会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

内部統制の重要不備事例16件(2024年6月14日~7月9日)

最近の内部統制重要不備事例です。各社の適時開示によっています。

1.ENECHANGE(東証グロース)

財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ(2024年7月9日)(PDFファイル)

「1.開示すべき重要な不備の内容

当社は、当社の会計監査人である有限責任あずさ監査法人(以下「あずさ監査法人」といいます。)との間で、2023 年 12 月期より本格的に立ち上げた新規事業である EV 充電事業において、当社グループが採用する SPC スキーム(以下「本スキーム」といいます。)における SPC(以下「本 SPC」といいます。)を当社の連結範囲に含めるべきか否か、及び本 SPC への出資者が有する当社に対するプット・オプション(当社又は当社が指定する第三者に対する出資持分の買取請求権)の将来的な行使に備えて引当金の計上をすべきか否かについて協議をして参りました。

かかる協議を継続していく中で、あずさ監査法人より、当社からあずさ監査法人に対して本 SPC の連結要否の検討に必要な情報が当初は十分に開示されておらず、追加的に開示された情報を踏まえると、本 SPC を当社の連結範囲に含めるべきであるという結論に至った旨の連絡を受けました。これを受けて検討した結果、当社としては、あずさ監査法人の指摘を受け入れ、本 SPC を連結範囲に含める修正をしました。

また、あずさ監査法人から、上記協議において、本スキームの遂行及び会計処理を行うに当たって、本SPC の連結要否の検討に必要な情報が当社取締役会等に適時かつ十分に報告又は共有がされていなかった等の内部統制上の問題点があるのではないかという指摘を受けたことを踏まえ、当社は、公平性を確保した調査により前提となる事実関係を明らかにするとともに、本 SPC を非連結とした従来の会計処理(以下「本件会計処理」という。)の検討過程の検証、本件会計処理と類似する事案の存否、事実関係の調査及び評価、並びに内部統制上の課題を評価していただく必要性を認識し、2024 年 3⽉27⽇に外部調査委員会を設置して調査を依頼し、2024 年 6 月 21 日に同委員会から調査報告書を受領いたしました。

この他、新規事業である EV 充電事業の新規取引の発生や取引量の増加に伴い、会計論点を検討するための十分なリソースを確保できなかったことにより、当社と当社の連結子会社である EV ラボ株式会社(以下「EVラボ」といいます。)との間において一部各社の役割と照らし合わせて適切でない費用負担があったことなど、複数の会計処理の誤謬が発生しました。

当社グループにおいて、以下の通り、信頼性のある財務報告を実現するための内部統制が有効に機能しておりませんでした。

1. 本 SPC を連結範囲に含めるかどうかの判断に関する事項

(1)コンプライアンスを軽視した代表取締役及び一部の執行役員の姿勢

...

(2)実効性のある内部統制及びガバナンスが構築されず、代表取締役に対する十分な牽制・監督機能を果たすことができていなかったこと

...

(3)EV 充電事業の事業リスクに対応し得る態勢の不足

...

(4)代表取締役及び会計処理に関わる執行役員の会計上のリスク認識不足及び内部での情報共有不足

・・・

2. その他の事項

(以下省略)」

2.東京産業(東証プライム)

財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ(2024年7月3日)(PDFファイル)

