ちょっと驚いたニュース。
「米国の人気司会者に臨時収入、クリムト絵画を170億円で売却-関係者」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170211-67025005-bloom_st-bus_all
クリムト
《アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 II》
売買時期:2016年
価格 :1億5000万ドル
売却者:オプラ・ウィンフリー氏
購入者:中国人バイヤー(氏名は明らかになっていない)
この絵は、2015年に日本公開された映画『黄金のアデーレ 名画の帰還』の主役であるクリムト《アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像I》ではない。
映画ではほとんど取り上げられなかったと記憶するクリムト《アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像II》のほうである。
1ではなく、2のほうである。
2006年1月、クリムト《アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像I》、《アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像II》他計5点が、オーストリア政府からマリア・アルトマンに返還される。
同年6月、彼女は《アデーレI》を売却する。1億3500万ドル(約192億円)。この金額は、当時の絵画市場史上最高額となる。
《アデーレI》は、映画公開の2015年当時と変わっていなければ、ニューヨークのノイエ・ギャラリーにいる。20世紀初めのドイツ・オーストリア美術を専門とする美術館のようである。
一方、《アデーレII》は、返還された他3作品とともに、同年11月に売却される。
《アデーレII》は8790万ドルの価格であった。
なお、《アデーレII》は、映画公開の2015年当時、オークションで入手した個人コレクターからMOMAに長期寄託されているものと私は認識していた(誤認識だったかもしれません)。
そして、個人コレクターが入手してから約10年、8790万ドルから1億5000万ドルと、7割強のアップ、《アデーレI》価格超えで、所有者が変わる。
名画の流転。
名画が元気でさえあれば、いつか観ることができる日がやってくるに違いない。次世代、次次世代のことかもしれないが。