堀正工業、銀行欺いた20年 融資金詐欺で元社長ら起訴
粉飾決算書使い分け/「見せ金」の定期預金(記事冒頭のみ)
堀正工業(非上場)の粉飾決算(→当サイトの関連記事)の記事。元社長、元総務部長、税理士(74歳)が7月9日に起訴されたそうです。税理士は「元」がついていないので、まだ登録したままなのでしょう。
「ベアリング販売の堀正工業(東京都、破産手続き中)による融資金詐欺事件では、銀行を欺く巧妙な手法が浮かび上がった。虚偽の借り入れ目的に沿って金融機関ごとに粉飾決算書を作成。信用力を高める「見せ金」の定期預金も積んでいた。銀行側は経営実態を見抜けず、破綻時の金融機関への債務は約50行で計約250億円に上った。」
2022年9月期には、実質的に100億円超の債務超過だったそうです。
粉飾決算がバレたきっかけは、新型コロナだったそうです。多くの企業の業績が悪化しましたが...
「しかし堀正工業が外部に示した決算は20~22年、増収増益を続けた。「安定しすぎている」。23年5月、決算の信ぴょう性を疑った銀行などの指摘によって粉飾が発覚。資金繰りが急速に悪化し、翌6月に倒産に至った。」
分析的手続では、変動があったときに理由を調べますが、変動があるべきなのにないときも、疑わないといけないのでしょう。
記事で引用されている警察のコメントによれば、融資金の一部は、ハワイの別荘や高級車などの私的な消費に使ったそうですから、ひどい話です。
週刊誌らしい記事ですが...
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粉飾「282億円倒産」ベアリング商社「堀正工業」社長の「愛人8人」お手当と「柿沢未途」接待(2024年2月)(デイリー新潮)
「例えば、2022年9月期の決算では表向き、売上高68億600万円、当期純利益4億7700万円と公表。しかし、本当のところは45億1600万円の売上高に過ぎず、しかも、3億4200万円の赤字だった。
と同時に、借入金は本来347億円に及んでいたにもかかわらず、税務署に提出した決算書には247億円という数字が書き込まれた。なおかつ、取引金融機関には借入金の額をわずか45億円台に装い、300億円も誤魔化した。こうした手口で、50以上もの金融機関を騙していたのである。」
ということで、税務申告に使った決算書は、粉飾決算とはいえ、まだ実態に近かったようです。
融資金の一部は、貸付金として社長に還流していたようです。
「×社長はタワマンや別荘といった不動産にも12億円以上を注ぎ込み、堀正工業名義に変えていた。しかも、破産手続開始申立書に添付された堀正工業の「貸付金リスト」には、取引金融機関から騙し取った融資金のうち、×社長個人への還流は33億7800万円にも及ぶことが記されている。
還流分は、ハワイの別荘の取得などに10億円、クレジットカードの支払いに10億円、愛人と目される女性8人への「お手当」に計1億円といった形で使われる有り様だ。リストには、286万円の貸付先として柿沢未途前法務副大臣(53)の名も登場する。その姿は、×社長が常連だった銀座のクラブで度々見かけられていた。」