「(3)開示すべき重要な不備

外部調査委員会による指摘を踏まえ、全社的な内部統制及び業務プロセスにおける不備の内容については、以下の通りと考えております。

① 全社的な内部統制における不備

I. 統制環境の不備

本発電案件の長期未収入金に対する貸倒引当金の見積りについては、一部の担保資産の売却交渉が具体化している事実や担保設定者の資金繰りが厳しく、担保物件の資金化以外長期未収入金の返済が困難であるとする担保設定者の意向を認知した以降においても、担保設定者の説明の信憑性の精査や適宜登記簿謄本を取得しての担保資産が無断譲渡されていないかの確認及び回収可能性の検討が不足しておりました。また、本請負工事では、実態にそぐわない進捗率の当社名義進捗表が、いわゆる工事進行基準による会計処理の基礎資料として用いられたことで不適切な会計処理となりましたが、営業担当者は実態にそぐわない進捗率を用いて会計処理が行われることが財務報告に及ぼす影響について、深く考えることなく進捗率を算定しておりました。加えて、経理部において、追加費用が暫定的に決定した後も追加費用の影響を加味した会計処理の検討が行われず、また、監査室において本請負工事が監査の対象となるも過年度の決算処理の訂正が必要となる可能性がある事象との認識に至りませんでした。これらのことから、法務、営業、経理、監査の各部門において、財務報告に及ぼす影響を十分に検討するための会計リテラシーが不足しておりました。

II. リスクの評価と対応の不備

本発電案件については、従前では仲介という形で手数料収入を得る取引形態であったところ、当社が当事者となって売買を行う取引形態へと移行して間もなく取り組んだ案件であり、本請負工事については、取引形態としては従前から取り組んでいたものの、取引規模が今まで請け負ってきた案件と比較して格段に大きいという点で、どちらも非定型ビジネスであったと考えております。そのような取引に取り組むにあたっては、本部長会においてリスク評価を今まで以上により慎重に実施すべきところ、これまでと同様のリスク検討を実施するに止まり、多角的且つ深度のあるリスク検討ができておりませんでした。

III. 情報と伝達の不備

本発電案件において、当社受入担保資産の無断譲渡が発覚以降はより一層慎重に受入担保資産に関する情報収集を行い、長期未収入金の回収可能性を検討すべきでしたが、当時は担保評価時点における登記簿の取得や担保として質権設定を受けていた合同会社の決算書を定期的には取得しておらず、情報収集が不十分でありました。また、本請負工事において、追加費用の会計処理の適切性に影響を及ぼしうる情報が営業部門から経理部門に正しく伝達されておりませんでした。また、監査部門においても追加費用の発生可能性を認識しておりましたが、経理部門に対し、決算への影響の可能性について共有ができておりませんでした。

② 業務プロセスにおける不備

I. 貸倒引当金の見積りプロセスにおける整備状況及び運用状況の不備

...

II. 仕掛品の評価プロセスにおける整備状況の不備

...

III. 建設請負工事プロセスにおける整備状況及び運用状況の不備

...

当社は、これらの内部統制の不備について、財務報告に重要な影響を及ぼすことから、開示すべき重要な不備に該当するものと判断いたしました。」

3.エコノス(札証アンビシャス)

財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ(2024年7月1日)(PDFファイル)

「1.開示すべき重要な不備の内容

2024 年5月に当社が営業する特定のハードオフ店舗において、従業員が顧客からの商品買取を偽装して買取代金相当額を領得する行為(以下、「架空買取」という。)および買い取った商品を持ち出して私消する行為(以下、「内引き」という。)を行っている可能性があることが判明いたしました。これを受け 2024 年5月 17 日において特別調査委員会を設置し、本事案について調査を進めてまいりました。

2024 年6月 25 日付「特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」のとおり、特別調査委員会より調査報告書を受領し、従業員1名による商品画像や顧客署名の偽装を伴う架空買取および棚卸結果の偽装を伴う内引きの疑いにより、所在不明在庫があることが判明いたしました。

特別調査委員会からの調査結果を受け、以下に掲げるハードオフ業態に係る買取取引、棚卸業務に関する業務処理統制および全社的な内部統制に不備があると認識し、開示すべき重要な不備に該当するものと判断いたしました。

(1)買取申込からレジ出金までの一定のルールは整備されていたものの、偽装工作および虚偽報告等の悪意をもった不正行為に対する買取取引に対するチェック体制に脆弱性があったことや、買取取引を記録する伝票の確認作業が適切に行われていなかった

(2)棚卸作業において一定のルールは整備されていたものの、偽装工作および虚偽の在庫状況の報告等の悪意のもった不正行為に対するチェック体制に脆弱性があった

(3)内部監査(内部監査部門に限られない)の頻度が不足していたことや、在庫量および在庫金額の検証が不足していた

(4)役員らによる牽制、不正防止に向けた仕組みづくりの不足、従業員に対するコンプライアンス教育の不足

(以下省略)」

4.B l u e M e m e(東証グロース)

