大証2部上場のニチリンの海外子会社が、在庫過大計上などの不正を行っていたという記事。過年度遡及修正を行うようです。
「自動車用部品の製造を手掛けるニチリンは16日、米子会社のニチリン・テネシー・インク(NNT)が、赤字を隠すために商品の在庫を過大に計上するなど不正な会計処理を行っていたと発表した。
NNT社は、2011年12月期決算で営業利益を約1億円過大に計上した。12年6月中間決算でも営業利益を約2千万円水増しした。」
売上高約3百億円、純資産約1百億円(2011年12月期)の会社です。1億円の差異というのは、訂正が必要かどうかのグレーゾーンでしょう。ただし、この訂正により、最終損益が黒字が赤字に変わったというところが、分かれ目になったのかもしれません。
当社連結子会社の不適切な会計処理に関する調査結果等について(PDFファイル)
「調査の結果判明した事実
(1) 不正な在庫数量操作による棚卸資産の過大計上
(2) 誤謬による棚卸資産の過大または過小計上
(3) 未払材料費として計上されていた買掛金の取崩しによる利益計上(取崩しのタイミングについての認識相違)」
(1)の在庫過大計上の原因については、以下のように書かれています(一部抜粋)。
「2011 年末に当社で開催された、当社子会社・関連会社の各社長が出席するTMC(トップマネージメントカンファレンス)において、NNT社元社長は、黒字見込みとの報告をしていましたが、その後2011 年決算の準備手続時に、実施棚卸結果に基づき算出された決算数値において予想外の損失が発生する見込みとの報告を受け、そのような決算になるはずがないとの思い込みから、部下に命じて在庫を過大計上することで決算数値の操作を指示したものであります。」
いうまでもなく、数字を思い込みに合わせるのではなく、思い込みの方を事実に合わせて修正すべきでした。
「不正な操作に対する当社の役員・幹部社員の関与は、認められませんでした」とのことです。
平成24 年12 月期第3四半期報告書提出遅延ならびに監理銘柄(確認中)への指定見込みに関するお知らせ(PDFファイル)
会社のプレスリリースをみる限りでは、大きな不正ではなさそうです。それにもかかわらず、監理銘柄になってしまうというのは、少しアンバランスです。当局や監査人がおおらかで、ほとんど訂正がない時代の制度がそのまま残っているような気がします。
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