マレーシア・イスラーム美術館精選
イスラーム王朝とムスリムの世界
2021年7月6日〜2022年2月20日
東京国立博物館東洋館12室・13室
一日でいい、旅をしたい。
知らなかったイスラームの世界へ。
東京国立博物館東洋館で開催中の特別企画マレーシア・イスラーム美術館精選「イスラーム王朝とムスリムの世界」展。総合文化展料金で鑑賞可。
会期が長い(7ヶ月半)と思っていたら、あっという間に残り少し。
「イスラーム関連の豊富なコレクションを有するマレーシア・イスラーム美術館の全面協力を得ることで、特定の国家や地域によらない、世界規模のイスラーム美術の展示が実現」。
「イスラーム教を受容した世界各地では、多くのイスラーム王朝が交替しましたが、いずれも各地の文化を融合させた独自のイスラーム文化を展開」。
「こうしたイスラーム文化の多様性を知り、イスラーム世界への理解を深める手がかりとなるような美術工芸品や歴史資料などを紹介」。
【本展の構成】
第1章:はじめに:ムスリム世界の歴史と文化
第2章:初期イスラーム王朝
第3章:モスクの美術
第4章:北アフリカおよびスペイン
第5章:セルジューク朝
第6章:マムルーク朝
第7章:イル・ハーン朝とティムール朝
第8章:サファヴィー朝とカージャール朝
第9章:武器と武具
第10章:現代絵画
第11章:イスラーム書道芸術
第12章:マレー世界のイスラーム王国
第13章:ムガル朝
第14章:オスマン朝
第15章:中国のイスラーム
以下、第2章「初期イスラーム王朝」およびそれに関連する第1章に限定し、出品作品を見る。

ウマイヤ朝(661〜750)

《ウマイヤ朝版図の地図「楽絵またはエデンの園」》
17世紀、イギリス

《『クルアーン』(クーフィー体)》
9〜10世紀、北アフリカ

「クーフィー体」とは、アラビア文字の最古の書法。
カール・ヴトケ(1849〜1927、ドイツ)
《ダマスクスのウマイア・モスク》
1913年

シリアの首都ダマスクスに建てられたウマイア朝大モスクの入口を描く。アーチを支える柱頭にアカンサス文様が表現されている。
同モスクは、ウマイヤ朝が8世紀初めにギリシア正教の聖ヨハネ教会を改造したもので、現存するモスクのなかでは最古。
《アカンサス文柱頭》
10世紀、スペイン(後ウマイヤ朝)

アッバース朝(750〜1258)

《アッバース朝「ペルシャ」地図(『ジョン・タリスの世界地図』より》
1851年、イギリス

《『クルアーン』(クーフィー体)》
8〜9世紀、地中海東岸地域(アッバース朝)

《天文学書》
1347年、イラン、シーラーズ

アッバース朝宮廷に仕えるペルシャ人の占星術師アブー・マーシャル(787〜886)は、ローマ帝国時代(2世紀)にアレキサンドリアで活躍した博物学者プトレマイオスの天文書『アルマゲスト』をアラビア語に翻訳する。
展示頁は、天体観測機に関する論考の部分。
イランおよび中央アジアにおける初期のイスラム諸王朝
・サーマーン朝(819〜999)
・ブワイフ朝(945〜1055)
・ガスナ朝(977〜1186)

《「ペルシャ」地図》
1627年、ロンドン

《文字分鉢》10世紀、イラン、ニーシャープール
《多彩釉刻花分皿》10世紀、イラン
《鳥分鉢》10世紀、イラン、ニーシャープール

ファーティマ朝(909〜1171)とアイユーブ朝(1171〜1260)

《「エジプト・地中海地図」》
1730〜40年、アムステルダム

《ラスター彩鉢》9〜11世紀、エジプト(ファーティマ朝)
《八角石碑》10〜12世紀、エジプト(ファーティマ朝)
《金製イアリング》11〜12世紀、エジプト(ファーティマ朝)
《金製イアリング》10〜11世紀、エジプトまたはシリア(ファーティマ朝)
《金製鳥型装飾品》11〜13世紀、地中海東岸地域

《真鍮瓶》
13世紀半ば、イラク、モースルまたはシリア(アイユーブ朝)

瓶の形状はアイユーブ朝の特徴を表わし、真鍮に銀象嵌で装飾する技法が用いられた。口縁と胴には角張ったクーフィー体と流暢なスルス体からなる文字装飾がほどこられている。スルス体の銘は「神に栄光、繁栄、永遠あれ」と刻まれている。
以上18点。
この18点から始まる全204点イスラーム文化の旅。
【参考:東博「1089ブログ」】