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東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

1951年のカラヴァッジョ(1)

2010年04月25日 | カラヴァッジョ
今年はカラヴァッジョ没後400年。ローマではカラヴァッジョ作品24点による回顧展が開催されています。

そこで気になったのが、カラヴァッジョ研究史上最重要な展覧会としてカラヴァッジョ本には必ず触れられているロベルト・ロンギ監修の大回顧展「Mostra del Caravaggio e dei Caravaggeshi」。
昔々の59年前、1951年4~6月にミラノのパラッツォ・レアーレで開催されました。今から見れば夢のような展覧会というコメントも読んだことがあります。
どんな作品が展示されていたのか、当時はどこまでがカラヴァッジョ作品として認められていたのか、今から確認していきたいと思います。

材料はこの展覧会の展示作品リスト。作者、題名、サイズ、(当時の)所蔵先名はありますが図版はありません。図版で確認できない分、推測によることが多くなっています。

展示作品数は194点。
内訳はカラヴァッジョ以前4点、カラヴァッジョ45点(うち?付が4点)、帰属作品またはコピーが17点、カラヴァッジェスキ128点。

まず、カラヴァッジョ45点について。

所蔵先別に見ると、イタリア国内が、地元ミラノ2点、ローマ19点、フィレンツェ6点、ナポリ2点、シチリア6点の計35点。国外が、ルーブル2点、ベルリン1点、ミュンヘン1点、ウィーン1点、スイス1点、スペイン2点、イギリス1点、アメリカ1点の計10点となっています。

【イタリア国内】

<ミラノ>◎2
ブレラ美術館1点
アンブロジアーナ美術館1点

<ローマ>◎16、○2、△1
ボルゲーゼ美術館6点(全て!)
ドーリア・パンフィーリ美術館2点(全て!)
サン・ルイジ・デイ・フランチェージ聖堂3点(全て!)
サンタ・マリア・デル・ポポロ聖堂2点(全て!)
サンタゴスティーノ聖堂1点
オデスカルキ・コレクション1点
バルベリーニ国立古代美術館2点
カピトリーノ美術館1点
カプチン聖堂1点

・まず驚くのは、ボルゲーゼが6点全てを貸し出していること。
・それよりもっと驚くのは、カラヴァッジョの聖地であるサン・ルイジ・デイ・フランチェージ聖堂とサンタ・マリア・デル・ポポロ聖堂が全作品を貸し出していること。今では、修復がらみでもない限り、1点でも貸し出されることはないのでは。
・国立古代美術館作品は「ナルキッソス」と「洗礼者ヨハネ」。後者はたぶん現ローマ・コルシーニ美術館のものと思われます。なお、「ユディトとホロフェルネス」の名は見当たりません。
・カピトリーノ美術館作品は「女占い師」。当時は?付きでしたが、今は真作とされています。
・カプチン聖堂作品は、「瞑想の聖フランチェスコ」。当時は真作とされていましたが、今はバルベリーニ国立古代美術館作品のほうが真作とされています。
・ヴァチカンの「キリストの埋葬」の名がないのはなぜなのでしょうか。

<フィレンツェ>◎4、△1、×1
ウフィツィ美術館3点
ピッティ美術館1点
コルシーニ美術館1点
ロベルト・ロンギ個人蔵1点

・ウフィツィ作品は、「バッカス」、「メドゥーサ」、「イサクの犠牲」。ピッティ作品は「眠るアモール」と、いずれも今でも真作。
・コルシーニ作品は「マッフェオ・バルベリーニの肖像」。今では真作とされていません。
・ロベルト・ロンギ作品は「トカゲに噛まれた少年」。真贋判断の難しい作品です。

<ナポリ>◎2
サン・ドメニコ・マッジョーレ聖堂1点
ピオ・モンテ・デッラ・ミゼリコルディア聖堂1点

・サン・ドメニコ・マッジョーレ聖堂作品は「キリストの苔打ち」。現カポディモンテ美術館にある作品です。

<シチリア>◎4、×2
メッシーナ州立美術館4点
シラクサ、サンタ・ルチア聖堂1点
パレルモ、オラトリオ・ディ・サン・ロレンツォ1点

・メッシーナ州立美術館4点のうち2点は、当時も?付でしたが、今はロドリゲスの作品とされています。2001年に東京・岡崎で開催された「カラヴァッジョ展」に来ていた作品です。同展図録の解説には、ロンギはカラヴァッジョ作としていたが異論も多かったことに触れられています。
・サンタ・ルチア聖堂作品は、今はパラッツォ・ベッローモ州立美術館にあります。
・なんといっても感慨深いのはパレルモ作品。当時は見ることができたのですね・・・。その後、1969年に地元のマフィアによって盗まれ、いまだに行方不明となっています。

続きは次回とします。


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