熱川温泉ぐらし

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熱川温泉の由来と青・白龍伝【青龍面・白龍面】・・・【創作】

2017年04月02日 | Weblog

ずーと遠い神代の話である。この熱川の地は、それはそれは、美しい草花が咲き乱れ、一日中小鳥たちのさえずりの聞こえる広い広い草原で、今の伊豆大島の先、八丈島までは、七つの小高い山が点々と在る、温暖な所だったそうじゃった・・・と。この草原の後ろには、天城の連なる山々も無く、遥か後ろには、高い、高い大きな二つの山が、背伸びをするように立っておったそうじゃ。一つの大きな山には、不二という、大神が住み、もう一つの大きな山には、箱根の大神が住んでおったそうじゃ。不二の大神には、愛鷹(あしたかの)命(みこと)という王子が生まれ、また箱根の大神には、花咲香(はなさきやかの)命(みこと)という姫が生まれたそうじゃ。二人の大神は、愛鷹命と花咲香命を将来結婚させる約束をしたそうじゃ。 花咲香命は、大変美しく、心の優しい姫に成長したそうじゃ。ある時、花咲香命は、この温暖な熱川の地で、花や小鳥たちと戯れていると、七人の若者が、通りかかったそうじゃ。七人の若者は、火の神の王子であったと。その中のひときわ凛々しい、三原(みはら)彦火(ひこほの)命(みこと)と花咲香命は、たちまち恋におちいってしまったそうじゃ。そのことを知った、箱根大神は、大変お怒りになり、わが身を削り、伊豆半島を造り天城連山をその上に乗せ、姫の外出を、許さなかったと。それと、海神様に頼み、火の神の王子たちを、七つの島(伊豆七島)に、ひとりずつ、閉じ込めてしまったそうじゃ.ただ海神様は、この美しい草原を、海に沈めてしまうことを大変悲しみ、どんな深い底でも見える、透明な海水を、引き入れたそうじゃ。三原彦火命と、無理やり引き離された、花咲香命は、悲しみのあまり、毎夜泣き暮らし、涙で、芦ノ湖ができたそうじゃ。其の姫の熱い涙が、三原彦火命と初めて会った、熱川の地に、染み出し、熱い川となって、海に流れ出し・その川の周りには、沢山の温泉が沸きだし、大きな湯煙が立ち昇り、それが白い龍となり、熱い川と共に、海に下ったそうじゃ. 一方、海にかこまれ一人ぼっちになった、火の神の王子、三原彦火命は、わが身も省みず、火口より、青い龍となって立ち昇り、いきなり透明な海に飛び込み、熱川の地を目指し、泳ぎ始めたそうじゃ、飛び込むと同時に、海は青色に染まり、それ以来、海の色は青色に変わり、静かな海に波が立ち始めたと。熱川の海岸にたどり着いた、青い龍は、青い波となり、熱い川から下った、白い龍は、白い波となり、二頭の龍は一つの波となって、永遠に変わらない、愛を誓い合ったそうじゃ。その波は、世界中の海の隅々まで伝わったそうじゃ。熱川の波音が絶えないのも、また湯煙が、絶えることなく立ち昇るのも、二人の変わらぬ、愛情の証しだそうじゃ。箱根の大神も、二人の固い決心に感心され、二人の仲を許すと共に、熱川の地に、箱根大神の分身を祀つり、このような歌を、残したそうじゃ。熱川の心つくしや、波の音。それからずーとあとのこと、この里の人たちは、縁結び、精進〔登龍〕の神、湯権現様として社を祀り毎年2月14日にお祭りを行うことになったと。奇しくも箱根神社を分祠した湯権現祭りの祭日がバレンタンイの祝日に重なるのも二人の愛が世界に伝わった証かもしれない。

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