日伊国交樹立150周年特別展
アカデミア美術館所蔵
ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち
2016年7月13日~10月10日
国立新美術館
ヴェネツィア独特の組織であるスクオーラ(同信会)は、教会からは独立した、俗人による自治的な宗教団体であり、慈善事業や相互扶助の事業を行った。
大小百あまりのスクオーラがあったが、16世紀には六つの大規模な同信会がスクオーラ・グランデ(大同信会)と呼ばれた。そのほかの比較的規模の小さなスクオーラのなかには、同業組合や同郷組織的な性格のものも多かった。
それぞれスクオーラは集会場である同信会館(同じくスクオーラと呼ばれる)を持ち、そこを飾るためにカルパッチョやティントレットのような画家が活躍した。ヴェネツィアではスクオーラは、教会や貴族の邸館とならんで美術の一大パトロンであったのである。
しかし、1806年のナポレオンの弾圧によってそのほとんどが廃絶し、カルパッチョが制作に関わったスクオーラのなかではスキアヴォーニ同信会だけが昔の姿をとどめている。
【カルパッチョの関係したスクオーラ】
1)スクオーラ・ディ・サントスルラ(聖女ウルスラ同信会)
2)スクオーラ・グランデ・ディ・サン・ジォヴァンニ・エヴァンジェリスタ(福音書記者聖ヨハネ大同信会)
3)スクオーラ・ディ・サン・ジョルジョ・デリ・スキアヴォーニ(スラブ人による聖ゲオルギウス同信会)
4)スクオーラ・デリ・アルバネージ(アルバニア人同信会)
5)スクオーラ・ディ・サント・ステーファノ(聖ステパノ同信会)
以上、『イタリア・ルネサンスの巨匠たち23 カルパッチョ』(東京書籍)より。
本展においては、4)のスクオーラ・デリ・アルバネージ(アルバニア人同信会)のために制作された《聖母伝》6点連作から1点が出品されている。
そこで《聖母伝》連作6点を見る。
カルパッチョ《聖母伝》連作。1504-08年作。いずれも130×140cm前後とほぼ同じサイズ。
現在イタリアの3都市の美術館に分蔵。
《聖母の誕生》
ベルガモ、アカデミア・カッラーラ
《聖母の神殿奉献》
ミラノ、ブレラ美術館
《聖母の結婚》
ミラノ、ブレラ美術館
《受胎告知》
ヴェネツィア、ジョルジョ・フランケッティ美術館
《聖母マリアのエリザベート訪問》←本展出品作
ヴェネツィア、ジョルジョ・フランケッティ美術館
《聖母の死》
ヴェネツィア、ジョルジョ・フランケッティ美術館
画像を見る限り、《聖母の誕生》が、当時の室内光景を再現しているような感じで、面白そうである。
あとはどうだろう。