財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ(2024年6月28日)(PDFファイル)

「1.開示すべき重要な不備の内容

当社では、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第 29 号 2020 年3月 31 日。以下、「収益認識会計基準」)が適用された 2022 年3月期の期首より、長期契約を含むライセンス取引において単年度ごとに収益認識を行っていましたが、ライセンスの契約内容や運用実態から会計処理を再検討したところ、当該処理が誤りであり、契約時における一括収益認識が収益認識会計基準に照らして適切な会計処理であることが判明いたしました。

これにより、当社は過年度の決算を訂正し、2022年3月期から 2023 年3月期までの有価証券報告書、及び 2022 年3月期第1四半期から 2024 年3月期第3四半期までの四半期報告書について訂正報告書を提出しました。

これらは、採用する会計方針の決定に関する決算・財務報告プロセスの不備に起因すると考えており、開示すべき重要な不備に該当するため、当事業年度末日において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断しました。」

5.電気興業(東証プライム)

財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ(2024年6月28日)

「1.開示すべき重要な不備の内容

2023 年 6 月 30 日付の内部統制報告書にてお知らせしました決算・財務報告プロセスにおける開示すべき重要な不備については、当事業年度において改善活動に注力いたしました。

しかしながら、固定資産の減損については、会計基準及びその適用方法の理解が不十分であり、固定資産の減損処理に関する準備が遅延し、本来実施すべき外部専門家や会計監査人への相談が不足したことから、状況に対応した手順書やワークシートの改善が徹底されておりませんでした。

また、適切な経理・決算業務のための必要かつ十分な専門知識が不足していたため、重要な事象や状況の変化に対する会計基準の適合性に関する検証の精度が不足しておりました。

これらの決算・財務報告プロセスの開示すべき重要な不備により、当事業年度においても会計監査人から固定資産の減損処理の誤りの指摘並びに異なる納税主体間での繰延税金資産及び繰延税金負債の誤った相殺処理、満期保有目的の債券に係る流動固定区分の分類誤り、連結キャッシュ・フロー計算書の科目集計の一部誤りによる決算短信の訂正を含む修正事項が発生いたしました。」

6.ヤシマキザイ(東証スタンダード)

財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ(2024 年6月28 日)(PDFファイル)

「1.開示すべき重要な不備の内容

当社において識別された開示すべき重要な不備

(決算財務報告プロセスに係る内部統制)

前連結会計年度に当社の財務経理部門における連結決算プロセス上の点検事項に含めるべき項目が整備されていなかったことを開示すべき重要な不備として識別し、再発防止策として当社は亚西玛(上海)貿易有限公司(以下、「ヤシマ上海」とする。)における会計・決算に関するリスクを踏まえて、連結決算チェックリストにチェック項目を追加して運用してまいりました。

しかしながら、ヤシマ上海に係る連結決算プロセスにおける当社の財務経理部門の連結子会社への方針指示等を行う担当者と連結決算作業担当者間の連携ミスによる会計処理の誤りが発見されました。そのため、前連結会計年度に識別された開示すべき重要な不備は当連結会計年度においても是正は完了していないと判断しました。

連結子会社(ヤシマ上海)において識別された開示すべき重要な不備

(決算財務報告プロセスに係る内部統制)
...

(業務プロセスに係る内部統制(販売プロセス))

...

(業務プロセスに係る内部統制(棚卸資産管理プロセス))

...

