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- 株式買取請求権の行使方法
ほとんどの州の法規制において、反対株主は株式買取請求権を行使するには3つの流れを踏む必要があります。
(1) まず、各株主は議決権を行使する前に、反対株主は会社に対し、変更を反対する旨及びもし変更が可決した後株式を買い戻させる旨を提出する必要があります。
(2) 次に、反対株主は当該変更に棄権するか、反対票を投じなければなりません。
(3) 最後、会社より変更が可決されたお知らせを受け取った後の所定期間内(通常20日)、反対株主は書面によって会社に株式を買い戻させる要求を提出し、株式を会社に渡す必要があります。
会社は、株主の要求を受け入れるか拒否するかの責任を有します。株主は、低い金額の買戻しを拒否することができます。関連法令により、場合によっては会社又は株主は株価の評価を求める訴訟を提起することができます。会社は株主の要求した日から60日以内に訴訟を提起する必要があります。さもなければ、会社は株主の要求額で株価を支払う義務を負うことになります。
一部の州では、株主と会社は株価について合意できない場合、株主は訴訟を提起しなければなりません。訴訟となった場合、ほとんどの州の裁判所は、株式の価値を評価する鑑定人を任命します。例えば、裁判所は、会社が合併する直前及び全ての資産を売却する直前の株主の株式の価値を評価します。訴訟完了後、多くの州の裁判所では、公正価値の見積もりに対する双方の誠意に応じ、弁護士費用を会社に対して請求する権限を有しています。
- 例外の場合
一部の州では、行われた行動が詐欺的または不当なものでない限り、株式買取請求権は株主が抜本的変更を対応する唯一の措置となります。一般的に、合併などの抜本的変更は正当な目的のためではなく、少数株主を排除するために行われるものと考えられています。この場合には、株主は株式買取請求権を行使することだけでなく、合併などの抜本的変更の取消しを求める訴訟を起こすことができると主張します。抜本的変更はすでに終了した場合、反対株主は訴訟を起こし、「無効損害賠償(Rescissory Damage)」を請求することができます。無効損害賠償とは、変更が承認されなかったと仮定する場合の地位に戻して算出された金銭的賠償です。
デラウェア州最高裁がWeinberger事件で認めたように、株主の不満の原因はキャッシュアウト・マージャーに関する条項が不十分であるというものである場合、株式買取請求権は唯一の措置となります。また、詐欺又はその他の違法行為に関する請求は株式買取手続において扱われるのか、あるいは別途に訴訟を起こすのかについても、州によって異なります。
最後にご留意が必要な点は、株式買取請求権の行使は、企業にとって深刻なキャッシュの流出を引き起こす可能性があることです。従って、合併契約などでは、多数の株主が株式買取請求権を行使した場合に契約を中止することを規定するのが一般的です。
参考資料:
[1] Richard D. Freer. The law of corporations in a nutshell. West Pub. Co, 2020.
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