訃報と弔辞

２００９年１０月１９日 （月）

　音楽家 加藤和彦さんの訃報。
　私の過去の音楽シーンの中に、「フォーク・クルセダース」や「サディスティック・ミカ・バンド」が鮮やかにあるわけではないけれど、「悲しくてやりきれない」「あの素晴らしい愛をもう一度」のシンプルすぎる歌詞とメロディーはちゃんとその居場所を保っている。
　今日の『朝日新聞』朝刊に記載されていた「戦友であり仲間であり友人であった」北山修氏の弔辞の見事なまでに簡潔な文章の中には、無念な気持ちと「見送る側の整理せざるを得ない思い」がにじみ出ていた。
　女優 大原麗子さんが亡くなられたときの「姉妹に近い関係であった友人」の浅丘ルリ子氏の痛々しいほどの弔辞とは対極をなすが、どちらの言葉も、下世話な気持ちでニュースをとらえる私の野次馬根性を木っ端微塵にしてくれた。
　当たり前のことだが、人の死はその人が身近であればあるほど重く救いがたい。