(業務プロセスに係る内部統制(購買プロセス))

...」

7.エルアイイーエイチ(東証スタンダード)

財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ(2024年6月28日)(PDFファイル)

「1.開示すべき重要な不備の内容

当社は、2024 年3月期の決算期間中に、会計監査人より以下の指摘を受けました。

① 教育関連事業において新規事業を行うにあたり、取締役会決議は経ているものの、財務人員の不足等の理由により事業計画等の策定等が不十分な業務があった。

② 期末の固定資産の減損の評価等の業務において、不十分な業務があった。

すなわち具体的には、①教育関連事業においては、今期広告費を 336 百万円投入し、また教材費用も多額に発生しましたが、これらの事業について、取締役会決議の際の添付資料として、財務人員等の不足等の理由から事業計画等の策定が不十分な業務があり、この点を会計監査人より指摘を受けました。

また、②今期、教育事業関連では、多額の広告費等が発生したため、セグメント利益が赤字となり、翌事業年度の事業計画等の策定も不十分でした。このため、会計監査人より、当社の減損損失 44 百万円、教育関連事業の減損損失 266 百万円の計上不足を、期末監査時に指摘を受けました。

 以上から、決算・財務報告プロセスにおける内部統制において不備があったと判断し、これらの不備の財務報告に与える重要性を鑑み、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。

しかしながら、すぐにすべてを完璧に是正することは難しく、当該不備を当事業年度末日までに是正することができませんでした。」

8.電業社機械製作所(東証スタンダード)

財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ (2024年6月27日)(PDFファイル)

「1.開示すべき重要な不備の内容

...

当社は、特別調査委員会から受領した調査結果に基づき、過年度の財務諸表に与える影響を検討いたしましたが、当該期間の損益に与える影響は限定的であるため、過年度の決算の訂正は行わず、2024 年3月期第3四半期の財務諸表にて処理することといたしました。

しかしながら、当社は、調査報告書で判明した事実と、原因分析に関する報告を踏まえ、当社の全社的な内部統制及び業務プロセスに係る内部統制の再評価を行い、以下の内部統制の不備を認識しております。

全社統制

①会社業績の予算と実績の乖離縮小の過度な追及から生じた部門目標の達成圧力が動機となり、担当部門において適時・適正な見積原価の算定及び実際原価の計上がなされていなかったこと。(統制活動、モニタリング)

②内部通報制度において、どのようなコンプライアンス違反行為が通報対象なのかについての例示や周知がなされていなかったため、本制度が機能していなかったこと。(情報と伝達)

売上管理プロセス、購買管理プロセス

③下請工事業者からの工事見積書(追加工事見積書を含む)を承認する売上計上サブプロセス(進行基準)、及び購入契約サブプロセス(下請工事契約を含む)において工事業者からの見積内容を適切に評価・査定できていなかったため、適時・適正な見積原価の算定及び実際原価の計上がなされていなかったこと。

当社は、これらの不備は財務報告に少なからず影響を及ぼしており、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。」

9.城南進学研究社(東証スタンダード)

財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ(2024年6月27日)(PDFファイル)

「1.開示すべき不備の内容

人的リソースにつきましては人員補充を行い一旦改善したものの、期末決算において適切な決算財務報告に対応できる必要かつ十分な人員及び運営体制を構築できておりませんでした。その結果、社内のチェック体制が不十分であり、収益認識基準や固定資産の計上基準等の会計上の整備運用が不十分だったことにより決算作業及び監査スケジュールに遅延が生じたこと等、監査法人より指摘を受けております。」

10.昭和ホールディングス(東証スタンダード)

財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ(2024年6月26日)(PDFファイル)

「当社は、金融商品取引法第24条の4の4第1項に基づき、関東財務局に提出する2024年3月期の内部統制報告書において、2018年3月31日をもって終了する連結会計年度に発生したタイ証券取引委員会が指摘し、現在もタイ法務省特別捜査局が調査を継続している持分法適用関連会社Group Lease PCL.(以下「GL」という。)の完全子会社であるGroup Lease Holdings PTE.LTD.(以下「GLH」という。)の融資取引について、当社監査法人が、内部統制評価を実施するのに十分かつ適切な監査証拠を入手できなかったことから開示すべき重要な不備がある旨を記載いたしますので、お知らせいたします。 」

「1. 開示すべき重要な不備の内容

当社グループの重要な持分法適用関連会社であるGLにおいて、当連結会計年度に、有価証券報告書経理の状況追加情報に関する注記(持分法適用関連会社Group Lease Holdings PTE.LTD.が保有するタイSEC指摘GLH融資取引に関する影響について)に記載の事象が発生しております。

...

