東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

聖林寺で国宝《十一面観音菩薩像》

2018年03月06日 | 寺社巡り
 
   聖林寺に到着。
 
 
 
   左手の受付で、拝観券を購入する。大人400円。
 
 
   堂内に入ると、当寺の本尊、江戸時代中期制作の2メートル超の大きな石像《子安延命地蔵菩薩像》がドンと鎮座している。顔もデカイ。
 
   国宝仏はこの堂にはない。案内表示に従い、本尊の向かって左手の障子を開け室外に出る。
 
 
   国宝仏が安置される収蔵庫へ行くための渡り廊下がある。
 
 
   階段を上る。それほど段数があるわけではない。
 
 
   右手に収蔵庫。このなかにいらっしゃるらしい。扉を開ける。
 
 
 
 
国宝《十一面観音菩薩像》。
ガラス越しのご対面。
奈良・天平時代の作。像高209cm。
 
 
   私が入室した時は、拝観者が1組いらっしゃたが、その方たちが退室されてからは、新たな拝観者は現れない。周囲を気にせずじっくりと鑑賞させていただく。オフシーズン+観光の中心部からちょっと離れた地域の醍醐味ですね。
 
 
 
   もとは同地の大神神社の神宮寺であった大御輪寺の本尊。来たる神仏分離・廃仏毀釈の波を予想していたのだろう、幕末の慶応4年(1868年)に聖林寺に移される。その後、波に飲まれた大御輪寺は廃寺となっている。
   1887年、秘仏の禁を解いたフェロノサは「ここから一望できる盆地にどれほど素封家がいるか知らないが、とうていこの仏像一体におよぶまい」と語ったとされる。また、和辻哲郎や白洲正子など多くの人がこの仏像の魅力を語っているようだ。
   聖林寺では、そのプロポーション、天衣・裳裾、右手の表情など造形の魅力を語る術として「ミロのヴィーナス」を引き合いに出している。
   1897年の古社寺保存法制定とともに国宝に指定され、戦後の文化財保護法のもと1951年に新国宝に第一陣で指定されるなど、国宝仏のエリートである。
 
   国宝仏を所蔵する聖林寺は、小高い所にあって眺めもよい。敷地内は狭く目一杯建物がある印象。
 
 
   以上、安倍文殊院と聖林寺観光をもって、今回の関西プチ美術旅行は終了。次回はいつかなあ。
 
 
 
   ところで、今回のプチ美術旅行、行き先を決めたのは行きの新幹線の中。当初は安倍文殊院+奈良中心部を考えていたが、桜井駅から奈良中心部への移動は意外にも近鉄よりJRの方が早く安く済むなあ。とか調べていたところ、安倍文殊院の近くにもう一つ国宝仏、しかも有名な国宝仏があることを知る。ここまで来て行かぬわけにはならぬ、と決断する。
 
   しかし、聖林寺が安倍文殊院からどの方向にあるのか調べないままで、まず徒歩で安倍文殊院に行き、徒歩で桜井駅に戻る。
   本数が少ないバスは時間が合わないことは分かっていたので、タクシーに乗る。タクシーは、つい先ほど徒歩で安倍文殊院から戻ってきたばかりの道を進み、ここで右折すればすぐに安倍文殊院に着くところをそのまま真っ直ぐ行って少しして左折、しばらく走ってから右折して聖林寺到着。1,200円。なんだ、これなら場所さえ分かっていれば、安倍文殊院から直接徒歩で行ったのに、バカなことをしたなあ。
   聖林寺からは徒歩で桜井駅に戻る。
   


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