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中国税務 2023年度個人所得税の合算清算納付マニュアル

2024-06-17 | 税制

中国の国家税務局は2024年1月31日に「2023年度個人所得税総合所得の合算清算納付申告事項に関する公告」を公布し、2023年度個人所得税の合算清算納付の手続きについて詳しく説明しました。納税義務者が今回の合算清算納付手続きを順調に完成することにサポートするために、当事務所は公告の内容をまとめました。下記をご参照ください。

 

個人所得税法の規定に基づき、2023年度終了後、居住者個人は、2023年1月1日から12月31日までに取得した給与賃金、労務報酬、原稿料、特許使用料等の四項所得(以下「総合所得」という)の収入額から、基礎控除費用6万元、専門控除、専門付加控除、法により確定されたその他の控除額、及び条件に該当する公益慈善事業の寄付を差し引いた残額を、適用する総合所得個人所得税税率にかけて速算控除額(別表1をご参照)を控除することにより、本年度の最終課税額を計算します。その後、本年度の最終課税額から2023年度の予納課税額を差し引いた残額を本年度の還付税額又は追納課税額とし、税務機関へ申告し、税金還付又は追納を行います。具体的な計算式は以下の通りです。

 

2023年度税金還付額又は追加納税額

=「(総合所得収入額-60,000元-「三険一金」等の専門控除-子女教育等専門付加控除-法に従い確定されたその他の控除-寄付)☓適用税率-速算控除額」-2023年予納課税額

 

  1. 年度合算清算納付の不要な場合

 

(1)    納税者は課税額を追納する必要がありますが、総合所得の年収入額が12万元を超えない場合。

(2)    納税者は課税額を追納する必要がありますが、追納課税額が400元を超えない場合。

(3)    納税者の予納課税額は年度課税額と一致している場合、又は納税者は年度税金還付を申請しない場合。

 

「啓源の所見」

 

納税者は2023年に一箇所のみから給与賃金を取得し、且つ適用できる税前控除に関する全ての情報(第5節をご参考ください)を2023年12月31日前に正確に個人所得税システムに入力し、又は源泉徴収義務者に提供した場合、その2023年に予納した個人所得税が実際に納付すべき年度個人所得税と一致しており、合算清算納付が不要となります。

 

  1. 年度合算清算納付の必要な場合

 

2.1     納税者は、2023年度の予納税額が年度納付すべき税額を超え、且つ税金還付の申請が必要な場合。具体的には下記の通りです。

 

(1)    納税者は2023年度総合所得収入額が6万元未満にもかかわらず、個人所得税を既に予納した場合

(2)    納税者は2023年度の労務報酬・原稿料・特許使用料に適用される予納税率が総合所得の年の適用税率より高い場合

(3)    納税者が税額予納をする際、減額費用、専門控除、専門付加控除及び法により確定されたその他の控除額を一部又は全部控除せず、総合所得の税金優遇を一部又は全部享受しなかった場合

 

2.2     納税者の2023年度総合所得収入額が12万元以上であり、予納税額が納付すべき年度税額を下回り、且つ追納税額が400元以上である場合。具体的には下記の通りです。

 

(1)    納税者は二箇所以上から総合所得を取得し、合算後の適用税率が引き上げられる場合

(2)    計算ミス又はその他の原因により、納税者の2023年度の予納税額が実際に納付すべき税額より低くなる場合

 

「啓源の所見」

 

上記の税金還付又は追納税額が必要となる要件に該当する場合には、発生する恐れのある損失又は税務監督管理及び罰則を避けるために、啓源は、納税者が期限内に個人所得税の合算清算納付を適時に完了するとお勧めします。

 

  1. 取扱時間

 

(1)    納税者が2023年度合算清算納付を行う期間は2024年3月1日から6月30日までです。

(2)    中国国内に住所を有しない納税者は2024年3月1日から6月30日までの期間に出国する場合に、出国前に年度合算清算納付を行うことができます。

 

  1. 年度合算清算納付による税金還付/追納

 

(1)    納税者は年度合算清算納付による税金還付を申請する場合、中国国内に開設された適格な銀行口座を提供する必要があります。税務機関は規定に従って審査した後、年度合算清算申告を受けた税務機関は現地で税金還付手続きを行います。

(2)    納税者は2023年度の総合所得収入額が6万元未満、且つ個人所得税を予納した場合、税務機関はオンライン税務局(個人所得税APPを含み)で便利な税金還付機能を提供しています。納税者は2024年3月1日から6月30日までに、簡易申告書に記入して年度合算清算納付が行えます。

(3)    納税者は年度合算清算納付による追納を行う時に、オンラインバンキング、POS機、銀行カウンター、銀行以外の支払機構等による振込方式で納付できます。

 

  1. 納税者が継続的に享受できる税前控除

 

一部又は全部控除しなかった下記の税前控除項目については、納税者は年度合算清算納付期間に控除又は補足控除を行うことができます。

 

(1)    基礎控除費用6万元、及び要件に該当する基本養老保険、基本医療保険、失業保険などの社会保険料、住宅積立金などの専門控除

(2)    納税者本人及びその配偶者、未成年子女が2023年度に発生した適格な大病医療支出

(3)    幼児・児童養育、子女教育、継続教育、住宅ローン利子又は住宅家賃、高齢者扶養手当の追加控除で、納税者が2023年度に申請していない、又は全額控除を受けていないもの