上記のとおり、当社の財務報告に係る内部統制は、過去の決算の訂正を含むタイSECの指摘に対して、問題となっている海外連結子会社GLHの特定の融資取引に対するタイSECの指摘の根拠を特定することができていない状況となっており、連結財務諸表に対する会計監査人の監査意見では当該事象は監査範囲の制約としての限定事項となりました。

このため、GLHの特定の融資取引に関連して、親会社としての海外持分法適用関連会社管理・情報収集管理体制や決算財務プロセスには不備があると評価せざるを得ない状態となっております。これは、開示すべき重要な不備に該当すると判断致しました。」

11.SMN(東証スタンダード)

財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ(2024年6月26日)(PDFファイル)

「1. 開示すべき重要な不備の内容

当社は2024年3月期の決算業務の過程において、当社の連結子会社であるSMT株式会社の収益計上において代理人取引が一部含まれるため当該収益取引を純額にて会計処理すべきであることが判明しました。当該影響額を調査し、その影響の重要性に鑑みて、過年度の有価証券報告書を訂正することといたしました。

なお、当連結会計年度末日時点において開示すべき重要な不備に起因する必要な修正事項は、すべて連結財務諸表に反映しております。

重要な事業拠点における事業目的に関わる勘定科目に至る業務プロセスに係る内部統制において、本人・代理人取引の判定に必要な正確かつ網羅的な情報の把握と判定に関する業務プロセスの統制活動が整備されていなかったため、結果的に誤謬が発生しました。以上より、当社の重要な事業拠点における事業目的に関わる勘定科目に至る業務プロセスに関連する内部統制上、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。」

12.エイチワン(東証プライム)

財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ(2024年6月26日)(PDFファイル)

「1.開示すべき重要な不備の内容

当社は 2023 年3月期(第 17 期)において、北米連結子会社各社の財務数値の確定及び北米子会社グループの連結財務数値の確定に時間を要し、結果、当社の定時株主総会で年次決算の報告ができず継続会を開催することとなりました。また、決算関連手続の過程で経理処理の誤りを検出できず、その結果、財務報告に係る内部統制は有効ではなく、開示すべき重要な 不備が存在すると評価いたしました。

当社は、2024 年3月期は、開示すべき重要な不備の是正に向けて、以下の対策を講じてまいりました。
① 北米連結子会社における経理人材の安定的な確保と育成
 (人員拡充と良質な人材確保、決算手順とマニュアルに基づく指導等)
② 北米連結子会社における決算財務報告プロセスの運用定着化
 (作業手順書及び決算チェックリストの拡充)
③ 北米連結子会社における棚卸資産の決算処理の早期安定化
 (在庫管理システムの改善、担当者の決算処理の習熟度促進等)
④ 北米連結子会社の課題の早期発見と対応策の検討における親会社の監視指導体制の強化
 (当社と北米連結子会社との定期的なコミュニケーションの実施、当社の内部監査室による北米連結子会社に対する監査の強化等)

北米連結子会社において、以上の整備は概ね完了したものの、期末決算における在庫金額確定までのプロセスは、手作業による処理が多岐にわたる業務であり広範囲な内部統制を要するため、内部統制の運用を定着させるまでの十分な期間を確保することができませんでした。併せて、2024 年3月期末の会計監査人の監査の過程で、その他の領域においても複数の誤謬が検出されており、決算財務報告プロセスにおいて十分なレビュー統制が機能していなかったことを認識し、2024 年3月期末(第 18 期末)までに内部統制の不備が完全に解消するには至っていないとの判断をいたしました。」

13. サンテック(東証スタンダード)

財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ(2024年6月26日)(PDFファイル)

