東京でカラヴァッジョ 日記

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「狩野元信」展で旧大仙院方丈障壁画。(サントリー美術館)

2017年09月27日 | 展覧会(日本美術)
天下を治めた絵師 狩野元信
2017年9月16日~11月5日
サントリー美術館

 
   狩野元信(1477?-1559)。
   室町時代から江戸幕末まで、画壇の中心を担った狩野派の二代目。父・正信時代は傍流だった狩野派を飛躍させた人物。狩野永徳(1543-90)は元信の孫、狩野探幽(1602-74)は永徳の孫にあたる。
 
 
 
   旧大仙院方丈障壁画が素晴らしい。
 
 
   本展に出品される旧大仙院方丈障壁画は次の6点。
 
 
1)《四季花鳥図》8幅
2)《禅宗祖師図》6幅
3)《朱買臣図》2幅
4)《巨岩雑木、瀑辺小禽図》2幅
5)《枇杷蓮根柘榴柿》4幅
6)《浄瓶踢倒図》1幅
 

    サントリー美術館恒例の細かい展示期間設定(6期)、全ての障壁画を見ようとすると計3回通う必要がある。
    私の訪問日の展示は、1)が半分、2)が3分の1、6)である。単純計算で、30%の鑑賞率(=7幅÷23幅)。
    かつ、1)のメインビジュアルになっている場面は10/18から登場する、もう半分の方にある。
   とはいえ、訪問日の7幅だけでも見応え充分、特に、1)の4幅と3)の1幅が良い。
 
 
 
1)《四季花鳥図》8幅のうち4幅(〜10/2)
 
    水辺の岩、左と右で向かい合い、共に鳥が止まっている。遠くに霞んで山が見える。
    よくあるような題材の障壁画のどこに惹かれるのかよく分からないが、素晴らしい。残り4幅も是非見たい。
 
 
 
6)《浄瓶踢倒図》1幅(〜10/9)
 
  「それは瓶と呼ぶべからず、では何と呼ぶか」と問われ、瓶を蹴り倒して立ち去る。
    左端に問うた3人組、右端に蹴り倒した1人、四者四様の表情。転がる瓶。その横に、問うた側の岩に座っている真ん中の禅師が脱いた履物が転がる。
    本作は、当初はもっと大きな画面であったらしい。



   会場に入って最初に登場する旧大仙院方丈障壁画に惹かれ過ぎて、あとは印象が薄くなってしまったのだが、展示作品数こそ少ないものの、中身は濃い展覧会だと思う。
 
 
 
   あと、ボストン美術館からの出品コーナー。3点が並んで展示、うち1点は、元信の仏画の代表作とされているらしい《白衣観音像》。上野、千葉のみならず、六本木でも、ボストン美術館の強靭な所蔵力を見せつけられる。
 
 
 
   兵庫・白鶴美術館の重文《四季花鳥図屏風》は、複製での出品。2016-17年の江戸東京博物館での「戦国時代展」で期間限定出品されていたらしい。非出品期間に訪問していた私・・・。残念。
 
 
 
【本展の構成】
 
第1章   天下画工の長となる -障壁画の世界
第2章   名家に倣う -人々が憧れた巨匠たち
第3章   画体の確立 -真・行・草
第4章   和漢を兼ねる
第5章   信仰を描く
第6章   パトロンの拡大
 
 
 
   《四季花鳥図》の残り4幅を見るため、10/18以降に再訪するつもりである。
 



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