(4)    納税者が2023年度に発生した適格な公益性寄付支出

(5)    納税者が2023年度に発生した企業年金、職業年金、商業健康保険、個人養老金等の控除

 

「啓源の所見」

 

1)     納税者が上記条件を満たし且つ控除されない控除項目がある場合、納税者が個人所得税合算清算納付際に適時に関連情報をアップロードしなければならず、又は詳細について啓源と連絡します(啓源に依頼し個人所得税合算清算納付を行う場合)。

 

2)     公益性寄付支出の具体的規定は下記の通りです。

 

(i)     中華人民共和国個人所得税法第六条規定

個人はその所得を教育、貧困扶助、困窮救助等の公益慈善事業に寄付し、寄付額うちに納税者の申告した課税所得額の30%を超えない部分をその課税所得額から控除することができます。

 

(ii)    中華人民共和国個人所得税法実施条例第十九条規定

個人がその所得を教育、貧困扶助、困窮救助等の公益慈善事業に寄付することとは、個人が中国国内の公益性社会組織、国家機関を通じてその所得を教育、貧困扶助、困窮救助等の公益慈善事業に寄付することをいいます。

 

  1. 取扱操作

 

納税者が下記の取扱方法を自主選択できます。

 

(1)    納税者ご本人は年度合算清算納付を行います。

 

(2)    給与賃金を取得し、又は労務報酬所得を継続的に取得する源泉徴収義務者は代行します。

 

*納税者は源泉徴収義務者に代行を要求する場合、源泉徴収義務者は代行するか、又オンライン税務局(個人所得税APPを含み)を通じて行えるよう納税者を訓練・指導する必要があります。源泉徴収義務者が2023年度合算清算納付手続きを代行する場合、納税者は事前に書面で源泉徴収義務者に確認し、2023年度に本人が当該会社以外で取得した総合所得収入、関連控除、享受した税金優遇等の情報を提供し、且つその真実性、正確性、完全性に対して責任を負う必要があります。

 

(3)    納税者は税務関連専門サービス機関又はその他の単位及び個人(以下「受託者」という)に委託する場合、受託者は納税者と授権書を締結し、授権書を適切に保存する必要があります。

 

(4) 源泉徴収義務者又は受託者は年度合算清算納付を代行した後、納税者に進捗状況を適時に報告する必要があります。納税者は申告の情報に誤りを発見する場合、源泉徴収義務者又は受託者に申告情報を訂正させるか、又は自ら訂正することができます。

 

  1. 取扱方法

 

(1)    納税者はオンライン税務局(個人所得税APPを含む)を通じて年度合算清算納付を行うことができます。税務機関は納税者に申告書の事前記入サービスを提供します。

 

(2)    納税者は就職事業所所属の税務機関(就職事業所がない場合は戸籍所在地又は常居住地)に申告書を郵送し、又は税務サービス窓口で本人が取り扱うことができます。

 

  1. 申告情報及び書類の保存

 

納税者は年度合算清算納付を行う時に、税務機関への年度合算清算納付申告書の提出に加えて、本人関連基本情報の改正、享受できる控除項目や税金優遇の増加が必要となる場合に関連情報を一緒に記入しなければなりません。納税者は記入された情報を照合し、且つその真実性、正確性、完全性を確保する必要があります。

 

納税者及び年度合算清算納付を代行する源泉徴収義務者は、年度合算清算納付申告書及び納税者の総合所得収入、関連控除項目、納付した税額又は税金優遇等に関する書類を年度合算清算納付期の終了日から5年間保存しなければなりません。

 

  1. 年度合算清算納付申告を受ける税務機関

 

(1)    納税者は自ら申告し、又は受託者に申告を委託する場合に、納税者就業先の事業所所在地の主管税務機関に申告します。

(2)    源泉徴収義務者は納税者を代理して年度合算清算納付を行う場合に、源泉徴収義務者の主管税務機関に申告します。

(3)    納税者は複数の就職事業所がある場合、そのいずれかを管轄する税務機関に申告することができます。納税者は就職事業所がない場合、戸籍所在地、常居住地又は主要収入源泉地(2023年に納税者に労働報酬、原稿料、特許使用料の金額が最も多い源泉徴収義務者が所在する場所)を管轄する税務機関に申告します。

 

個人所得税法実施条例の規定により、納税者は源泉徴収義務者又はその他の単位や個人に委託して合算清算納付を行うことができます。専門的な会計及び税務サービス機関として、啓源は納税者に個人所得税の年度合算清算納付申告代行サービスを提供できます。何かご不明な点がございましたら、当事務所にお気軽にお問い合わせください。

 

別表1:総合所得個人所得税の税率表

 

級数

累計課税所得額

税率%

速算控除額

1

36,000元未満

3%

-  

2

36,000元超144,000元以下

10%

2,520.00

3

144,000元超300,000元以下

20%

16,920.00

4

300,000元超420,000元以下

25%

31,920.00

5

420,000元超660,000元以下

30%

52,920.00

6

660,000元超960,000元以下

35%

85,920.00

7

960,000元超

45%

181,920.00

 

免責声明

本文の内容と意見は一般的な情報共有のみであり、専門的なアドバイスではありません。本文の内容への信頼によって生じた全ての損失に対しては、啓源が一切責任を負いません。専門的なサービスがご必要な場合は、お気軽にご連絡ください。

 


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