会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

金融庁が「詐称」を容認した学者(「磯山友幸のブログ」より)

金融庁が「詐称」を容認した学者

経済ジャーナリスト磯山友幸氏のブログより、金融庁のオックスフォード・レポートを書いた学者の「詐称」を金融庁が容認していたという記事。その背景が問題です。

「「役所がまさか、そんなことを言ってくるとは思いませんでした」

日本公認会計士協会の幹部は驚きを隠さない。

海外在住のある学者が日本の公的機関に出入りする際、「公認会計士(日本)」という肩書きを勝手に使っていたという。これに対し協会が「会計士登録をしないで公認会計士を名乗るのは法律違反なのでやめるように」と通知したのだそうだ。

すると、しばらくして協会を監督する立場にある金融庁の責任者(課長級)から「会計士試験には受かっているのだから、よいではないか」という“指導”がきたというのだ。

確かに問題の学者は日本の会計士試験には合格しているが、現在、会計士登録はしておらず、法律で義務付けられている再教育プログラムの単位も取得していない。「会計士や弁護士などの専門家は資格が命。法律で厳しく管理されており、役所の胸先三寸で名乗っていいかどうかが決まる話ではない」と冒頭の幹部は憤る。金融庁自身がいわば脱法行為の容認を“指導”するとはいったいどういうことか。」

この「詐称」自体はたいした問題ではないように思われます。日本の会計士として働いていた人物が、海外の教育・研究現場で活躍しているわけですから、むしろ喜ばしいことです。もちろん、会計士資格をかたって商売をしているというのなら、厳しく取り締まるべきですが、そういうことではなさそうです。この人物の所属大学のサイトに掲載されている経歴を見ても、過去に日本で会計士をしていたことは書かれていますが、現在、日本の公認会計士と名乗っているわけではありません。

ただし、記事に書かれているような反IFRSの金融庁参与の暗躍があるとすれば、たしかに問題でしょう。

さらに、記事の後半でふれている、企業会計審議会の委員がいつの間にか替わっていたという件は、「詐称」事件よりもはるかに重要かもしれません。

「佐藤参与の無理難題はこれに留まらないようだ。IFRSへの対応を議論する企業会計審議会のメンバーの入れ替えを強要したというのだ。同審議会には19人の正規委員がおり、IFRS推進派の八田進二教授(青山学院大学)も含まれる。金融庁のホームページには昨年6月末現在の名簿が掲示されており、八田氏も含まれている。金融庁に7月6日に問い合わせたところ、「その名簿が最新で、その後変更はない」と答えた。

ところが裏では、八田氏は2月に解任されたことになっており、後任に佐藤参与がごり押ししてIFRS反対派の辻山栄子教授(早稲田大学)が就任したという話なのだ。金融庁の担当部局には箝口令が敷かれ、3月以降の審議会の場でも一切名簿は配られていない。」

もっとも、会計学者の中で、積極的にIFRSを推進しようとしている人は、ごく少数派で、ほとんどの人が距離を置いているか、むしろIFRSの理論上の欠点に対して厳しい見方(学者としては当然?)をしているようにも思われます(あくまで外部からの印象です)。後任の学者を反IFRSと決めつけるのも一方的でしょう。

ちなみに、記事によれば、週刊誌で脱税疑惑・重婚疑惑などが報じられた元国税庁長官は、まだ委員を辞めていないそうです。

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