「1.開示すべき重要な不備の内容

当社は、3年前の当社決算期である 2022 年3月期(第 75 期)に北陸のトンネル照明設備更新工事(以下、「当該工事」といいます。)を請負いましたが、2024 年3月期(第 77 期)決算において工事原価総額見込みを見直したところ、受注当時の見積り漏れ、その後の工事原価増額などにより損失が発生することが認められ、2024 年3月期(第 77 期)第4四半期において損失処理を行いました。本件は工事原価総額の見積り誤りによるものであり、内部統制の不備に該当すると認識し社内調査を行いました。その結果、本件の主たる原因は、当社が過去に経験したことのない管理の難易度の高い工事であったにもかかわらず、当該部署内においてその工事への対応に必要な知見・経験を有している人材を配置しなかったこと、それにより将来の工事原価増加要因となる情報を網羅的に把握して実行予算を作成・見直す体制の整備およびその運用がされていなかったこと、情報を把握しても適時に部署内で共有して実行予算を見直しする運用がなされていなかったことと考えており、内部統制の整備及び運用上の不備と評価しました。

また、会計監査人による監査の過程で、全社的な共用資産の減損判定のための割引前将来キャッシュ・フローの見積り資料について合理性を持った検証ができていないとの指摘を受け、当該共用資産について、割引前将来キャッシュ・フローの見積りの妥当性を証明する資料の収集に努め、減損処理の検討を行なってまいりました。減損損失の判定が遅延した要因として、固定資産の減損に係る会計基準に基づく網羅的・客観的かつ合理的な評価プロセスが整備されていないため、減損の認識要否の判断のために将来キャッシュ・フローの見積りを十分に検討する必要があることに関する意識の欠如、関連する会計基準の理解不足が挙げられ、これは内部統制の整備上の不備に該当すると考えております。」

14.鴻 池 運 輸(東証プライム)

財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ(2024 年6月 24 日)(PDFファイル)

「1.開示すべき重要な不備の内容

当社は、大阪国税局による税務調査の過程で、当社従業員が当社取引業者と共謀して架空の外注費用等の計上が行われた可能性を 2023 年 11 月に認識し、直ちに社内調査チームを発足させ外部の専門家の協力も得て調査を行い、当該従業員による架空請求・横領を確認いたしました。当社は当該不正行為以外の類似の事例の有無についても客観性を確保しながら全社的な調査を行い、再発防止策等の検討を行うことを目的に、外部の弁護士を委員長及び副委員長に起用した内部統制調査委員会を組成し事実関係の調査をいたしました。

内部統制調査委員会による調査の結果、2020 年度から 2023 年度までの期間において判明した不正金額の合計額は 549 百万円となります。過去の各期に与える業績の影響は軽微であり、過年度有価証券報告書及び四半期報告書並びに 2024 年3月期の各四半期報告書の訂正はありません。

本件の直接的な原因は、当社一拠点において要員配置が長期間固定されたことで役職者同士の共謀が起こり、本来それを防止するための上席者からの監督・牽制が機能していなかったため取引業者との癒着が発生したことです。また、そのような事態が生じた背景的な原因として、歴史ある企業であるがゆえの旧弊が一部残存していたことやコンプライアンス意識の希薄化、内部通報制度の運用不全、不正検知に対する内部監査の深度不足等が挙げられます。

このように原因は多岐にわたっており、これらを総合的に勘案すると当社の財務報告に潜在的に重要な影響を及ぼす可能性が高いものと考えられるため、本件にかかる全社統制及び当社の業務プロセスに係る内部統制について、財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。」

15.ニデック(東証プライム)

財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備 及び実施した是正措置に関するお知らせ(2024年6月19日)

「1. 開示すべき重要な不備の内容

当社の連結子会社であるニデックドライブテクノロジーにおいて、連結決算手続における当社グループの連結子会社間取引を伴う売上高等の連結調整の一部について調整対象を誤認し、売上高が過大に計上されていることが判明しました。過大計上された売上高を取り消す処理が必要となったため、過年度決算を訂正すべきとの結論に至りました。決算・財務報告プロセスの内部統制として、起票者が作成した仕訳を承認権限者が承認するルールとなっていましたが、当該誤謬は、関連する組織間でのコミュニケーション不足により調整対象案件を特定する際に必要な正確かつ網羅的な情報の把握及び決算処理に関するモニタリング体制が不十分であったため、結果的に重要な虚偽表示を発見できず誤謬が発生いたしました。以上より、決算・財務報告プロセスの内部統制上、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。」

16.ラ ッ ク ラ ン ド(東証プライム)

財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ(2024 年6月 14 日)(PDFファイル)

「1.開示すべき重要な不備

...

