東京でカラヴァッジョ 日記

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「塩田千春展:魂がふるえる 」(森美術館)

2019年07月23日 | 展覧会(現代美術)
塩田千春展:魂がふるえる 
2019年6月20日~10月27日
森美術館
 
 
   現代美術音痴の私、初めて名を知る作家だが、評判が良い(インスタ映えするとか)ようだし、7/11(会期22日目)に入場者数10万人突破、今後一層の混雑も予想されることから、遅くならないうちに、と行ってみる。
 
   チケット売場に向かう階段入口には、50分待ちの案内。階段を上っていくと、その途中に列の最後尾がある。混雑しているなら出直そうかと思う。

   ただ、これは本展+展望台(展望台で開催中の「PIXERのひみつ展」込み)+スカイデッキのいずれかの当日券を購入する、あるいは、前売券を引き替える人の列。これを乗り越えてエレベーターホールにたどり着けば、あるいは並ばずに済む人は、その先は、本展は待ち時間なしで入場、会場内もそれほどの人混みではない状況で鑑賞できる(私の訪問時間帯:週末の午後4時頃、の話)。ここのチケット売場は難敵。
 
 
 
 
   さて、本展。
   塩田千春氏は、1972年大阪生まれ。ベルリン在住。「記憶、不安、夢、沈黙など、かたちの無いものを表現したパフォーマンスやインスタレーションで知られて」おり、「個人的な体験を出発点にしながらも、その作品はアイデンティティ、境界、存在といった普遍的な概念を問うことで世界の幅広い人を惹きつけて」きたという。
 
   本展の企画が決まった「一昨年、12年前の癌が再発しましたが、死と寄り沿いながらの辛い治療も、良い作品を作るための試練なのかもしれないと考えました。」塩田氏のメッセージである。
 
 
   1展示室を除き、写真撮影可能。
   以下、展示作品の一部の画像を掲示する。
 
 
 
塩田千春《手の中に》2017年
 
 
塩田千春《不確かな旅》2016年
 
 
   写真だと私には「舟から火災が発生、炎上拡大中」としか見えないが、実物を見るとそんな印象は全くない。赤い糸は、炎ではなく血管。舟から湧き出た毛細血管が展示室中を覆おうとしている。
   本展一番のインスタ映えの大型インスタレーション。目当ての観客が見受けられる。
 
 
 
塩田千春《皮膚からの記憶》
   泥が付着した巨大ドレス(高さ10数メートル)、上からシャワーを浴びせるが、泥は落ちない。「洗っても落ちない皮膚からの記憶の表現」の海外での展示風景の映像。
 
 
 
塩田千春《小さな記憶をつなげて》2019年
   窓の外に見える大都市東京は、曇り空。
 
 
 
塩田千春《静けさの中で》2008年
 
   空間を覆う黒い糸。焼損したグランドピアノと多数の椅子。作家の幼少期の記憶、隣家が夜中に火事で燃えた記憶、から制作された大型インスタレーション。
 
 
 
塩田千春《集積ー目的地を求めて》2016年
 
   空飛ぶたくさんのスーツケースはどこに向かっているのだろう。私も海外旅行に行きたいなあ(呑気)。
 
 
 
   撮影はパスしたが、作家自身が裸で血管や泥などに挑むパフォーマンスの映像もある。
 
 
 
   私的に一番のお気に入りは、唯一写真撮影不可の「舞台美術に関する展示」の部屋。
 
   今見たばかりの赤い糸や黒い糸のインスタレーションが、ワーグナーのオペラの舞台となっている(写真&映像が展示)。
   ワーグナーのオペラには特に興味はない私だが、その舞台の写真&映像は魅力的だなあと素直に思う。他にもいくつかの舞台の写真&映像が展示。芸術家にとっての舞台芸術の重要性を認識する。


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