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会員に対する懲戒処分について

会員に対する懲戒処分について

日本公認会計士協会は、会員に対する懲戒処分を2009年10月2日に3件公表しました。

1件目は、インサイダー取引で今年6月に金融庁から課徴金納付命令が出た会計士の案件です。公認会計士法違反で3か月の業務停止処分をすでに受けていますが、協会からも会員に与えられた権利の停止3か月の処分が下されています。

公認会計士として業務上知りえた情報を利用したわけではないものの、品位の保持規定などに違反したとされています。

2件目では、鉄道会社とそのグループ企業(親会社や子会社)の監査を担当していた4名の公認会計士が処分を受けています。社名は明らかにされていませんが西武鉄道のグループのようです。

2名の会計士が、会員に与えられた権利の停止3か月の処分、あとの2名は戒告処分です。

懲戒の理由として、子会社投融資の評価などに関する十分な監査手続が行われていないこと、監査意見表明のための審査が行われていないことなども指摘されていますが、有価証券報告書の大株主情報の虚偽記載により、上場会社2社が上場廃止になり大きな社会的影響を与えたことが、比較的重い処分となった理由のようです。

ただ、協会のこのプレスリリースでもふれているように、大株主情報は監査の対象外です。本来であれば監査人の責任範囲ではない箇所の虚偽記載で、監査人が処分を受けるというのは、理屈が弱いように思われます。

(2004年の事件の処分がなぜ今ごろ行われたのかも、なぞです。また、鉄道会社の大株主情報が虚偽であったことは明らかになっていますが、親会社の株主名簿には虚偽がなかったのでしょうか。鉄道会社の再建スキームは、たしか、親会社の株主名簿が正しいということが前提だったようですが・・・。)

3件目は、ビーエー東京監査法人と、その社員2名の案件です。監査法人に対しては、会員に与えられた権利の停止1か月、社員に対しては同6カ月の処分となっています。

名証2部上場の食品会社(サンビシ?)の監査において、相当な注意を怠り、会社が実質的な子会社8社を子会社ではないとして連結から除外したことを見逃したとされています。

当サイトの関連記事(金融庁の2007年のプレスリリースについて)

その2
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