キリンホールディングスの2017年12月期の見込み利益には、IFRS導入などによる金額がかなり含まれているという記事。
「キリンホールディングスの2017年12月期は、国際会計基準(IFRS)導入とブラジル事業売却が連結純利益を計1200億~1300億円かさ上げする要因になる見通しだ。現金流入を伴わない会計上の利益だが、日本会計基準ベースの会社予想(前期比42%減の680億円)には織り込まれていない。」
具体的な利益増加要因は、以下のとおりですが、ブラジル事業関連は会計基準とは関係ないように思われます。
「17年12月期決算の発表からIFRSに移行する予定。IFRSでは買収した企業のブランド価値を示す「のれん」を償却しない。これが今期の純利益を約400億円押し上げる。
不振が続くブラジル事業を巡っても、会計上の利益押し上げが生じる。ブラジル事業の売却時期は未定だが、現地当局の承認を経てオランダのハイネケンに約770億円で売却することが決まっている。
買収時と比べ事業価値が毀損していることから、売却損が発生する見込み。一方で損失は税務上の損金として認識でき、税負担が減る見通しだ。税負担の減少額が売却損を上回るため、純利益を最大200億円ほど押し上げる。
また、IFRSでは為替変動に伴って生じる、円換算した海外の事業価値の目減りを反映する必要がない。この影響でブラジル事業の事業価値が約700億円かさ上げされ、同額分が利益の上乗せになる見込みだ。」
のれん償却については、日本基準とIFRSの違いとしてよく取り上げられいます。最後の為替変動の影響は、たぶん、海外子会社の為替換算調整勘定を、その子会社売却時に損益計算書にリサイクリングするかどうかという問題でしょう。「為替変動に伴って生じる、円換算した海外の事業価値の目減りを反映する必要がない」わけではなく、純資産には当然反映されます(日本基準もIFRSも同じ)。売却損益を計算する際に、為替変動で目減りしたあとの純資産(換算後)により計算するのか、それだけでなく、今までの為替変動による目減り分も含めるのかという問題だと思います。
平成28年度(2016年)第4四半期 決算説明会資料(キリンHD)(PDFファイル)
31ページにIFRS導入の影響が書いてありますが、 日経記事ときれいに対応はしていないようです。
ブラジルレアル/円(BRL/JPY) :外国為替レート(楽天証券)
長期的な傾向としては、円換算したときのブラジルレアルの価値は下がっています。
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