重い話題が続いたのでここで、ちょっぴり楽しい話題。
写真の人物、誰だかわかりますか?
彼の名はダグラス・ワキウリ氏。この名前を聞いてすぐにわかる人は、ある程度、年配の方かもしれない。
ワキウリさんはソウル五輪の銀メダルはじめ、'80年代から'90年代にかけて世界の名だたるマラソン大会のタイトルを総なめにした世界的なランナーです。ワキウリさんの国籍はケニア、しかし、マラソン修行を積んだのは日本のSB食品。名匠中村監督の下で、あの瀬古選手らと一緒に育てられ、ケニア人の身体能力と日本人の精神力を持つ男と世界から恐れられた名ランナーだ。
そんなわけでワキウリさんは日本語がペラペラ。競技引退後、得意の日本語を生かして、ケニアで日本人や英語圏の旅行者たちのガイドや撮影のコーディネーターをしていた。私が知り合ったのも2年前、NHKの仕事でケニアに行ったとき、コーディネーターをお願いしたのがきっかけだった。
先日、日本電波ニュース社のKプロデューサーからワキウリ氏が日本に来ているという連絡をいただき会いに行った。なんと彼は、日本で音楽活動をするため、これからは日本に住むとのこと。
実は私も彼の音楽センスと言葉の感覚の素晴らしさには注目していた。彼の代表曲「ガンバレ」は、私の番組の中でも長時間使わせてもらった。この曲は、日本語とスワヒリ語の混ざり合った歌詞で、ロードワークをしているような不思議なテンポの曲だ。貧しさから抜け出そうとに必死に働き続けるケニアの人たち、豊かさを手に入れた後も命を削ってまで働く日本の人たち。二つの国の現実をつぶさに見てきたワキウリさんならではの、両国の頑張って生きる人たちへの応援歌になっている。
ところでケニアは何でマラソンが強いのか知っていますか?
貧乏人のスポーツというと、まずサッカーがあげられる。ボールと空き地さえあれば誰でも始められるからだ。しかしマラソンは、ボールさえ買えない貧しい人たちが、身体ひとつで始められる究極の貧乏人のスポーツなのです。そして、貧しさゆえ教育さえまともに受けられないケニアの若者たちが、富と名声を手に入れることのできる最善のスポーツでもあるのです。
ケニアのスラムにゆくと、明日のワキウリさんやヌデレバ選手を目指し、裸足で道を走り続ける若者たちの姿を見ることができる。身体能力の高さや、足を使わざるをえない生活条件もさることながら、こうしたハングリー精神こそがマラソン王国ケニアを支えているのがわかる。そんなケニアの人たちにとって、ワキウリ氏は文字どおり、偉大なヒーローなのだ。
CDの売り上げの一部は、ナイロビのスラム、キビラ地区の人たちのために使う予定だということ。ガンバレ!ワキウリ!
ワキウリさんの音楽のオフィシャル・サイト
http://park8.wakwak.com/~miru/page014.html