロックぽい曲をやっても、このメンバーじゃ埋没しちゃうしね。
空を飛ぶ人かと思ったら、空を歩いちゃうんだ~というおもしろさもありつつ。
聴き入ってしまう、ステキな 「スカイウォーカー」だった。熱演するゲストたちの中にあって、危ういほどに揺れる時間を見せてくれた。
終わってからはけるときも、ま、腰の低いこと。民生さんの前を通るか後ろを通るかで迷っていて、ほかのみなさんのようなハグもハイタッチもない?
「さっきまで楽屋でアンチエイジングについて話していた、真心ブラザーズ!」
と紹介されて登場。
軽妙なやりとりに会場がもっとなごやかに緩む。
「息子」をじっくりと受け止めるように歌うYO-KINGがよかったなあ。この安定感ってなんだろう。
ウルフルズ トータスは、さすが!の目の覚めるような赤いスーツ。ほんとうに赤い!
私の席は1階後方だったんだけど、ビジョンを見なくてもくっきり目に入る鮮やかさ。
民生 「一足先に還暦?」
松本 「『おめでとう!』という気持ちでしょ!」
民生 「なんか目に入ってきちゃうね。けーやんの気持ちがわかる」
には会場も大笑い。
それでパフォーマンスも歌唱も、そのスーツの赤に負けないくらいのド迫力。やっぱりスゴイ!
続いて、CHABO、Charと続く大御所感のある2大アーティスト。そういう感じだな。
民生+Charのギターセッションは聴いているこちらも熱がはいるくらいの迫力と踊るようなゆらめきで、何度も使ってしまったけれど感動ものだった。
第一部最後は、「不朽の名作」(民生談。照れていたけど)「イージュー★ライダー」を全員で。
ホストはなんども「すいません」を繰り返していたけれど、最後も
「すいませんね、待ち時間ばっかりで」って。
ステージ上は壮観な光景。ゲストがかわるがわるマイクをもって歌う。
われらがスピッツ草野もすみっこで参加(笑)。私の席からは、ビジョンに映らないときは誰かと紛れてわからないくらい(笑)。
でも終始会場の盛り上がりがすごくて、みんなうれしそうで、この前のフラカンのときにも通じるような、温かい雰囲気が流れていた。
■オーケストラと「股旅(ジョンと)」
ステージの幕があがってライトがついたら、ステージ上にはオーケストラがスタンバイ。
おおっ!というこちらの驚き。
金原さんのストリングスくらいかと思っていたのでビックリ。
その前にバンドもスタンバイして、ホスト登場でスタート。
民生さんのシャツ、1部と2部も同じかと思ったけど(色も同じようだったし)。「違う!」と民生さん。
私にはわからなかったけれど、どこかにキラキラがついている別のシャツに着替えたってことらしい。
● ライオンはトラより美しい
● コーヒー
● 股旅(ジョンと)
● 手引きのようなもの
● ヘヘヘイ
● MILLEN BOX
● さすらい
● 風は西から
● アジアの純真(with PUFFY)
● すばらしい日々(インスト)
● CUSTOM
どれもよかったけれど、
「オーケストラとのアレンジでいちばんこだわった曲」という紹介で始まったのが「股旅(ジョンと)」(笑)
会場は笑いの渦だったけれど、これがすばらしくて、終わってからの拍手がいちばん長かった。
「この曲で、スタンディングオベーション?」って(笑)。「作っておいてよかったな」というつぶやきも。
「さすらい」では真心桜井さんが第二バイオリンで参加。小走りに出てきて去っていく姿がかわいくて・・・。
PUFFYが第一部で出てこなかったのでどうしたのかなと思っていたら、こちらに登場だった。
「先生、おめでとー!」と出てきた二人は来年で結成20周年らしいけれど、相変わらずのかわいらしさ!
で、メリハリの利いたパフォーマンスは最高。久々の「アジアの純真」に盛り上がる!
印象的な「すばらしい日々」のインストのあと、全員登場で「CUSTOM」。
第一部ではギタリストとコーラスに徹したホストが第二部では目いっぱいのボーカルを聴かせてくれて、そのうまさ、力強さに酔いしれた。
「CUSTOM」のイメージがどんどん広がって、頭の中が壊れそうだった。
第二部では和田くんがコーラスで加わっていて、彼の顔がビジョンの民生さんの脇にいつも映っていて、その表情が楽しそうで。それが印象的だったなぁ。
(私には確認できませんでしたが、このとき、浜崎さんに羽交い絞めされた草野くんがかわいかったというメッセージ、いただきました。どういう状況での羽交い絞めかは不明です)
それから、マサムネくんはパーマかけたんですか? オフのときときどきかけてますよね、というメッセージもいただきましたが、私の席からは確認できず。すみません、悪しからず。
思い出と、これからの道筋が私の中で心地よく交差して、ぜいたくな一夜は終わりました。
今年最後のライブ。
また来年も・・・という思いを抱いて、小走りに帰り道を急ぎました。
【追加】
何人かの方にメッセージいただきました。
以下にまとめます。
● パーマの件(笑)。 ゆるめにかけているのかもしれないけれど、最後にハットをとって丁寧にお辞儀をしたとき、頭のてっぺんはいつものさらさらヘアで、天使の輪が見えたという証言も。
● 和田唱くんと1つのマイクで歌っているときの「慣れない」感じ(腰がひけてたとか)、RAD胎盤でのシーンを思い出したとか。
● くるりファンのNさんは、岸田+草野が隣り合わせで笑っている姿に泣いたらしい。
● 草野くん、腰低く去りながらも、さりげなく民生さんと背中を軽くたたき合っていたという証言もありました。それがなかなかよかったそうです。
スポーツ紙からの写真の隅っこに草野くんが見えます。
ナタリーにレポ+画像あり。
http://natalie.mu/music/news/170312