マイ ポエム

私の詩と写真を載せています

詩 私の宇宙旅行

2010-04-22 15:35:33 | Weblog
街なかで久方ぶりに同窓生に会って
やぁと 懐かしさがほとばしるのだが
長い空白が 言葉を詰まらせてしまう
だが 同窓会では どの席でも
お天気の挨拶から体の労わりの話まで
心に柔らかく馴染んできて
同窓会はいつも穏やかな光に満ちている

長い身の上話や重たい話題はほとんどない
お座成りな話しか出会わないと
出席に二の足を踏みだす人もいるが
此処まで生きてこられた
感謝の気持ちで 私は
必ず 顔をのぞかせている

忘れていた顔に出会わすのも
顔のほころびる同窓会
こんな顔だったかなと面食らうのも
記憶のあやしい同窓会
全然覚えのない人から
君を良く知っていると声掛けられるのも
不思議の国の同窓会
あなたはこうだったのよ
知らない私を紹介してくれるのも
玉手箱の同窓会

今だから出来る
過去への不思議な旅であり
そこから現在へ乗換えれば
未来の夢を見ているようでもあり
集まった人の世界を駆け抜けて
私は宇宙旅行気分

詩  深い哀悼を込めて友に送る 3

2010-04-11 18:09:47 | Weblog
元気づけを有り難う
     
四十年空白をスリップしての同窓会
産めよ増やせの戦争時代の
イ組からチ組の学年生四百人
そこに集い合った百余人
あちらでもこちらでも再会の歓声が上がっている
クラス別に座ると 仲間たちは
長い隔たりの前に やや緊張ぶりで 
切り出しの言葉をさぐっている

やがて 懐かしい面々どうし顔を寄せ合い
私も昔からの腕白たちと杯を交わす
欠席者の話になって
あの女性ヒト どうしてはんにゃろ?
ああ 彼女ね オレ好きやったな
ええ? 俺もやん!
いや ワシかてやで
と マドンナの話で盛り上がる

マドンナであったことを讃えるべきなのに
驚きと気落ちの谷底に滑り落ちた私
ただの嫉妬心なんだが
その他大勢であった自分が
なんだかつまらなく見え出し
彼女の気品が汚れたわけでもないのに
初恋はやや遠く霞んで行った

私の初恋が大事なのではない
初恋のあなた自身が大切なのに
なんと勝手な気落ち
当然 罰をうけたのだろう
友情をもっと温めたかったあなたも
晩年 もらっていた懇意な電話の語らいも
突然 永遠に消えてしまって
もうこの世では二度と
会うことも 聞くことさえもできない
気落ちどころか
もっと深い孤独の谷の底に
私はうずくまっている

淡い幼い私の想いに
ふと どこからか思い出が訪れてくる
もっと幼い もつと淡い
出会い
突然 始まった男女共学で
隣りの列に私と並び合った女の子
どんな私語を交わしたのか
思い出しようもないが
なぜか 蘇ってくる
二人してカンニングし合ったこと
そして おてんばだったあなたに
惹かれていったこと
私の初恋には筋道があったのだ

私が失っていた
幼くて淡い 遠くの筋道
たどらせてくれたのは
幼くて淡い 遠くの出会い
隣の席の女の子
淡くて 遠くの
もう会えない世界の
大切なあなたなのだろう

私を元気づけようと

寺院・ワットアルン。ワットポー 

2010-04-01 08:56:32 | Weblog

ワット(寺)アルン(暁)は周り234mの基壇の上にそびえる高さ75m(79m?)のどうどうした威容であり、表面を埋め尽くした陶片が輝いている。ことにチャオプラヤ河から眺める美しい。三島由紀夫の小説「豊饒の海」に出てくる寺院としても日本人にはなじみになっている。境内はその巨大な基壇にために狭い感じだがヤック神の守られた本堂には29体の仏像が安置されていて仏像ファンには見逃せない

 

      

塔の中段までは登れるが、一段一段の高いのと急な勾配なので私は怖くてなかなか降りられなかった。そのあとの二三日足が痛くて歩けなくなってしまった。 左下の写(真の階段を上り下りする姿をクリックして拡大して見てください)

     

隣の寺院ワット・ポー。長さ45m高さ15m(螺鈿で飾られた足裏5m)の巨大な黄金の涅槃仏には圧倒される

  


詩  深い哀悼を込めて友に送る 2

2010-03-31 15:24:48 | Weblog
樹海を超えて   深い哀悼をこめて 2      


たくさんのクラスメイトを
この一年 亡くした
そのたびに突き落される哀悼の海
しかしひとしお流されれば
やがて いつも浅瀬にたどり着き
送別の橋を渡れる
だが 此度ばかりは
果てしない樹海に
置き去りにされたままである

初恋で失くしたあなたを
今また亡くすことが
こんなに力を削ぐものとは
愛がずっと燃えていたわけではないのに
こんなに目頭を温めるとは

今更の
哀惜の言葉の空しさが
記憶の中の大事なものを
白く消していく
生きている間にこそ
愛惜の言葉を
もっと交わせておけばと
そんな悔みばかりが
樹海に漂う

初恋は
初恋を失くすことによって
そのあとあとを 紡いでいたのだろう
私が沢山のいろんな人々との
愛に出会うことを
だから あなたを亡くすことは
私のこれまで巡り合ってきた人々への
友情も 恋も 色褪せさせてしまうのだろう
私の気力をも萎えさせるのだろう

樹海にある道標は
間違いなく 私への
最期が近いという知らせ
だが きっとあなたは
僕を迎えに来ることはないだろう
数年ぶりに 今頃は
ご主人と再会を果たしているのだから
旧友とてお邪魔なはずだ

ならば あとしばらく
あなたへの祈りの中で
樹海の呪縛を晴らしておきたい
亡き人にも 生きている人にも
褪せた色に輝きを取り戻しておきたい
私の人生の終盤に
青春の風をもう一度吹きこませたい

詩  深い哀悼を込めて友に送る 1

2010-03-28 21:19:53 | Weblog
この三カ月、私は深い悲しみに閉ざされていた。
人の死が、友の死が、初恋の人の死がこれほどまて私を苦しめるとは思わなかった。

 亡くした大切な人に
        深い哀悼をこめて 1          


小学校六年二学期
初めての男女共学
何かしらのさざめきがあったかどうか
戦後二年目 当時の私たちは
まだまだままごと遊びの
茣蓙の中の童だった
おてんばでしっかりものの
僕の隣りに座った女の子
いつの間にか 私は心の隣に
座らせていた
幼すぎてまだ恋とは云えないだろうが
今もよく思い出す
私の初恋

中学を卒業してからは
殆ど交流は途絶えていたのに
老いてからは 
よく電話をかけあった
それも手がだるくなるほどの長電話
君の元気な声が今も
私の耳に残ったままだ  

だから唐突すぎるのだ
一枚のはがきが
君の訃報を知らせるなんて

「あの人亡くなったん知ってる?」
なんて 電話をくれていた君だったのに
そんな君からの電話が少なくなり
声にも張りがなくなっていた
どうして君の体の不調に あの時
想い遣らなかったのか

大切な時に いつも気付かない私
大切な人を 失ってばかりの私

僕はいつも君にはひと押しが足りない
もうひと押ししていたら
片思いに終わらなかったかも知れない
もうひと押しすれば
今も君の元気な声を聞けていただろう

つまらない無駄話も 大事な話も
なんでも話し合えて
私の余生に灯りをともしてくれていた
終生の友の話し声
大切な人の長電話

君が逝ったのではないだろう
僕が君を失っただけなのだから

私は今日も電話を待っている