最近、デルフトの画家、カレル・ファブリティウス(Carel Fabritius)が気になっています。
理由は、6月30日から始まるマウリッツハイス美術館展で、彼の作品「ごしきひわ」が出品されるため。
カレル・ファブリティウス(1622年生-1654年没)。
かつて推測されたようにフェルメール(1632年生-1675年没)の師ではないとしても、「光の処理や錯視効果の追及でフェルメールに確実に何らかのインパクトを与えた画家」(小林頼子氏)であるようです。
1654年に起きたデルフト火薬庫の大爆発事故に巻き込まれ、32歳で死亡。爆心地近くに住居があったらしい。
このため、現存する作品数は10数点といわれています。
現存作品数10数点のうち、4点も集めたのが、2008年に開催された「フェルメール展~光の天才画家とデルフトの巨匠たち~」。
出品作品は、今は彼の作品ではないとされている1点も含めて、次のとおり。
◇自画像(ボイマンス美)
◇アブラハム・デ・ポッテルの肖像(アムステルダム国立美)
◇歩哨(シュヴェリン国立美)
◇楽器商のいるデルフトの眺望(ロンドン・ナショナル・ギャラリー)
◇ヘルメットの男(以前はカレル・ファブリティウスに帰属)
強く印象に残ったのは「歩哨」。本作により、カレル・ファブリティウスの名が頭に刻み込まれました。
その後知ったのですが、2002年に国立西洋美で開催された「レンブラントとレンブラント派」展でも、3点も出品されていたのですね。
◇メルクリウスとアグラウロス(ボストン美)
◇メルクリウスとアルゴス(ロサンジェルス・カウンティー・ミュージアム)
◇洗礼者ヨハネの斬首(伝)(アムステルダム国立美)
レンブラントの弟子(1640年代の初めに師事していたらしい)という観点からの作品選択でしょうか。
同展覧会でこれら3作品を見たことは間違いないでしょうが、残念ながら記憶には残っていません。
そして今回の「ごしきひわ」。
フェルメールのみならず、一般的な知名度の低いカレル・ファブリティウスですら現存作品の半分(以上)を、日本に居ながらにして見ることができる。本当に凄いことですね。
ちなみに、カレル・ファブリティウスの弟バーレント・ファブリティウス(Barent Fabritius、1624生~1673没)も画家。
昨年Bunkamuraで開催の「フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展」に出品された「自画像」で一時期評判になっていましたね。