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東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

【再訪】「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」(国立西洋美術館)

2022年11月29日 | 展覧会(西洋美術)
ピカソとその時代
ベルリン国立ベルクグリューン美術館展
2022年10月8日〜2023年1月22日
国立西洋美術館
 
 
 ベルリン国立ベルクグリューン美術館のパウル・クレー・コレクションおよびピカソ・コレクションに感嘆した私。
 土曜日の夜間開館時に再訪する。
 
 
1 パウル・クレー
 
 本展出品数34点と、たっぷりなボリューム。
 個々の作品の素晴らしさ。
 クレーをこれほど楽しんだのは、Bunkamuraの「パウル・クレーの芸術」展以来のこと。
 
 前回訪問時の記事(→こちら)では、私的5選を記載した。
 今回は、追加で2選。
 
クレー
《塔の理念》
1918年、21.7×15.4cm
ベルクグリューン美術館、ベルクグリューン家より寄託
 画家の自画像らしき姿の周りに林立する塔は、イタリアの塔を連想させるが、イタリアの塔を連想することは普通の反応であるようだ。
 横たわる女性の姿もうっすらと描かれており、そうなると塔は別の意味合いも帯びていることに気づかされる。
 
 
クレー
《黒魔術師》
1920年、37.3×25.2cm
ベルクグリューン美術館
 操り人形の黒魔術師と、黒魔術師に操られる人形?。
 
 
 
2 セザンヌ
 
 本展は、第1章「セザンヌ-近代芸術家たちの師」から始まる。
 展示されるセザンヌ作品5点は、3点がベルクグリューンコレクション、2点が国立西洋美術館所蔵作品である。
 
 
セザンヌ
《庭師ヴァリエの肖像》
1906年頃、48×31.5cm
ベルクグリューン美術館、ベルクグリューン家より寄託
 
 ベルクグリューンは、晩年まで作品の購入と放出を繰り返し、コレクションを再編成し、最終的にはピカソ、クレー、マティス、ジャコメッティに重点を置いたものとなったという。
 その過程で、かつて所蔵していたゴッホ《アルルの公園の小道》やスーラ《ポーズする女たち》の構図習作などポスト印象派の画家たちの作品も放出され、20世紀に活動した芸術家に特化された。
 セザンヌについても、《サント=ヴィクトワール山》《水差しと果物》《人形を持つ少女》などのサイズの大きい油彩画を、2001年のオークションにて売却。ただし、完全に消えるのではなく、本水彩画を含む数点が最後まで手元に置かれた。
 
 
 
3 マティス
 
 本展の第6章「マティス-安息と活力」では、マティス作品13点が展示される。
 油彩画や切り紙、彫刻もあるが、ここで挙げるのは。
 
 
マティス
《チェッカーをする二人の少年たち》
1911年、48×63cm
ベルクグリューン美術館
 二人の少年は、マティスの息子ジャンとピエールとされる。このデッサンは、エルミタージュ美術館が所蔵する大画面の室内画《画家の家族》と関連づけて考えられているという。
 
参考:マティス
《画家の家族》
1911年、143×194cm
エルミタージュ美術館
 
 
マティス
《横たわる裸婦(ロレット)》
1917年、37.5×56cm
ベルクグリューン美術館
 職業モデルであるイタリア人女性ロレット。
 この時期はロレットをモデルとした作品を多く制作したようであり、ベルクグリューン美術館も、もう1点作品を所蔵している。
 
参考:マティス
《ロレットの肖像》
1917年、35×26.5cm
ベルクグリューン美術館
 
 以上、スケッチ2点。
 
 ベルクグリューン・コレクションにおけるマティスは、ピカソ、クレーに次ぐ重要性を与えられているとのことだが、マティス作品の大半は、1990年代末からの数年間に取得されたものらしく、コレクション再編成の激しさが伺われる。
 
 
 
 本展の構成は、次のとおり。
 
序.ベルクグリューンと芸術家たち
1.セザンヌ - 近代芸術家たちの師
2.ピカソとブラック - 新しい造形言語の創造
3.両大戦間のピカソ - 古典主義とその破壊
4.両大戦間のピカソ - 女性のイメージ
5.クレーの宇宙
6.マティス - 安息と活力
7.空間の中の人物像 - 第二次世界大戦後のピカソ、マティス、ジャコメッティ
 
 
 今回は割愛したが、本展の主役ピカソも見応えがある。
 (前回訪問時の記事→こちら)。
 
 土曜日の夜間開館時間帯(なかなか行けないけど)は、がら空きとまでいかないが、日中帯と比べると余裕があって、快適な鑑賞となる。


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