当社は、今般不適切交際費等事案において、当社代表取締役社長(当時)による不適切な経費精算に関して、財務諸表及び関連当事者取引注記における虚偽の表示が生じた原因として、同氏のガバナンス意識の低さ、すなわち、上場会社の経営者として、過誤によるとしても私的なものが一切混在しないよう公私を厳格に分け、利害関係者に対する説明責任を全うするという意識が不十分であった点(全社的な内部統制:統制環境)がその根底にあったものと認識しております。

同時に取締役管理本部長(当時)及び管理本部部長代理(当時)のガバナンス意識が不十分であったことも原因であり、当社代表取締役社長(当時)に対する忖度から、十分な統制機能を果たせなかった点(全社的な内部統制:統制環境)に加え、取締役会や監査等委員会に対しても適切な情報提供がなされず(全社的な内部統制:情報と伝達)、その結果、当社代表取締役社長(当時)の行為に対し、取締役会及び監査等委員会が十分な批判的検討ができなかった点(全社的な内部統制:統制環境)に繋がったものと認識しております。

その他関連当事者取引の未開示についても、関連当事者取引に関する決算・財務報告プロセスが形骸化し、十分網羅的な情報収集ができておりませんでした(決算・財務報告プロセス:関連当事者取引)。

なお、これらの全社的な内部統制における不備は財務報告に重要な影響を及ぼしており、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。なお、上記事実は当事業年度末日後に発覚したため、当該不備を当事業年度末日までに是正することができませんでした。

次に、前述の当初工事原価付替え事案に関する不適切な会計処理(具体的には①工事原価に関する見積書の変造の結果による工事収益の過少計上(当社)、②工事原価の付替え及び工事原価の過少計上、並びに工事原価の過少計上の結果としての簿外債務の存在(当社及び子会社(光電機産業株式会社))、③架空又は水増しした工事原価の計上による工事収益の過大計上(子会社(大阪エアコン株式会社))が生じた原因として、総じて工事担当者における工事進行基準の理解不足や、工事進行基準に対する指導・管理体制が必ずしも十分ではなかったという背景があったものと認識しておりますが、特に②主に当社における工事原価の付替え及び工事原価の過少計上に関しては、工事に関する社内承認の際の説明の手間を安易に避けようとした工事担当者等のコンプライアンス意識の低さと、同時に、当社による各従業員に向けた適切な財務報告の重要性に関する指導・教育が必ずしも十分ではなかった点(全社的な内部統制:統制環境)を認識しております。また工事担当者が内装工事等の発注先からの協力を得て、工事原価の付替えや過少計上を行っていたような場合には、購買業務プロセスにおける工事原価の実在性や網羅性に関する内部統制が十分に機能しなかった点(購買業務プロ
セス(実在性・網羅性))、さらにはこのような工事進行基準案件における不適切な会計処理に関して必ずしも十分なリスク認識ができておらず、十分な統制構築に至っていなかった、という点(全社的な内部統制:リスクの評価と対応)をその原因として認識しております。また、③大阪エアコンの工事進行基準案件における架空又は水増しした工事原価の計上による工事収益の過大計上に関しては、当該子会社における業務全般の統括責任者が、その事業計画や業績見込み値達成に対する心理的負担から実行に至ったものであり、上場会社の子会社としての適切な財務報告に関するコンプライアンス意識の低さ(全社的な内部統制:統制環境)をその原因の一つとして認識しておりますが、同時に 2017 年 10 月に子会社化した同社に対する当社側からの管理・統制が必ずしも十分に構築できていなかったこと(全社的な内部統制:統制環境(子会社管理面))を認識しております。

...

当該購買業務プロセスにおける不備は財務報告に重要な影響を及ぼしており、当事業年度末日においても引き続き開示すべき重要な不備に該当すると判断しております。」

番外 野村ホールディングス2024年3月期有価証券報告書(PDFファイル)

(内部統制報告書より)

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